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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

関西の彩り 近代日本画を中心として

白鹿酒造博物館へ行った。
丁度この界隈の西宮酒蔵ルネサンスの開催日と合わせたので、西宮駅から無料バスでつれてもらえた。ラッキー。

初めてここへ来たのは1992年の四月だったが、それからの再訪に約20年かかった。
理由は「行きづらそう」だったからで、いい展覧会でもスルーしていた。
つまり「近いくせに交通が不便なところ」がニガテなのだ。
ところが去年、もしやと思い今津から歩いたら歩けるし、普通に今津から阪神西宮乗り換えだけで行けるし、その気になればここから香櫨園の西宮郷土資料館や西宮大谷も遠くはないことが分かった。
で、今は今津まで阪急で出て一駅だけ阪神に乗り、後は歩く。
こうなるとこれからは常に行こうという気にもなる。
今までごめんね、白鹿。

今回の展覧会は「関西の彩り 近代日本画を中心として」である。
これが物凄く充実した内容で、ちょっとやそっとで太刀打ちできないようなラインナップなのである。
わたしが見たのは前期。後期も凄い内容のように思われる。
とにかく見た記憶、コーフンした想いとかそんなのがまだ身内に留まる間に感想を挙げたい。

…とはいうものの、何の因果か、折角手に入れてたチラシが行方不明。
仕方ないのでこちらへどうぞ。
pdfだからちと気を付けてください。

みつかりました。10/14
イメージ (83)

梅亀図 鈴木百年 衝立 川のほとりに紅梅。陸には2匹の亀がいる。特にどうこう言うこともないが、家具としての衝立、そこにこうした温和な絵があれば、やはりほのぼのする。

家翁百季栄春庭孔雀図 百年 こちらは旧幕時代最後の年の軸。二羽の孔雀が薄紅の長春花(薔薇)と共に描かれている。
いつも思うのだが、孔雀と薔薇の取り合わせは字面だけ見ればアールヌーヴォーを始め、西洋風のロマンチックなムードがあるのだが、実際にはこうした大和絵もその題材を多く選んでいる。

嵐峡春景図 今尾景年 これはジグザグに流れが来るのを巧くとらえていて、視覚的に勢いがある。斜め下向きに急流、そこで折れて逆方向斜め下へ向かう流れ。随所に墨絵のシルエットで桜、松と桜を配する。あーかっこいいな、いい構図。

嵐峡細雨図 木島桜谷 墨の濃淡で雨の様子を表現する。松の幹の長いのにはびっくり。

福禄寿図 塩川文鱗 お子様二人と白鹿がいる。白鹿の背中には如意や霊芝が積まれて括られている。愛でたいものを持ち運ぶ白鹿。そして彼らの上には桃が実る。
可愛い坊やたちの福禄寿というのはいいね。

松竹梅図 山田耕雲 これは面白い。逆くの字に蕾のついた白梅、二つばかり節の見える太い竹、バランのような松。これが可愛い。みんななんとなく2頭身キャラのようである。
しかしキリリと存在感をアピールしている。

花ふぶき 松園 春だなあ。

女三番叟図 松園 若松柄の着物は薄紅。音曲の聞こえそうな絵である。
1983年の展覧会のチラシをもらった。
イメージ (50)
32年前でもきれいな印刷のまま世を過ぎている。

お福之図 松園 お多福なので鼻は低い。正面顔である。萌黄地に薄紅の打掛。白い線で花をデザインしたもの。可愛い。

花鳥図 西山完瑛 衝立 キジのカップル。白梅に百合に朝顔に山茶花に水仙に蓮華。
この絵も98年のチラシ。
イメージ (51)

雪月花図 五井金水 細い三幅対。ふっくらな杜鵑(案外雲雀かも)、まん丸な満月、タンポポにスミレにモンシロチョウ。楽しい雪月花である。

全然関係ないが、親子丼が何も鳥と卵だけでなく、サーモンとイクラの取り合わせもあるのを思い出した。

淀川筋図 久保田桃水 向こうの小高い丘に民家が並び、淀川では小舟で煮炊きをする二人がいる。岩間には菜の花が咲いている。和やかな春の淀川。

〆飾り鶯図 西山完瑛 たくさん止まる雀たち。お米がついているからなあ。

山水貼画帖 庭山耕園 苫屋の上に薄い月がかかる。紅葉に川の流れ。あっさりと仕立てられた絵。

十二か月色紙 上田耕冲ほか 28枚のうちから。87歳の耕冲や息子の耕甫らの絵がある。
雪こもりから顔を出す牡丹が外を見る。
耕甫のは紅葉に小禽。

桜谷伝神画册「四時佳興」 桜谷 柳に燕が3羽。頭頂だけ黒い小鳥たち。

色紙画帖 大谷句仏ほか 椿柄のダラリの帯の舞妓、榊原紫峰えがく雪の紅梅に文鳥、池田桂仙の南画など。

蓬莱僊境図 関雪 青碧色の山、岩、そのはるか下の道を行く杣二人。箱書き自体も関雪自筆でなかなかいいことが書いてある。

汝陽逢麹車 菅楯彦 大酒のみの汝陽が出勤途中に酒を積んだ車を見て涎を垂らす、という杜甫の「飲中八仙歌」詩句から。彼は玄宗皇帝の甥で大酒のみで明るい性格だったそうだ。杜甫の「飲中八仙歌」の一人。要するに唐の八大酒豪のことを謳った。
この詩の内冒頭の「知章騎馬似乗船 眼花落井水底眠」は教科書にも採用されている。
菅楯彦はいかにも機嫌良さそうな人を描いている。
 
月次図 武部白鳳 12幅対 細めの軸にとても素敵な12か月。
1.若杉 2本の枝に鈴らしきもの3つ。2.猫柳 ふくらまず。3.鶯飛ぶ よく肥えてる。
4.釈迦誕生 水盤に腰に手を当てたポーズ。5.香魚 泳ぐ鮎。6.九十九(フトイ) 先端が黄色の草。太藺。湿地に咲くらしい。7.綿花 黄花が咲く。8.秋月 まん丸の月。
9.3匹の虫 バッタ、コオロギ、鈴虫。10.熟稲 茶色の穂。11.紅葉 風に3枚の葉が舞う。
12.厚氷 確かに氷がピシッピシッ。

武部白鳳は西山完瑛の弟子で、完瑛は芳園の子で、芳園は松村景文の弟子で中村芳中にも学んだ。琳派と四条派の血脈が来たところで、白鳳の息子・本一郎がSFアートの画家だというのが、めちゃくちゃかっこいいと思うのでした。
因みに武部本一郎展の感想はこちら

青梅図 白鳳 床の間の設えがあり、そこに飾られていた。墨絵。枝と青梅と。

十日ゑびす図 溪仙 サラエにお多福の面。西宮戎ですな。しかしえべっさんの祭りにお多福も出演?うちの地元のえべっさんは、えべっさんと大黒さんだけだったな。
場所により違うのだろうなあ。

不老長春 田中柏陰 1921 松に鮮やかな長春花(薔薇)。ツケタテで描く。青苔を表現するのに墨の上に鮮やかなトルコブルー。綺麗でした。

瓢十七態屏風 山元春挙とその一門 前後期で展示替えするようだが、資料として左隻も出ていた。緋色を地に様々な瓢が描かれ、その中に絵を描いたり、瓢にまといつくものを描いたりしている。
これは楽しい屏風で、その内訳を記す。
右 
・稲穂に雀 林文塘 瓢箪の下部が割れてそこに稲がのぞく。
・花下遊楽 王舎春輝 瓢の中での楽しそうな様子。
・秋の虫 山元春挙 りーんりーんと鳴いていそう。
・許由洗耳 高倉観崖 じゃぶじゃぶ・・・
・養老滝見 王舎春輝 
・花見(大石内蔵助) 川端春翠 
・松に鶴 
・猩々 山下竹斎 金のシルエット。

・雀のお宿 久保田竹友 割れた中に稲と巣がある。
・秀吉の瓢 植中直斎 
・瓢に蜂 春汀
・山水 西井敬岳
・養老孝子 川村曼舟
・瓢舟 小村大雲
・老人飲酒 川端春翠
・聴鶯山房図 高橋秋草
・富貴益開図 岡文濤

日本画家は正月に弟子たちと一緒に競作することが多いようで、応挙などもそうだし、清方もそうだった。
こうした作品は楽しい。

探梅覚秋図 池田桂仙 白っぽい中に小舟が浮いている。蔦と梅。この言葉の意味は知らないが梅を探して秋を感じる、という意味でよいのだろうか。

二枚の絵が並ぶのを見たが、どちらも南画で、カラフルかモノクロかの違いを感じるだけで同じ絵に見えた。
青緑紅葉山水図 姫島竹外 フルカラー
松林山水図 河辺青嵐 女性の画家。モノクロ。
山の形がそっくりだからそう思うのだろうか。

夏渓寒巌図 中林竹洞 夏と冬の山の様子を対幅で。

泛艇観蓮図 中林竹渓 「はんてい」と読む。もやーん。小舟が出てて蓮の葉の隙間をゆく。
竹渓は竹洞の息子。

松竹梅文蒔絵盆 庭山耕園下絵 黒に松ぼっくり・小笹・小梅が落ちている。ちんまりしたところがいい。

古端渓五福硯 村田香谷箱書き 住友家によく絵を納めてたあの画家の箱書き。硯自体はコウモリがついている。

ここまでがタイトルの展覧会の内容なのだが、この後がまた凄かった。

笹部コレクションからのものなのか何なのか、リスト外の展示品が素晴らしいのだ。

三畑上龍 立姿美人 簾をあげる美人。抹茶地に大きい白茶の草柄模様の着物。黒地に金の龍の文様の帯。かんざしを触りつつ簾をあげる女の唇は笹紅色に塗られている。

森一鳳 鬼に金棒図 これは明るい戯画。

一鳳 松に鶴、竹に亀の図もある。

鉄斎 山桜扇面図 小さな扇面に桜がいっぱい。抹茶団子のようなシルエットがある。

岸岱 滝に桜花 山桜の枝振りがいい。

呉春 山桜と嵐山の図。飛鳥井雅章の短冊貼り付け。

呉春 嵐山夜景図 うっすら墨で描く。山の端と川をやはりジグザグに描いている。

秋草と芒を呉春が、菊を岡本豊彦が描くという作品もあった。

三傑桃下の会図  劉備を景文、左の関羽を豊彦、右の張飛を柴田義菫が描いた。
全体の雰囲気が呉春風なのが妙に面白い。

桜花 川端玉章 紅葉が濃い。小鳥が止まる。白に灰色の花。
まだ江戸時代とは地続き。

最後に1922-23に刊行された「大近松全集」の付録版画を見た。
中には「アッこれ」的な作品も少なくはない。
9枚の芝居絵を版画にしたものを愉しもう。
・夕霧 島成園 紫鉢巻を大きくクローズアップ。白い顔には怨みがどこか滲む。
・錦祥女 西山翠嶂 紅流しのところ。苦痛をこらえて妙な笑顔になっている。
この絵はしばしば堂本印象美術館などでも見かける。
・世継曽我の朝比奈 西村五雲 カニのような髪型なのはお定まりにしても一本一本が細めなのでポップな感じ。
・雪女 松園 横向きの大きな顔。細い手が刀を持つ。怖いような顔である。
・文覚 渓仙 滝の中には既に不動明王とセイタカ・コンガラの2童子がいて、滝行をする文覚を待ち構えているが、文覚は岩に取りすがったまま。
蝉丸 菅楯彦 これは先般池田でも見ている。その時の感想はこちら。美少年である。
・梅川 北野恒富 顔を大きくクローズアップ。決心の強い顔。
・酒呑童子 玉村方久斗 貴女らの上を鬼首が飛びまわる。この構図は考えたこともなかった。
・与兵衛 山口草平 刀を持って女を殺そうとするところ。「不義になって貸してくだされ」のあと。

この内容の濃さには正直驚いた。
ああ、本当に良かった。
後期にも行こうと思う。
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