美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

青梅市立美術館に湯河原町立美術館の名品を見に行く

青梅市立美術館に町立湯河原美術館の所蔵品が来ている、というので「どちらにしろ大阪からは遠いわ」と言いつつ、青梅へ出た。
町立湯河原美術館には青梅市立美術館のコレクションが出張ってるから、交換の企画である。
イメージ (86)

湯河原には竹内栖鳳の絵がたくさんあることが知られている。
それもそのはずで、その美術館は老舗旅館を改造して美術館として活動中なのだが、その旅館・天野屋は栖鳳の言わばセカンドハウスだったのだ。
HPによると「天野屋を度々を訪れるうち、その敷地内に住居と画室を建て、晩年のほとんどをこの地で過ごしました。」ということらしい。
作品がない方がおかしいくらいだ。

イメージ (88)


栖鳳の作品を見る。
冬瓜 1928 画面の大半を青りんご色した冬瓜が占めている。そしてそこにネズミを配している。噛まれる冬瓜。

竹裏禽声 1932 瑠璃鳥らしきものがいる。とても綺麗な色合い。写生に基づく絵を描く人だから、それこそ天野屋の裏の竹藪からチュンチュンとかピーピーとかルーーーと声がするなと覗いて「をを」になったのかもしれない。

歌仲間 1934頃 これは可愛い。トノサマガエルが三匹、各自おにぎりの頂点に位置を占めている。ケロロロロロと一匹が鳴けば別な一匹がコロロコロロと答え、次の仲間がキェーーと鳴いたのかもしれない。

狗子 1934 可愛い!可愛すぎる!四条円山派の末裔だけに可愛いわんころを描くのは得意ですなー。茶色のカツギのわんこ。目はどちらもどこを向いているのやら。西村五雲のわんことも共通するほわほわな毛並み。そこへはらりと二つの花びら。

行秋 1934 冬支度のために薪を拵え、一括りにする。伐った断面が白い。ぎゅっと縛ったその薪の木の皮はまだめりめりと音を立てそう。その上に青い鳥が一羽。

竹雀 1934 半ばで伐られた竹と伸びる竹と。そこへ飛んでくる雀。小さな羽根を精いっぱい開き、白い腹を見せている。付け立てで薄くにじむ羽根を描く。顔だけははっきりと。

宇佐幾 1939 二羽の兎さん。眠たそう。

喜雀 1940 数えの喜寿の歳、金屏風に描く雀たち。右隻の雀らがなかなか。
「オラオラ」「ちっ」「ケッ」という声が聞こえてきそうなガラの悪い、<歩く>雀たち。
みんなもうツラツキのわるいこと。
左は飛んだり降りて来たり啄んだりなんだが、印象に残るのはやっぱり右のヤンキーな雀たち。栖鳳先生、喜寿の歳にえらくハジケちゃったのね。

洋画をみる。
山下新太郎 薔薇 シックな配色である。薔薇たちはクラシックで重厚な美しさを見せる。それを活けた容器にはネコ科の動物の絵がある。髯までピンと。レトロな美しさを感じる絵。
イメージ (87)

荻須高徳 郊外の道 1970 えらく坂である。片側の建物の並びをみる。坂の上下の建物の並び。濃い色の並び。力強い建物。
耐震は大丈夫なのかどうか。

矢部友衛という洋画家の作品もある。
「プロレタリア運動を通じてロシア美術を日本に伝え、自らも労働者を多く描いた洋画家。」と説明がある。
二年ほど前、和歌山近代美術館で石垣栄太郎展を見たが、彼はアメリカへ渡りジョン・リードを信奉していた。こちらは時代はもう少し後の、日本でのその仲間と言えるのかもしれない。
絵そのものはすっかり日本化した洋画という趣がある。
その技法でもって伊豆や磐田や静岡の労働風景を描く。抒情はないが、力強さのある画風。

水彩画もある。
富田通雄の1930年代から1977年までの伊豆を描いた風景画。
正直なところ、この界隈て本当に無縁なので、「そうなんや、案外寂しいねんね」と思ったりするのだった。
それは人の居ない風景を描いているからなのだけれど。
だからか、人出のある「吉浜海岸の夏」1932 などは楽しそうでいいなと思うわけです。

こうなるとやっぱり風景画がニガテだというだけになるのか、わたしは。
いや、しかし巴水・紫浪・吉田博ら版画家、池田遙邨そして広重の昔でも彼らの風景画は好きだから、何がニガテで何が好きなのか、ちょっとムツカシイな。

現役作家・平松礼二の特集を見る。
華やかな琳派風の作品が多い。
艶やかで明るい。
梅林を描いたものを見ていると、熱海でも湯河原でも梅は人気なのだと思う。
夜桜も明るい。
日本の祈り(さくら) 2012 これは枝垂桜を描いているが、なんだか音楽が聴こえてきそうである。邦楽の楽器でロックしてるようなムードがある。
秋の紅葉もキラキラしている。
ちょっとチカチカが目に残るね。

青梅市の所蔵の藤本能道のやきものを見る。
烏を描いた筐体がいい。あの独特の釉薬に烏がちんまりといる。
梅白釉金彩か。いいなあ。
菊池寛実記念智美術館で見てから好きになった作家。

小島善太郎の常設で一点たいへん心に残るものがあった。
白根山釜池 これはわたしも行ったことのある白根山の頂上池の「お釜」ですな。
一家のスナップショットのような絵。トルコブルーの空に白雲。ミントグリーンのお釜。ああ、なんだか懐かしい。
ありふれた家族旅行の一枚、という風情がいい。

行った甲斐がありました。11/15まで。
関連記事
スポンサーサイト
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア