美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

風景画の誕生 ウィーン美術史美術館所蔵

ウィーン美術史美術館の所蔵する作品がブンカムラに来ている。
「風景画の誕生」と言うタイトルで、分野としての風景画以前からある、背後の風景が魅力的な作品を最初にたくさん紹介していた。

全体を見終えてわたしの正直な感想を言う。
…主題の背景に広がる風景って魅力的だな…
本当の風景画よりもずっと。

情報誌の表紙を彩るのは「聖母子と聖カタリナと聖バルバラ」1510年 である。
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二人のアトリビュートは手前に打ち捨てられ、二人ながらに幼子に優しい視線を向けている。16世紀初頭の古い時代の絵。聖母子の背後には優雅な織物の幡のようなものが垂れ、その向こうに外景が広がっている。
右手奥に塔のあるお城と白鳥池、ゆるやかな橋、左手には優しい丘や民家、そして馬上の人が誰かと立ち話をしている。
空は薄く霞んでいて、静かなよどみがあり、それが不思議な心地よさをもたらしていた。

この絵は「第一章第一節 聖書および神話を主題とした作品中に現れる風景」に分類されている。
そしてわたしはこの第一節が今回一番よかったのだ。

東方三博士の礼拝 1520年 にぎやかである。左下では白地に茶の犬が丸くなって寝ている。三博士からプレゼントがある。そしてずっと向こうにどうやらアントワープらしき港町がある。なんとクレーン車が見える。こんな時代にクレーン車。すごいな。

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二人の天使のいる聖母子 1500年 ロールパンのような美味しそうな手足。おっぱいをあげようとするお母さんに、知らん顔して手だけ伸ばす赤ちゃん。それを見つめる二人の美少年。
窓の向こうには山や町や川があり、人々の営みがちらりとのぞく。

五色鶸と聖母子 1523年 母子揃って横眼である。背後にはガリラャで復活したイエスが小さく描かれている。人生の最初と人生の終わった後の次の姿。

ヤン・プリューゲル子 エジプトへの逃避途上の休息 1520-30 山中の泉の美しさが目に残る。花籠や果物、幼子イエスがどこかを指さす。そこへ現れるロバをつれた子ども。風景はそえものなのだろうが、この青い夜が燿ような写放っていた治。

タンバリンを演奏する子ども 可愛いだけでなく、実はヴアニタス。

ノリ・メ・タンゲレ 薄エメラルド色の衣のイエスがマグダラのマリアを拒否するところ。彩色・配色がとてもいい。

大洪水 1634―1635 男たち忙しく立ち働く。助け合ったりなんだかんだ。死者もいる。猫を抱っこするちびっこもいる。筏も出ているがやっぱり溺死者が多い。

楽園図 1540―1550 模倣なのだが、なかなか面白いし妙な迫力もある。卵の殻の中のカップルを見ると、福岡アジア美術館のカップルシートを思い出す。本当にこんな感じ。謎の動物もいたり妙な植物もいたり。
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冥界のオルフェウス 1610―1615 おおー、地獄ぢゃで。なんでもかんでも燃え立っている。熱そう。そうか、氷地獄のコキュートスはずっと遠くか。

神話を描いたものは背景までドラマチックなものが多い。

第二節 1年12か月のカレンダーに現れる風景画

レアンドロ・バッサーノのカレンダーには12星座もちゃんと出ている。
そしてその真下で農民たちが元気に働く姿を描く。
日本でいえば月次絵の四季耕作図でもある。

イメージ (29)

冥界のオルフェウス 1610―1615 おおー、地獄ぢゃで。なんでもかんでも燃え立っている。熱そう。そうか、氷地獄のコキュートスはずっと遠くか。

神話を描いたものは背景までドラマチックなものが多い。

第二節 1年12か月のカレンダーに現れる風景画

レアンドロ・バッサーノのカレンダーには12星座もちゃんと出ている。
そしてその真下で農民たちが元気に働く姿を描く。
日本でいえば月次絵の四季耕作図でもある。

人間がなにかしら働いたり楽しそうにしている図はやはりいい。

ファルケンボルフの月次絵は新約のエピソードをその月次ごとに合わせている。
そして背景として人々の働く風景を描く。

とてもいい感じの月次絵だった。
更にここで「ベリー侯のいとも豪華なる時禱書」のファクシミリ版が出ている。
5月と8月。本当に優美。

第三節 牧歌を主題とした作品中に現れる風景

ちょっとこちらはわたしの好みではなかったな。
セガンティーニ風なのが一枚あってそれがよかったが…

ところでこの二点は2種あるチラシ表紙をあわせたもの。
イメージ (25)
上は月次絵。農民たちのようすがとてもナマナマシイ。みんなお昼ご飯を食べている。
ずーっと向こうには白い山もある。

下は今にも処刑されんとする聖カタリナの車輪が砕け、こんな右往左往する図。
左手に広がる港は薄て青色系でまとめられ、とても綺麗に描かれている。
よくよくみればそこでも誰かを死刑にしようとしているようだが。

第二章からは本格的な風景画の展示で、先の妙に面白い風景を見慣れ、なじんだことで、何やら妙な違和感を覚えたり。
なぜだろう…

いまだに応えは出てこない。

自分勝手な感想だが、本当に前半は面白かった。
しかしこれで自分が何を好きで何がニガテかわかったように思う。

12/7まで。
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