美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

相応寺屏風と「茶の湯の名品」

徳川美術館に行った。
行くと顔ハメ看板の武者たちと館長トクさんの人気投票の結果がでていた。夏に行ったときは投票中だったが、もう開票されて、トクさんが優勝していた。よかったなあ。

ここは刀装具、茶の湯、能、室礼、奥道具などの展示室があり、それぞれ期間を決めて展示されている。
わたしが見たうちでとてもよかったものを少々挙げる。

拾得図 伝・賢江祥啓 室町 箒を持った拾得が向かって右向きに顔を上げて笑っている。おでこが後退し始めているが髪はさらさらで案外いい顔に見える。
ヒョウ柄の腰巻をつけている。

金欄手唐子文仙盞瓶 明 腹の表裏に唐子がそれぞれいる。下帯一つの唐子が可愛い。瓶の蓋のつまみは見返り狐らしきもの。

染付唐子文仙盞瓶 大明嘉靖年製 四人の唐子がご主人の外出を演じている。春駒のようなものにまたがる子供、傘の代わりに蓮の葉を差しかける子供などなど。

奥道具を見にゆくと、そこで相応寺屏風が出ていた。
これはたいへん嬉しかった。現物を見た記憶がないからだ。いつも画像か複製の一部だけ。
八曲一双の大きな屏風に様々な遊楽の情景が描き込まれている。 

もう本当に全体から享楽的なエネルギーがあふれだしている。
右1,2では泳ぐ人、けんかするらしき連中、そんなの関係なしに宴会に興じる人々。
右3,4では屋内でものを食べたり、座敷で猿回しを見たり。外ではカットハウス、矢売、座頭と犬などの様子が活写されている。
右5,6は餅を焼いてイートイン、大変おいしそう。乞食もいる。巨大な松の木が描かれている。
右7,8は能。黒式尉かな、あの黒い面は。その下方では大きな邸内で衣裳あわせ中。
更に凄いのが左隻。
左1,2 三人漕ぎ手の船がその屋敷へ向かってやってくる。享楽の館。籠で向かう人もいる。舟をこぐのも娯楽の一つに見える。
左3,4 つたの絡む屋敷の塀。前では群舞。三味線弾くのは太夫と盲人ともう一人。
台所もよく描けている。本当に活気に満ちたいい絵。
左5~8は室内。これがもう凄まじい。一階も二階も中庭も離れも大賑わい。蹴鞠するというよりサッカーに興じる男女、わいわいと元気いいのなんの。その一方で静かにお茶をする人々もいる。池もあり、渡り廊下の向こうの離れの浴室も立派。そこでは湯女もいてサウナを楽しむ。

多くの邸内遊楽図の元締め的な「相応寺屏風」。本当にすごかったなあ。

絵巻はあともう一つ出ていた。
掃墨物語絵巻 白粉と黛を間違えた娘さん。出家しようと剃髪するところからのを見た。秋の別れである。ひとには桔梗がたくさん咲き、朝顔も格子にからみつく。
北山に庵を結び、母と二人で暮らす娘。もう冬になっている。

常設だけでこんなにいいものがどーんとあるのだ。さすが尾張徳川家である。

次は特別展「茶の湯の名品」。
室町から桃山辺りの茶の湯を中心にしている。
イメージ (6)
室町将軍家、わび茶、きれいさび、玄々斎と尾張徳川家といった章で構成されているが、例によって好きなものしか挙げられない。

イメージ (7)

布袋・朝陽・対月図 足と手指で綾取りをする布袋。義満から家康、そして義直へ。

茶入れなども大名物のがいくつも並ぶ。
肩衝茶入 銘・靭、大海茶入、茄子茶入などなど。可愛いなあ。

柳燕図 伝・牧谿 綱吉―光友 柳の下をシュッと飛ぶつばくろ。一方、二羽は柳の葉影に隠れている。飛ぶ奴のカッコよさが目に残る。

古銅鴨香合 明 口を開けてるファンキーな鴨。首回りにビスがいくつも打たれているので甲冑ぽいのも楽しい。

白天目 武野紹鴎―義直 室町 白というより薄緑に覆われ、貫入が優しく入っている。
口べりに金覆輪。見込みに青緑の溜り。賞翫したくなる。

油滴天目(曜変天目) 油屋浄言―家康―義直 金 実に小さい☆キラキラな天目。チカチカして可愛らしい。

盆石 銘・初雁 遠州’s 桃山 ははあ、並び山の中腹に鳥がおるな。
これは削って出したのか。人工的な感じが強い。

ところで玄々斎と名古屋との関係が深そう。
ここへ来る前に先にいった昭和美術館でも玄々斎の関係をうかがわせるものがあった。

金彩鯱香合 斉荘(尾張家12代) 樂旦入 わはは、やっぱり金のシャチホコか~~
これに似たのを樂美術館でも見ているから、作ったのは一個二個ではなさそうですな。

不昧公の箱書きのある染付蓮唐草文水指もある。この人がいなければ江戸中期の茶の湯の在り様は変わっていたかもなあ。

尾張徳川家に伝わる茶道具の数々が並ぶ。
古瀬戸肩衝茶入 銘・虫喰藤四郎 室町 1673年には尾張家に入っている。骨喰ではないよ。あっちは刀、こっちは茶入。

小さ目の香合が集まっている。
螺鈿騎馬人物図香合 明―清 キラリと可愛い。
瑠璃雀香合 明 濃いめの瑠璃色で愛らしい雀。

ずらりといいものが知らん顔して居並ぶので、お客さんもわいわいと大騒ぎ。
見た日は茶道しているご婦人方が大挙して見学されてたのでこれ以上は観ていない。
それでも好きなものはこうしてじっくり眺めた。

最後に新収蔵品のお披露目。
そのうちでハッとなったのが一つ。
柿の蔕茶碗 銘・京極 京極家伝来 平瀬露香・佐野弥高亭旧蔵 佐久間将監・益田鈍翁・森川如春庵箱書 高松家寄贈
・・・すごい伝世品だ。あの猫好きオヤジの佐久間将監も主人だったのか。

こういうのを見ると「茶の湯」は奥が深いと言うよりも、進むほどに沼に沈むようだと思うのだった。
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