美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

豊かなる朝鮮王朝の文化 交流の遺産

徳川美術館と館内でつながる蓬左文庫では「豊かなる朝鮮王朝の文化 交流の遺産」展が開催されている。
これがとても面白かった。
古文書を並べているだけでは「ああ…アタマが痛い」のわたしだが、見せ方がいいので「もっと見たい」という気にさせられた。
大方は蓬左文庫所蔵品。それ以外は別なところから。
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第一章 書物から見る朝鮮王朝と日本
一.朝鮮本の世界
王朝時代に鋳造した活字などが展示されていて、そこからまず惹き込まれる。

資治通鑑綱目  宋・朱熹撰 朝鮮・思政殿訓義 150冊の内 朝鮮王朝16c刊行  これはまた力強い活版印刷。とても大きな字。それにしても「資治通鑑」が一般変換されるというのは凄いな。そんなことにも感銘を受けている。
司馬光というとすぐに子供の頃の甕割事件を思い出す。あれもやっぱり冷静で賢いからこそ出来ることなのだが、まぁちょっとニクソイところもあるね。
この本なども大事に伝えられてきたのだろう。

「トンイ」などの韓流歴史ドラマを見ていると、書物がいかに大切にされていたかを思い知らされる。そのことを思いながらこの活字をみる。

活字から展示物を見る、ということをしている。
それがとても面白い。

分類補註李太白詩  唐・李白撰 宋・楊斉賢集注ほか 15冊の内 朝鮮王朝16c刊行  唐の大詩人の詩の勉強はこの時代もやはり盛んだったわけか。
東アジア圏の文化の父は中国、兄は朝鮮、というのを改めて想う。

剪燈新話句解  明・瞿佑撰 朝鮮・尹春年訂正 林芑集釈 2冊の内 朝鮮王朝 1559年刊行  おお、瞿佑のあれの。日本では「牡丹燈籠」が有名。その解釈本か。

内訓 朝鮮・昭恵王后撰 4冊の内 내훈 朝鮮王朝・1573年宣賜  漢字とハングル文字とがそれぞれ並列。全く読めないが、こうした二か国語以上が併記されるのを見るのはとてもときめく。
たぶんロゼッタストーンを思い出すからだろうが。

楽器図 2面 악기도 江戸・17C 徳川美術館  元は障壁画だったのを剥がしたらしい。
色んな楽器がわりと即物的に描かれているのだが、白のキジネコがニャアと座っているのが最高に可愛い。朝鮮の猫図はどれもこれも愛らしすぎる。
これは狩野派辺りが写したものらしい。朝鮮の楽器については「トンイ」、絵画関係は「イ・サン」などで日本でもおなじみになった。

救急方 朝鮮・闕名賛 2冊の内 구급방 朝鮮王朝・16C刊  この活字もハキハキしている。
凍傷の手当ての方法などがある。小豆半升を煮るとか何か書いてある。煮てどうなるのかがわからない。食べさせるのか、凍傷部分に当てるのか…

二 朝鮮本と日本の書物文化
こちらの古い活字にもとても惹かれる。

駿河版銅活字 23箱の内 江戸・1606および1616年 印刷博物館  これまた凄くいい活字。カッキリしたわたし好みの字体。こんなのを組んで活版してたわけか。

白氏五妃曲 唐・白居易撰 1冊 江戸・1603年刊 個人蔵  
長恨歌 琵琶行 唐・白居易撰 桃山-江戸・1596-1615年刊 個人蔵
どちらも素敵。白楽天の紡ぐ物語詩にはときめくものが多い。
そして両方とも素敵な活字。

帝鑑図説 明・張居正 呂調陽同撰 6冊の内 1606年刊  わるい皇帝・いい王様のお話ですな。この活字は秀頼版の。
ところで1606年を「江戸時代」表記するのは、ここが徳川美術館だからか。
改めてわたしは声を大にして言うぞ、「わるいのはぜんぶ #家康のせいだ」
ハッシュタグ付で言ってみました。
 
有名どころの本が色々。
史記 漢・司馬遷撰 49冊の内 江戸・1603年頃刊
方丈記 鴨長明著 1冊 1596―1615
白氏文集 唐・白居易撰 18冊の内 江戸・1618年刊
なんだか嬉しい。

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第二章 高麗・朝鮮美術と日本
一 高麗の仏教美術
思えばこの章に現れるものたちは大和文華館で見ているものの仲間なのだ。

紺紙金字華厳経 巻第四 감지금자화엄경 권 제4 高麗・14C中期 徳川美術館  見返しにほとけたちの絵があるのは高麗の特徴。ベカーーーッと金色の絵。諸仏金綺羅金。しかし釈迦か毘盧遮那仏かよく知らないが、一人だけ白い顔に緑青色の白毫を見せている。

紺紙金字華厳経 巻第二十三 감지금자화엄경 권 제23 高麗・14C中期 個人蔵  こちらは見返しの諸仏はみんなで仲良く入浴中のような風情がある。

紺紙金字華厳経 巻第五十九 감지금자화엄경 권 제59  高麗・14C中期 徳川美術館  入法界本16.ちびっこが善財童子。諸仏は長身。

菊唐草文螺鈿経箱 국당초문나전경상 高麗・12C後期-13C 徳川美術館 小さな菊が鏤められている。これは先年大和文華館に入った箱とよく似ている。同時代のものだからだけでなく、もしかすると同じ工房のものかもしれない。

地蔵菩薩像 지장보살상 高麗・14C 徳川美術館  頭巾というか被り物というか帽子をかぶったお地蔵さん。大きなお顔である。

二.工芸品
やきもの・墨・文具・錦…こちらは全て徳川美術館の所蔵品。

朝鮮王朝のだから三島とか粉引とか井戸に斗々屋に刷毛目などなど。
わたしはやきものは高麗青磁がベストなんですよ。
でも李朝の白磁の佳さも尊い。

鉄絵算木手花生 철회 산가지통 꽃병 朝鮮王朝・16C …見たことあるなあ、あっっ!
森ビルそっくりだった。

白磁四方鉢 백자 사방사발 朝鮮王朝・16-17C  見込みに貫入と青タイルのような釉溜り。

渭原葡萄硯 위원 포도무늬 벼루 朝鮮王朝・17-18C  四角の枠の中に葡萄、サル、碁を打つ人、働く人などなどが刻まれている。碁打ちを見る人もいるから、これは「爛柯」の話をさすのかも。

渭原寿山硯 위원 수산 벼루 朝鮮王朝・17-18C  やや雑な感じにも見える。
渭原硯は鴨緑江の支流・イゲンの岩から作られたもので、名品だという。

朝鮮墨が数本並ぶ。もしかすると初めて見るのかもしれない。
中国と日本ものは見ているが。
烏玉という名称をみるだけで黒々とした墨の様子を想う。

鹿唐草文螺鈿軸筆 一対 녹당초문 자개붓 朝鮮王朝・16-17C
古銅唐草文銀象嵌水注 고동당초문 은상감 연적 朝鮮王朝・15-16C
砂張耳付筆洗 손잡이 달린 놋쇠 필세 朝鮮王朝・16-17C
草花禽獣銀象嵌鉄水滴 초화금수 은상감 철연적 朝鮮王朝・16-17C
両班の暮らしに欠かせない文房具たち。

丹地紗綾形吉祥文朝鮮錦 붉은 바탕 연속만자길상무늬 조선 비단 朝鮮王朝・17-18C
浅葱地龍・波濤文朝鮮錦 하늘색 바탕 용/파도무늬 조선 비단 朝鮮王朝・17-18C
白茶地雲に鳳凰丸文朝鮮錦 담갈색 바탕 구름에 봉황무늬 조선 비단 朝鮮王朝・16-17C
うーむ、わたしはあんまり見ないほうだが、やっぱりこういうのを見ると韓流時代劇を思い出すねえ。

第三章 朝鮮通信使と両国の交流
一 朝鮮通信使の饗応と交流
絵図や献立やナンダカンダを見ると、その当時いかに朝鮮との関係が深かったかを知らされる。

二 祭礼のなかの「唐人」と朝鮮通信使
こちらなどでもなにやらすごい迫力の胴掛けまであるし…

何も考えずに見に来て、本当に拾い物のすごい展覧会を見た。
ああ、これは観ることが出来てよかった。
11/8まで。

なお、チラシのタイトルの「朝鮮王朝」の文字も活字から拾ったそうだが、それだけ見てもカッコイイなと思った。
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