美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

琳派 京を彩る

京都国立博物館の「琳派 京を彩る」展の前後期に出かけたので、そのごくごく私的な感想を挙げる。

初日の前日の内覧会と、昨日の二回見に行った。前後期を愉しんだことになる。
「琳派 京を彩る」展はタイトル通り「京の琳派」がメインなのだが、しかし最後のコーナーでは江戸琳派を招いて展示している。
京の琳派の後を継いだのが江戸で、その次は京都が継いでいる。
新しい代になることで美が拡がるのが面白い。
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1章 光悦 琳派誕生

光悦町古図写 1654  先般「ブラタモリ」でお土居が全国の人々に知られるようになったが、この地図にはお土居がはっきりとはなかったようだ。単にわたしが見つけられないだけかもしれないが。
鷹が峰の光悦村ついては大昔、INAXギャラリーで特集を見たことを思い出す。
光悦ギャラリーが開館され、バス停から心細く歩いたこともあるなあ。

本阿弥光悦坐像 伝・光甫  お孫さんが拵えたおじいちゃんの像。ところでわたしの光悦ヴィジュアルは井上雄彦「バガボンド」の光悦なのですよ…
本阿弥行状記もあった。

薙刀直シ刀 無銘(名物 骨喰藤四郎) 鎌倉 豊国神社  ああこれがか。わたしはとうらぶ女子ではないので単純に「ええ刃物やなあ」で終わってしまうのだ。

光悦は刀剣の目利きをしていたので、その関連資料もあった。
刀剣の目利きでブローカーといえば勝小吉もそうだった。かれは水心子と懇意だった。
光悦の頃はどんな刀を見ていたのか。色々ありすぎてわたしにはわからない。

立正安国論  能書家だからこういうのも書く。いい文字。

本法寺からきたもの。
紫紙金字法華経  平安時代の綺麗な法華経。これ伝・道風だった分かな。
花唐草螺鈿経箱 本阿弥光悦  先般本法寺展で見たもの
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群鹿蒔絵螺鈿笛筒 大和文華館  改めて大和文華館には琳派の名品が多いなと思った。
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舟橋蒔絵硯箱 東博 これも好きな箱。緩やかなふくらみがいい。近年では二年前の「和様の書」展のチラシにも出現していた。

光悦の書状がいろいろ。
中には樂家とのやりとりもある。
あて名が可愛い。「ちゃわんや」さんの樂家。
本阿弥光悦書状 ちやわんや吉左殿宛
本阿弥光悦書状 吉左衛門殿宛
光悦は樂家三代目道入(ノンコウ)がまだ少年の頃に色々と教えを与えたそうだ。
奔放華麗なノンコウの作風は光悦の薫陶によるものだともいう。
吉左衛門は代々世襲の名前なので、この宛名がノンコウなのかその父の常慶なのかはわからない。

そして光悦の樂茶碗が並ぶ。
黒楽茶碗 銘 雨雲
赤楽茶碗 銘 乙御前
赤楽茶碗 加賀光悦
赤楽茶碗 銘 弁財

第2章 光悦と宗達 書と料紙の交響

平家納経 願文・化城喩品・嘱累品・表紙・見返絵  欠けた分を宗達が拵えて厳島神社に納められているわけだが、平安時代のこの美麗な法華経をオリジナルと変わらぬ美しさで再現出来たのは、この宗達と大正の田中親美とだけではないか。

色紙貼交桜山吹図屛風  東博で観るものを京博で観ると、また違う喜びがあるものですな。わたしはこの屏風を見る度に「まんが日本昔ばなし」を思い出すのだ。
同じ意味で大観「作右衛門の家」もそう。

桔梗下絵新古今集和歌色紙(中の期間で今回は見ていないが大和文華館でみている)、草花下絵新古今集和歌色紙、月に萩下絵新古今集和歌色紙…
いいなあ。

光悦&宗達の最強コラボの作品が並ぶ。
内覧会ではきちんと見られなかったものが昨日じっくりと観れたりもする。4時半からの鑑賞は短時間でも濃厚だった。

四季草花下絵千載集和歌巻、鹿下絵新古今集和歌巻断簡、蓮下絵百人一首和歌巻断簡
売れっ子だったのもわかるなあ。何年前だったか、サントリー美術館でか鹿下絵の断簡がたくさん集まった展示を見ていると思う。カンチガイでなければ。
これもカットカットしたのは佐竹本同様、鈍翁な。

鶴下絵三十六歌仙和歌巻  京博の琳派お宝の一つ。なにしろここの展示、この巻物をダーーーーーーーーッッッと開いたままでも差し障りがないのですよ。
ヒトサマがいないので本当にじっくり楽しんだ。金銀泥の鶴の顔つき、個体により違うなとか、目が開いてるなとか、光悦の書く和歌も把握出来たりした。
深く鑑賞で来て本当に良かった。
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謡本の登場。
胡粉か雲母かでキラキラ。
一大ブランドでした。今でもこれで売り出されたら買う人も多いと思う。
それ用の箪笥も可愛い。
橘紋散蒔絵謡本箪笥 橘文をみると安徳天皇を思い出しますが。

第3章 宗達と俵屋工房

保元物語図扇面、平治物語図扇面  平家物語の前哨戦二つ。平家物語と太平記はいつの世も絵画化されて人気もあるが、同じ内戦・内乱でも他のものは江戸時代、ヴィジュアル化されないなあ。応仁の乱も大化の改新もあと色々。

扇面散屛風  ここにもあるのは平家物語、それから源氏絵、伊勢絵、花鳥風月なもの。
熊谷が敦盛を呼び戻す図はわけても人気。それから橋合戦図もあった。

伊勢物語図色紙が出ている。
以前に和泉市久保惣記念美術館で宗達らの伊勢絵展があり、それを見ようと北摂から泉北まで遠い道のりを出かけたことがある。あれは確か国内最大規模の伊勢絵展だったと思う。そのときにこの「伝・宗達」の伊勢物語図色紙をたいへんたくさん見た。そのときの感想はこちら

(芥川)(浅間の嶽)(かざり粽)(長岡の里)(河原の院)(渚の院の桜)…
まったりおっとりいい絵。
なかでも特に好きなのは芥川の別物。

西行物語絵巻 巻第四  これも出光美術館で見ている。昔から西行法師はおじいちゃんなヴィジュアルが浮かぶが、大河ドラマで藤木直人が演じたのを見てからついついハンサムな青年のイメージが浮かぶので、黙って苦笑している。

宗達のモノクロ画を見る。おなじみ作品が多いが、初見もある。
蓮池水禽図  室町以来の水墨画の名品。ただ室町時代の絵とは違い、やはりもう少し近代性がある。

牛図  可愛い。日本の牛の正当な姿。ホルスタインでもジャージーでもないんですよ。

神農図  柏のケープに小さい角に、なんか草食べてる変な人…というてはいかん。11/22と23には大阪の道修町で毎年恒例の「神農祭」がある。薬の神様ですよ。

狗子図  けっこう斑の多いわんこ。可愛いな。耳がぴょんと立ってる。

鴛鴦図  オス一羽が立ってる。目ぱちっとしてて睫毛長そうなタイプ。実際には睫毛ないけどね。

フルカラー。
唐獅子図杉戸絵  唐獅子二人組のが来ている白象は養源院におる。越後獅子はやっぱりこの絵の動きを再現してるのかな。鬣が渦巻なのも可愛い。

舞楽図屛風  惜しいことに見損ねたが、以前にも見ているからまあいいか。可愛くて大好き。現代日本画家の山本太郎さんがこのパロディ絵画を描いている。高島屋の画廊で見たが、園児の御遊戯になっているのがいい。お仲間の蘭陵王は滑り台の上でポーズ取るお子様でございましたな。

金屏風に絢爛たる絵。しかもそれらが自然の風物を描いているというのが何やら凄いと思うのだ。

槇檜図屛風、月に秋草図屛風 これらは観ると自分がそこに取り残されたような気がする。

草花図襖 金地に数種の草花が思い切りよく伸びている。
もしここで寝てしもたら、夜中の間に草花に絡みとられるかもしれない。そして朝になったら寝床にヒトの形だけ残ってだれもいなくなってて、何故か草花がいよいよ繁茂しているかもしれん・・・

芥子図屛風  阿片とかそんなことを思いつつ、可愛いなあ。

藤袴図屛風  これが胸のすくような景色。琳派系の金屏風で時折こうした風景を見かける。いちめんの いちめんの。ああ、素晴らしい。
リズムがあり、それで自分も一緒に風にそよいでいる。

蔦の細道図屛風  烏丸光広の賛がある。そういえば伊勢物語の「聖地めぐり」はしたことがない。

菊簾図屛風  胡粉で盛り上がる菊たち。簾があることで使われていた感じもあったりで面白い。

この室内の〆は仁清の芥子文の大きな壺。出光の人気者。

第4章 かたちを受け継ぐ

とりあえず三組の風神雷神図をみました。
宗達、光琳、抱一。少しずつ変わってきてて、それぞれの個性が出ていて楽しかった。
特に抱一の二人組、ジムで汗流しているようにしか見えん。風神はタオルの縄跳び、雷神は鉄アレイ運動。
メタボ解消にがんばれ。

後期には抱一の夏秋草図屏風が出ていた。
これもいい絵だ。
東京では東博でこの絵がでると、お客が押し寄せる。
絵の裏(表)にはこないだまで出ていた光琳の風神雷神。

ゆるキャラ三十六歌仙の絵が二枚。
光琳がオリジナルで抱一がそのカバー。これを見ていて気づいたのだが、男より女の方が顔が長いなあ。

色紙に彼らが一枚ずつ登場する貼交屏風がきていた。プライスコレクションの一。内覧会の折り、ご夫妻でおこしやったなあ。
背景は右が白梅、たんぽぽ、すみれ、れんげ、花菖蒲、枝垂桜、あじさい、左が朝顔、萩、ススキ、蔦紅葉・・・

其一の歌仙図もあるが、そちらより檜図がいい。シダみたいで可愛い。

光琳の歌仙画稿も出ていた。ゆるキャラ製造過程。

第5章 光琳 琳派爛漫

定家の十二ヶ月の和歌を絵にしたのは抱一のが好きだが、やきものは乾山が素敵だ。
光琳の絵はどちらかといえばシックで地味なくらいだった。

光琳の絵が並ぶ。さすがに見た絵が多い。
構図で好きなのは「太公望図屏風」と「白楽天図屏風」。なんとなくだが、上からみるより下から見る方が面白い。
近年「ニッポンスゴい」な番組が多いが、この元ネタの能「白楽天」は元祖「ニッポンスゴい」な話やな。

今回「琳派展」のためのキャラ・とらりんが誕生したが、そのとらりんがここにいた。
光琳の竹虎図のとらりん。可愛いなあ。
着ぐるみで愛嬌モンでした。
あとでショップのぞいたらとらりんのグッズがたくさんあって、手の先が可愛かったなあ。

夏草図屏風 根津美術館の展覧会で見たとき、花の行進だと思った。かっこよかったなあ。
今回もすごくかっこいい。
白い牡丹、芥子、立葵、百合。中に立つ赤の立葵、行列の端には青い花と緑の葉。

槇図屏風 金箔の背景に槇の木。昔は槇が嫌いだった。
家の玄関にかかる木なのだが、わたしは松がほしかったのに槇だった。それでニセモノ・バッタモンと憎んだのだが、年をとるにつれ槇の木の良さを知り、今では槇への愛情があふれている。あの頃に槇の良さを誰かが教えてくれていたら、とたまに思う。
尤もそれはサザンカ、赤いままのモミジも同じだった。
今年は家のサザンカがものすごくたくさんつぼみになっている。

小西家伝来の光琳の鳥類スケッチが出ていた。応挙もびっくりぽんの精密スケッチである。
やっぱり基礎がきちんと出来ているからこそ、ああいうゆるキャラもこしらえられるのだなあ。

衣装図案は雁金屋のボンボンやねんから、言うたらあれくらい出来なあかんでしょう。
そして財産分けの証書。自己破産しはるくらいの道楽者で、絵描きになったのも食うに困ってという理由なのがすごいな。普通は「絵描きになりたい」で絵描きになるのに、「雀百まで」のクチで絵がうまく「芸は身を助く」で絵師になるのだからなあ。

第6章 くらしを彩る

香包みが数種出ていた。少し前に細見美術館所蔵の琳派展があり、そこで香包みの工夫を知った。
千羽鶴、白梅。柳、蔦、菊などなど。

団扇もいろいろ。
中でも「蕨」はいつみても諸星大二郎のヒルコにしか見えんのよね。

扇面貼交手筥 光琳 大和文庫の名品の一つ。展開図ありますわ。
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螺鈿蒔絵硯箱がいろいろ。
櫻狩、八つ橋など。ああ、やはり螺鈿の良さが目に残る。
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手描き文様の小袖も素敵。日本画家の描く着物はやっぱり魅力的だ。

雁金屋兄弟コラボのやきもの、乾山一人の素晴らしいやきものの数々が現れた。
このあたりはもう何をいまさら書くことがあろうか。
好きだとしかいいようがないし、素晴らしいとしか言いようがないではないか。
実際のところ乾山作品でよくないものなどないのだ。
ただただ陶然と眺めた。

文化庁蔵の八ッ橋図を久しぶりにみた。乾山の丁寧ではないが愛らしい八つ橋に詞書のついたもの。
賞玩したくなる作品。

槇鹿蒔絵螺鈿料紙・硯箱 永田友治  これも槇。前述のとおり今では愛しい槇と金銀の鹿。

枝豆蒔絵螺鈿硯箱  わざわざ蒔絵螺鈿でなぜ枝豆w可愛いなあ。

第7章 光琳の後継者たち 琳派転生

「光琳を慕う芳中」のわんこ絵があった。大人気の絵柄で、今ではちょいちょい雑貨屋さんでも見かけるようになった。可愛いのう、眠るわんこ。

光琳を公に慕った抱一の作品が色々あった。
「京を彩る」展であってもこうして江戸琳派も紹介している。けっこうなことだ。
四季花鳥図巻、八ッ橋図屏風、これらが来ていただけでも本当にうれしい。
よく来てくれたねと言う感じ。
「琳派の後継者はわたしだからね」という声が聞こえてきそうだが、抱一、其一のあとしばらくしてやはり京都へ琳派がつながったというのが面白い。

流辺楓樹図屏風 これは先祖返りしたような感じがあり、その意味で面白い。
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十二か月花鳥図も来ていて、嬉しいことだった。ただしこちらは三の丸の。
わたしのすきなみみずくはいない。

細見からは抱一の団扇がいろいろあった。
羊遊斎と抱一のコラボ作品もある。

きれいなもの・愛らしいもの・きらびやかなもの…トキメキの多い展覧会だった。
11/23まで。
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