美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

竹の美 茶道具を中心に

香雪美術館で「竹の美 茶道具を中心に」展の前期を見た。
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日本人の竹好きは中国、朝鮮よりも大きいような気がする。
白浜のパンダにあげる笹は河内長野とか岸和田辺りまで出て採るという話だが、それは管理放棄されたとはいえ、元が竹林として活きてたからまだ残っているのだろう。
現代でもなんとなく竹を喜ぶところがある。
わたしなども黒七味を買う時、今は入れ替え用のを買うが、最初は竹筒のをいいなーと思ったものだ。(実際には小さい木筒のを使用しているが)

今より昔の方がもっと竹の使い応えもあったろう。
食器も竹製のがあるくらいだし。
和風の庭には竹は欠かせない。医者の庭には竹はいらない。
とかなんとか言ううちに、展覧会を見た。
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1.竹をモチーフとして

日月桐竹鳳凰孔雀図屏風 桃山―江戸 狩野派ぽい。金地屏風の右には桐と鳳凰カプ。赤いタンポポや青い桐の花、赤紫と白の二種の花菖蒲などが咲いている。
はりつきの金の日は金物。鳳凰は桐に住み、竹を食べるそうな。
左は孔雀一家。お母さんは両脇に子供を抱えるが、一羽わるいチビがひょこひょこ歩きだす。パパは何もせずじっと立ってるだけ。金物の半月の月は桐の葉を食む。むしゃむしゃ。こちらは竹を守る孔雀一家。

竹虎図屏風 2曲1隻 江戸 丸い目に鋭いアイシャドーが入るオスの虎。メスの豹はグーグーと気持ちよさそうに眠る。なかなか可愛い。

雪村 花木白鷺図 室町―桃山 薄紅の薔薇の樹に外線のない白鷺が身を隠す。一羽はどうやら卵を温めているらしい。

狩野元信 撃竹悟道図 室町 禅関係の人々の「!」の機会はなにがどうなるか知れたもんではない。この人は竹箒で掃除中に掃いた瓦の欠片が竹に当たりキーンとなったので「!」となったそうだ。
アイデアが浮かんだ、というピクトグラム(と言うてもいいと思う)では滝田ゆうの吹出しに50wの電気がピカッというのがベストだが、まぁ禅の人らだとやっぱり「!」でいいか。

伝・王淵 花鳥図 明  右は五位鷺に瑠璃鳥。桃に竹に海棠も咲く。左は芙蓉に木瓜。シジュウカラと鴛鴦。明代の花鳥画はたまにルネサンス以前の泰西名画を思い出させるものがある。

薮内節庵 墨竹図 明治―昭和 剛直な竹。すっ としている。

青磁笋花入 龍泉窯 南宋 けっこう下部がふっくらしている。シンプルでいい。

青磁竹節大香炉 龍泉窯 南宋 火屋は笹柄。10世中川浄益の作。
香炉にも水指にもなる、てどんなんやと思いつつ。

清水高砂文扇形菓子重 江戸―明治 三重の菓子器。七宝の透かしあり。薯蕷饅頭とか入れたいな。

高麗井戸茶碗 銘・燕庵 朝鮮  おお、久しぶり。枇杷色の井戸茶碗。その茶碗を蔵う器自体も黒漆のシックなもので、ちょっとヨーグルトにフルーツとす入れるボウルにもピッタリなのだった。

高取竹文茶碗 江戸 竹の絵は宮崎友禅斎によるらしい。高取焼て福岡県だが、友禅斎は福岡にまで行ったのだろうか。それとも彼の絵を持って帰って?

松鶴文蒔絵重箱 明治 これがなかなか大柄な五重の箱で梨子地に鶴と松とが奔放に描かれている。木の上には巣があり、子供もいる。中にはよちよち歩きの子連れもいる。とても立派なお重。

御殿鴛鴦文蒔絵小硯箱 小さい小さい硯。ちゃんと墨も筆もついている。可愛いが使えたのかと思うくらい。

山水人物文螺鈿額 明  かなり傷んでいる。勿体ないね。

唐美人文螺鈿軸盆 明  5人の唐美人が庭でテーブルを中心に楽しそうにしている。おしゃべりする声が聞こえてきそう。

呉須有馬筆竹人物文四方香合 明  小さいツマミが人物型で、それを有馬名物の人形筆に見立てている。
全然関係ないが今東光「悪名」で朝吉が一旦大阪から逃げた後、実家に戻ると父親がどこ行ってたと尋ねたとき、朝吉は「有馬で筆人形の拵え方習うてた」とうそをつくシーンがあった。昭和の真ん中までは確かに人形筆もよく売れたのかもしれない。

村田耕閑 唐銅竹文太鼓銅建水 明治  これは胴回りに竹柄バナーが入ってるお碗。
この職人さんは明治22年に祇園祭の鯉山の欄縁や角金具を拵えたという記録がある。

青木木米 群仙図四方鉢 江戸  赤地に薄青緑の釉薬の仙人たちがわんさという鉢。

柿右衛門様式 色絵花鳥文中皿 江戸  発色が大変きれい。薄い縹色の小鳥が逆上がり中のようなポーズで描かれている。

笹や竹の蓋置が可愛い。本当の竹ではなくやきものや銅など。
本物そっくりなのも面白い。

久須来郎 桐竹透風炉先屏風 明治―昭和 桐竹は何故こんなにもセットになるのだろう…桐竹紋十郎とか勘十郎とか。これは文楽の人形遣いか。

驚いたのが二階の一隅にセッティングされた洋風家具の一群。
あの隣接する村山邸から特別に運ばれてきた家具だというではないか。
解説を読む。
洋館の二階居間、通称「竹の間」から運ばれてきた椅子2、ロングチェア1、脇卓2。
いずれも竹をモチーフにした意匠がある。他の家具も大方は竹の意匠がある。
素晴らしい。わたしは簡単な絵を描いたが、それを表に出せないのは絵が下手すぎるからだが、幸いポスターにそのロングチェアが出ていた。
これで他の家具も想像してください。

家具は形自体はアールヌーヴォーというよりイギリスのモリス商会関連にありそうな形。
サイドに竹を使った卓もいい。透かしもあるし椅子。いいなあ。
写真で見ると暖炉カバーも竹だった。
以前にあの閉ざされた向こうの空間に一度だけ入らせていただいたが、固く撮影とメモが禁じられていたので、今では曖昧な記憶しかない。
明治の大邸宅。唐津の高取邸などのように写真集が出たら、と思っている。

2.竹を素材にして

唐物籠花入 銘・木耳 明  当たり前なんだが「木耳」と書いてこの字をキクラゲと読むのは日本だけですわな。明代のこの籠はキミミと読むそうな。ちょっとわたしとしては色々とこだわるけど、まぁなあ。そうそうわたしがキクラゲが木耳と書くと知ったのは「カムイ」か「サスケ」かのどちらかで見て覚えたから。賢明な読者諸君の一人だったのです。え゛?…今調べたらカムイだった。女装するカムイ。
1926年にはこの写しが作られていて、今回ここで仲良く並んでいた。

例の吉良上野介の首のあの籠花入は後期に出ます。

宗旦 二重切花入 銘・のんかう 江戸  これが樂家三世道入を「ノンコウ」にしたブツやそうです。(諸説あるうちの一つ)
宗旦と当時「吉兵衛」と名乗っていた道入とでお伊勢ツアーに出たとき、「のんこ茶屋」で一休みした。そのときなかなかエエ竹を見つけて、宗旦に「これで花入拵えて」と頼んだ。宗旦はこの20歳ほど年下の樂家の跡取りのためにちょいちょいとエエ具合の花入を拵えてプレゼントしたわけです。喜んだ吉兵衛くんはその花入を愛用。
それで彼が通称「ノンコウ」になったというお話でした。
エエ話ですな。
尤も宗旦はノンコウのオリジナル作品より長次郎の写しのような堅いのを拵えさせようとしてたみたいですが。

ところでこのところ香雪美術館の展示リストは以前と様変わりし、裏面にお役立ち情報を入れてくれるようになった。
今回は花入と茶杓のことを教えてくれる。
わかっているつもりでも細かいところがわからないわたしには、本当に助かります。
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さてその竹の花入がたくさん並んでいる。
どちらかといえばわたしは一重切が好みかな。

籔内剣仲、織部、小堀遠州らの手製の竹の花入、珠光、紹鴎、剣仲、秀吉、清正、有楽らの手製茶杓があった。
それぞれの個性がよく出ていてかなり面白い。
特に茶杓の差違がすごい。
珠光のはバターナイフかメス、剣仲はやっぱり籔内流だけに堅い。戦国の三人は力強そう。
こういうのが楽しい。

ある日の村山龍平の茶会記をみると、今回出ている井戸の燕庵、竹の蓋置、自在などの名もあった。
ほかに与次郎の姥口の釜の名もある。
展示されている釜はまた別物で「松向寺」と浮かんでいる。

笙もある。村山コレクション唯一の楽器。
あまり音曲に関心がなかったのだろうか。

最後にまた久須来郎の風炉先屏風があった。
夏は網代、冬は桐板を使うそうだ。

今回、村山邸の家具を見ることができたのは望外の喜びだった。建物は河合幾次の設計で竹中の施工。
三枚の写真もあり、嬉しかった。

なお後期11/19―12/23には抱一の「十二ヶ月花鳥図押絵貼屏風」出現。ミミズクの可愛いのが出る。
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