美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

利休を超えた織部とは?/柿右衛門・古伊万里金襴手

二つのやきもの展の感想を挙げる。

今年は琳派400年、古田織部没後400年の節目の年で展覧会が各地で盛大に開催されている。
珍しいことに本能寺の大宝物館で織部の展覧会が開催中である。
これは湯島天神、熱田神宮と巡回したのがとうとう京都へ来たという展覧会である。
たいへん行きやすい場所に今の本能寺があるので、気軽く出掛けた。ここへは二度目の展覧会鑑賞になる。

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宝物殿にはいると最初に目に入るのは、信長が滅びる前夜に鳴いたとかいう三本足の蛙の香炉。
それをみてから織部焼などを見る。
織部の書簡などがある。
友人関係がこの辺りから見えてくる。

織部好みのやきものが集まる。
彼が登場したことで会席が一変し、遊び心あふれるものになったそうだ。
その人気の高さについて醒酔笑で「盃を織部と思うている人」がいるということを記している。
昔のアメリカでTDKがカセットテープで圧倒的なシェアを誇っていた頃、「SONYのTDKをくれ」と買いに行く人が多かった、という話を思いだす。

信楽肩衝茶入 近藤其日庵旧蔵  石を削ったようにも見えるやきもの。
志野織部草花文茶入 ゆがみと花柄が景色。
織部林文肩衝茶入 上部に丰丰丰な木々が白地に。等伯の松林図を思いだす。
青織部千鳥文香合 上に一羽いるが可愛い。サイドには二羽のみ。つつましい。

・デザイナー織部
ここでは茶杓、釜、灰匙、盆などが出ている。

織部の拵えた凄い節入り茶杓が気に入った。共筒に「鵜 善六様まいる」とある。
四世宗哲の塗茶碗がとてもいい。

・書院茶の湯の発展
鉄釉犬置物 おお、白犬で尻尾くるん。耳が立つのもいい。
総織部兎型硯 全体がウサギの耳の長く伸びたのが枠になる。だから見ようによっては玄武風。
舟形向付はグラタン皿の様だがそれに使えるなあ、と思うくらい時代の流れを感じさせないデザイン。

青織部絵替誰が袖屏風形向付五客 おお、可愛い。ちゃんと袖になっている。
ほかにも梅型、二重餅型、青森県形などがある。
絵の方も吊るし柿や笹文の透かしなどがあり、いろんなデザインの設えがいい。
尤も千鳥が一番いいようにも思えるが。

ところどころに四世宗哲の塗り物があり、そのよさをしみじみと味わう。
塗師の仕事は手と口と目とを満足させないといけない。

面白いものが並ぶのを見た。織部焼の煙管。
青織部、灰釉、志野織部などなど。
こんなの見たの初めて。羅宇は掃除できそうにないな。
鉈豆型のもある。実際に使っていたのだろうか。

コワイのは南蛮人の燭台…「燈台鬼」を思い出すよ。あれは幼年期の一大トラウマなので、近年は山口晃えがく美少年のも思い出すことにしている。
そうすることで恐怖は少し鎮まる。

織部の茶会の再現などもあり、仄暗い宝物殿ではあるが、明るい心持で見て回った。
実際のところは、もっと後世のものの方が好きなのでよくわかりはしないのだが。
12/25まで。

今度は戸栗美術館の「柿右衛門・古伊万里金襴手」展。
派手派手で華やかな金襴手と余白を利用する柿右衛門様式とを愉しんだ。
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今回は様式の特徴ごとに分けての展示だった。
何も考えずに見て回るからたやすく越境してしまう。

甕割人物文八角皿 司馬温公の子ども時分の賢い説話ですな。大甕に落ちた友人を救うために甕を叩き割る温公。
まぁしかし割れるやきものにその絵をつけるのはどうやねんというのもあるな。

唐子秋草、人物舟遊など状況のはっきりした絵柄も少なくない。
竹虎文、獅子文、花鳥文、親しい絵柄のやきものたち。

唐子秋草、人物舟遊など状況のはっきりした絵柄も少なくない。
竹虎文、獅子文、花鳥文、親しい絵柄のやきものたち。
色絵と染付併用などがあり、いい感じの作品が多い。

ここからは輸出向けの派手なものたち。
チラシに出ているのは「色絵獅子牡丹菊梅文蓋付壺」なのだが、この形を「沈香壺」と言うそうな。実際に人口を入れていたのかどうかは知らない。

色絵唐子唐草文皿 縁にいる唐子が唐草に絡んで遊ぶ様子。ジャックと豆の木を思わせる。

色絵人形が並ぶ。
町衆 本多髷の男。
若衆 こちらもそう。髪型の流行り廃りがこうしたところからもわかる。
2人とも顔は上向け。

国内向けのはどちらかといえば中国風な吉祥文様が多かった。
龍鳳文、壽字に宝尽くし、唐花、魚藻もんなどなど。瓔珞文もある。

同時代の染付がいい。
抑えたようなところはあるが押さえつけられた感じはしない。
水仙文、梅花文、山水文…

鍋島との関わりとして、弓破魔皿なども展示されていた。

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染付の月兎文などは見ていて本当に可愛いし欲しくなる。
青磁鳥文鉢もいい。ごくシンプルに鷺の立姿が描かれている。

初期伊万里のこうした文様が好きだ。

釉はげの入ったものもいい。まるで蛍の様だ。

細かいことはいちいち言わない。見慣れたものだということが安心感を与えてくれる。
そして心をなだらかにしてくれる。
虫食いを見ても絵のずれを見ても褪色し始めたものをみても、必ずなにかしら心に残るものがある。
そのとき心に残らずとも意識の底に眠ることで、いつか浮上するのだ。
だからこそ、親しいもの・見慣れたものをこそ、明るい心持でみつめるのだ。

というわけで、いいココロモチで見て回った。12/23まで。

追加。今回の解説シートがある。
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