美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

唐画もん 武禅に閬苑、若冲も

大坂の唐画(から・え)を集めた展覧会が大阪歴博で開催中。
千葉市美術館で好評を博した後の巡回。
大阪には近世・近代に面白い画家が多かったが、長らく埋もれたままだった。
こうして紹介されて人気が出てくると、とても嬉しい。

共通のチラシ。イメージ (71)

そしてこちらは千葉と大阪のチラシ。
イメージ (75) イメージ (77)

それぞれ凝っているが、わたしの好みはむしろ千葉かな。

惹句も「知られざる大坂の異才」と「大坂発、奇想ワールド」と違うがどちらもその通りのコピー。
わたしなんぞは今回の展覧会で初めて墨江武禅を知ったし、林閬苑もこんなにたくさん見たこともなかった。
前後期の展示でわたしが行ったのは後期。

イメージ (76)

第1章 武禅の師友
最初に月岡雪鼎などのやさしい絵が現れる。
いい導入部。

曽我五郎と化粧坂の少将 雪鼎  まだ五郎はべたりと座敷にいて、少将が立ったところへ手を差し出して、その柔らかな手を握る。
この手の感じに深い情愛を感じる。

花美人図 雪鼎  白い梨の花を手にして佇む女。思えば梨の花を描くのは少ないのではないだろうか。
このあたりから少しずつ唐画へと移行し始める。

牽牛織女図 雪斎  牛に乗る女の前髪には鶴か鷺かの飾り物がつく。思えば自分らの恋に夢中になって罪科を負うのはこの二人が始まりか。後には日本でお軽と勘平もいる、イタリアでフランチェスカとパオロ、イングランドでトリスタンとイゾルデ…

美人納涼図 桂宗信  小手をかざした女が土坡に立ち、月の入りを見上げる。
案外こういう構図を見ない。

雪景山水図 蔀関月  雪に覆われた山が高く伸び、その下にはもこもこと雪に覆われた木々などがある。前景後景で雪の表現を変えているのがいい。
「外隈で降り積もる雪を表現している」そうで、白だとそれが活きるのを実感。

第2章 墨江武禅
ここで大量に彼の絵を見た。

美人図  チラシにも出ている、座ったなりの美しい女。衣裳も豪華。上品な女なので一瞬上臈にも見える。立派な位の太夫なのだろうか。

柳櫻稚児図  稚児髷の二人の美少年が池の端に立って水面に顔を出す蛙を見ている。
まだまだ可愛いところのある二人。
こういう子らがさらわれて「花月」なり「梅若丸」なりになるのかもしれない。

春色山水図  ロングで捉えた風景の中にも自然、それから人間がいる。少年が橋を渡ると犬が喜んで駆け寄ってくる。

青緑山水図がいくつかあり、先般大和文華館でみた「蘇州で見る夢」と同じ形式だと知る。

小さな画帖には雪佳の描きそうな可愛らしい茅屋が描かれている。

水墨山水図  西湖を描いていて、例の半円形の橋・白堤も可愛らしく描かれていた。

蓬莱図がいくつもある。唐画にはやはり蓬莱図か。551枚ないのが残念。
亀が妙に気になる。集まるところとか荒波を超えてくるところとか。

雪を描くのもいい。雪の積もった実感がある。そういうのが好きだ。

龍図に仁海益州の虎図を合わせて対にしているのがある。これは愉しい。
元からの競作なのか後からの見立てかは知らないが、所有者は同じ表装にしているので、とてもいい感じに見える。

占景盤というものが流行っていたそうだ。盆石みたいな感じで、それを絵にとどめている。中には小さい民家や橋とかいったものも置かれるので、小さい箱庭のようなものだ。
ユングの箱庭療法は砂を使うがこちらは石を置くのだ。

第3章 閬苑の師友

群仙図屏風 福原五岳  鯉こわっ!水面を往く仙人たち。笹やフクベや龍に乗って水面を走る。

花鳥図 浜田杏堂  二羽の鳩がいる。高山辰雄も東洋画からそうした絵を描いていたのを想う。

第4章 林閬苑
例の筆先を少し伸ばしての点描の米芾の「米法」様式で描いた風景などが多い。

宮女遊戯図  木村蒹葭堂さん江という絵である。ロングで中国の美人図を描く。

達磨図  しょぼくれた顔で手酌の酒を飲む達磨。戯れ歌があり「九年なに くかい十年 花ころも」…まぁな。

蹴鞠図  ゲーム中の事故シーン。蹴鞠、顔に飛び込む!

漢功臣図  目つき顔つきの悪い三人がひそひそ。誰が誰かわからんが、やっぱり親玉が元は無頼漢だったのを考えると子分もそらまあな。

関羽図  こちらは賢そうに読書中。春秋左氏伝を読んでるらしい。

孔子十哲図  でこにXがあるのは武闘派の子路か。香炉の前には麒麟もいる。

桃李園図  仇英のを知恩院で見て、その一部分を描いたようだ。いいなあ。

円窓美人図もいくつか。いい感じ。母子で機嫌よくお散歩図もある。

黒々とした鷲図、南蘋風の寒蘭図、白孔雀図なども面白く、豆本もよかった。
竹虎図は顔をぐーっと挙げた虎が面白い。

イメージ (72)

第5章 上方絵師百花繚乱
若冲が多かったね。

柿猿図 若冲  こずるい顔の猿が手を伸ばして柿を取ろうとする。なかなかうまくゆかない。しかしよくよく考えたら「猿蟹」の話はいかにも日本の風土に沿うた話やわな。農業従事者の努力を無にする者、契約書はなく口約束、その口約束を破るものへの制裁…仇討という名目で一個の猿を攻撃するだけでなく、実は集団闘争賛美とか色々。

乗輿舟 けっこう長く伸びていた。わたしは源八の渡し辺りが結構好きだ。

象鯨図 松本奉時  若冲のあれとよく似ている。こっちはそのトリミングした感じ。

蝦蟇図 松本奉時  がまっっっ…この人は前にもここで見ています。カエル好きの人。
他に「気」を吐く三本足の蛙の絵もあった。

蕭白の虎渓三笑、蕪村の寒山拾得などもある。

蝦蟇仙人図 森周峰  狙仙の兄弟。この蝦蟇仙人はけっこう暴力的やな。頭をぐっと押して、それで蝦蟇に気を吐かせている。

久しぶりに耳鳥斎の地獄などをみた。
猿まわし、立花師、茶師、硯師、綱渡り、手打ち、馬追、ところてん、鳥さし、川魚屋も飴屋、染物屋、桶屋…
どれもこれもヤラレてる人間たちが妙に楽しそうなのが多い。鬼たちは真面目。
なんだかんだと面白いものをたくさん見た。

12/13まで。
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