美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

蝉類博物館 昆虫黄金期を築いた天才・加藤正世博士の世界

「蝉類博物館 昆虫黄金期を築いた天才・加藤正世博士の世界」展が石神井公園ふるさと文化館で開催中。
この博士は昭和初期の昆虫ブームの立役者で、生前はこの石神井公園に小さな蝉類博物館を開いていたそうだ。
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蝉、この不思議なる昆虫。
六年も七年も土の中にいて、ようやく這い出して樹に止まり、脱皮して数日でころりと死ぬ虫。命の短さを憐れに思うようになってからは取ろうとも追わないが、それでもいまだに子供らを狩に向かわせる虫。
中国ではその生涯の特性を吉祥と見做され、長く玉器などに意匠化されてきた。
「儚いもの」という認識のものが別な文化の下では吉祥文になっている、と知ってからは何となくほっとしている。

加藤博士はごく幼いころから蝉好きだったようで、その情熱が長く続いたというのは凄い。
尤も途中で航空関係にも強い興味を持ったそうだが、どちらにしろ飛ぶものという共通点がある(といえばある)。

博士の手書きの解説プレートなどは独特の書き文字や内容もよいのでそのままの展示ということになっていた。
だから今回の展示はかつての蝉類博物館の再現になってもいる。
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壁面いっぱいに昆虫採集箱が並ぶ。4段x23箱。箱はもちろんそれ以上ある。
北海道から南までの蝉の分布。
わたしが知ってるのはアブラゼミ、クマゼミ、ニイニイゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシくらいなのだが、実にたくさんの蝉がいて、サイズも全然違うのにはびっくりした。
すごく小さい蝉もいるのも初めて知った。そうなのか、こんなのがいるのか。
さらに巨大な蝉もいて、さぞやかましいだろうと思ったり。
地域性も面白い。それらを加藤博士の独特の書体と表現が教えてくれる。

それにしても昆虫好きな人というものは、どうしてもこうして捕獲・解剖・剥製・標本作りに向かうのだろう…
猫好き犬好きはそうは向わないからなあ。
(上記の手順を彼らに行うのが楽しいと思うのはシリアルキラーになるのかもしれない)

蝉は敵が多い。人間だけでなく、他の昆虫や蛇などに捕食される。
そんなのも標本や撮影がある。うわ…
蝉だけでなく蝶々やトンボの標本もあった。
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ところで博士は1967年に亡くなられているので、その後の蝉の分布の変化をご存じないのは残念な気がする。
クマゼミが九州から東上してきていて、関西はもう油蝉もニイニイゼミも負けてしまったのだ。
電線に卵をつける習性があるクマゼミから電線を守るために、わざわざ新たな電線が開発されてもいる。1SM―IFドロップケーブルなどがそうだった。
蝉も現代は色々と大変なのだ。

わたしはやっぱり夏の暑い時分にジャワジャワジージー鳴き倒す蝉の声があると、嬉しくなる。関東に出るとミンミン鳴く声が多いが、それにも心地よさを感じる。

博士の蒐集したコレクションは今では東大博物館に納められている。
本当に安心している。
いい展覧会をみた。
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