美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝 その一

「黄金伝説展 古代地中海世界の秘宝」
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このタイトルを見てもついつい「取ったどー!」と言ってしまいがちな昨今ではある。

そもそもわたしが最初に「黄金伝説」という言葉を知ったのはなんだったろう。
わたしはあんまりキリスト教には近づかなかったので、聖人伝説を集めたものが「黄金伝説」だと知ってはいなかったように思う。
れげんだ・おうれあ。これは芥川龍之介の偽書で「奉教人の死」はここから採ったという技巧をみせていた。
黄金伝説 石川淳の戦後すぐの小説。壊滅した後の生き残った者のたくましさと、ようやく前を向くことが出来そうになった者と。
この二つを知ってから後に元ネタになった「黄金伝説」を知ったようである。

とはいえこの展覧会での「黄金伝説」は決してキリスト教の聖人伝説やそこからインスパイアされたものではなく、文字通り「黄金」をめぐる展覧会なのである。
サイトの紹介文をここに引用する。
「地中海の奥深くに、湖のような黒海が広がっています。黒海の入口は、船の難所として知られるボスポラス海峡です。ギリシャ神話によれば、英雄イアソンはこの難所をアルゴー船に乗って越えました。イアソンが目指したのは、黒海沿いの王国にある金の羊毛です。イアソンは王女メディアの助けを借りて、この金の羊毛を手中に収めました。
豊かな黄金を秘める黒海地方の物語。これがただの伝説ではないことが、約40年前に明らかになります。黒海沿岸の町ヴァルナで、大量の金の副葬品を納めた墓地が発見されたのです。それはエジプトの最古のピラミッドよりも遙か以前、今から6千年以上も前に作られた世界最古の金製品です。骨と化した埋葬者は、金の杖を携え、大ぶりの金の腕輪をいくつもはめています。骸骨の周りに散らばる円形の金は、死者がまとっていた服をきらびやかに飾っていました。本展では、最古の金が納められたこの墓を出土の状態のまま復元し、同時に、太古の金の記憶が生み出したアルゴー船伝説の絵画を展示します。
黒海の金製品から3千年以上の時を経て、比類のない金細工技術を誇ったエトルリア文明がイタリア半島に花開きます。エトルリア人の謎に満ちた至高の芸を、ヴァチカン美術館の名高い金の腕輪でとくとご覧ください。 本展では、地中海地域の古代文明がもたらした金の傑作の数々を、金を題材とする絵画とともに展示し、黄金に魅了された人類の歴史をひもといていきます。」

そう、ギリシャ神話のアルゴー・ノートが目指した黄金の羊毛、あれから始まる展覧会なのである。
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第1章 I世界最古の金
アルゴーノートの前夜譚から始まる。

アッティカ赤像式ペリケ、金毛の羊に乗るプリクソス 紀元前460年―紀元前450年 アテネ国立考古学博物館
裸の美少年プリクソスはこうして王の娘婿になった。
しかし王の娘にはメディアがいる。既にここですべての人の運命に暗雲がかかることを思わずにはいられない。

ギュスターヴ・モロー イアソン 1865年 パリ、オルセー美術館
好きな絵である。イアソンに力を貸すメディア。彼に寄り添って微笑んでいる。その背後には金毛の羊の首がある。イアソンの足元には刺された白い鷲…彼らの頭上には不気味な鳥が飛ぶ。

エラスムス・クエリヌス 金の羊毛を手にするイアソン 1636-1638年 マドリード、プラド美術館
ローマの軍装をするイアソン。とても喜んでいる。柱や卓の足の装飾がいい。獅子の足のようなものもあった。

ギュスターヴ・モロー アルゴー船の乗組員 1885年頃 パリ、ギュスターヴ・モロー美術館
羊頭を船首につけて、力強く船を漕ぐアルゴーノートの裸夫たち。

ハーバート・ジェイムズ・ドレイパー 金の羊毛 1904年頃 ブラッドフォード美術館
こちらも船を漕ぐ。既にメディアもいて、彼女に手を差し伸べようとするものに対している。
向こうは彼女が見捨てた弟なのかもしれない。

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さて6千年以前の黄金の装飾を見る。

ヴァルナ銅石器時代墓地第43号墓
その再現があった。そしてそこから発見された数々の金たち、装飾品などが事細かに紹介されている。
902個の金製ビーズ、首の上に置かれていた一連のビーズ277個、首と胸の上に置かれていた一連のビー ズ406個、衣装と弓袋に縫いつけられていたビー ズ61個…
この骨の人は170-175cmの50-65歳の男性で、権力者だっという推測がある。他にもいくつす発見されている中で、この人だけで1.5kgの黄金が使われているそうだ。総量が6kgだから実に四分の一。
紀元前5千年紀、ヴァルナ歴史博物館の宝。

ヴァルナ銅石器時代墓地第43号墓
その再現があった。そしてそこから発見された数々の金たち、装飾品などが事細かに紹介されている。
902個の金製ビーズ、首の上に置かれていた一連のビーズ277個、首と胸の上に置かれていた一連のビー ズ406個、衣装と弓袋に縫いつけられていたビー ズ61個…
この骨の人は170-175cmの50-65歳の男性で、権力者だっという推測がある。他にもいくつす発見されている中で、この人だけで1.5kgの黄金が使われているそうだ。総量が6kgだから実に四分の一。
紀元前5千年紀、ヴァルナ歴史博物館の宝。

第 2 章 II古代ギリシャ
古代国家間の戦争を想う。

両刃 斧 の ミ ニ チ ュ ア 2 個 紀 元 前 1 5 世 紀 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
まるでミノアのような。と思ったら、出土地はクレタだった。やはり牛の国。
他にも、雄牛 の 頭 部 を か た ど っ た 耳 飾 り、神殿 の 形 に 切 り 抜 い た 飾 り 板、八の 字 形 の 盾 の ミ ニ チ ュ アなどがある。

そしてミュケナイの5cm大の小さくて可愛いものたち。
蝶が 表 さ れ た 円 形 飾 り 2 個、葉脈 が 表 さ れ た 飾 り 板、葉の 形 を し た 飾 り 板、渦巻 き 模 様 が 表 さ れ た 円 形 飾 り 2 個、渦巻 き 模 様 が 表 さ れ た 円 形 飾 り 2 個、花が 表 さ れ た 円 形 飾 り 2 個 などなど。

「膝 当 て 」 と 呼 ば れ る 装 飾 紀 元 前 1 6 世 紀 後 半 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館 41ディ ア デ マ ま た は 帯 紀 元 前 1 6 世 紀 後 半 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
これが面白い形をしていた。ヒトが両手を頭上でつないで「まるっ」としているような形。
思わず小さく写したよ。

蛸の 形 に 切 り 抜 い た 飾 り 板 3 個 紀 元 前 1 6 世 紀 後 半 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
これがいずれも足が7本。小さいがリアルな造形である。

「テセ ウ ス の 指 輪 」 と して 知 ら れ る 印 章 指 輪 紀 元 前 1 5 世 紀 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
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下の図像は最後に現れるもの。お楽しみに。

「牛跳び」の神事は諸星大二郎「ミノスの牡牛」で知った。いけにえ、そして巫女の少女たちが牛跳びを行うのだが…
諸星の作中ではテーセウスは「野蛮人」として描かれ、「高貴な」ミノスは彼のために滅ぶのだ。

二つの金の帯を見る。どちらもとても薄い。
金の 帯 紀 元 前 1 1 世 紀 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
金の 帯 紀 元 前 1 0 世 紀 ― 紀 元 前 9 世 紀 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
これだけ薄いのを見ると、高橋慶太郎「ヨルムンガンド」で、暗殺者が薄い日本刀をベルトに仕掛けていたのもあながちウソではないように思えてきた。

装飾品を見る。
首飾 り 紀 元 前 8 0 0 年 ― 紀 元 前 7 5 0 年 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
留め金が蛇風のもの。
彫金 細 工 が 施 さ れ た フ ィ ブ ラ 4 個 紀 元 前 8 0 0 年 ― 紀 元 前 7 5 0 年 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
留め金ピン。可愛い。
耳飾 り 一 対 紀 元 前 8 0 0 年 ― 紀 元 前 7 5 0 年 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
欲しいなあ。
帯状 の 腕 輪 紀 元 前 6 5 0 年 ― 紀 元 前 6 0 0 年 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
ファラオ風な顔がついている。一片に2面x4
動物 た ち の 女 王 が 表 さ れ た 耳 飾 り 一 対 紀 元 前 6 5 0 年 ― 紀 元 前 6 2 5 年 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
これがチラシを大きく飾る黄金の耳飾り。両脇に立つライオンを抑える女が刻まれている。

首飾 り 紀 元 前 6 世 紀 ― 紀 元 前 5 世 紀 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
松ぼっくり製の飾り物。可愛いな。

宝飾 品 を 身 に つ け た 女 神 ア フ ロ デ ィ テ を 表 す 壺 紀 元 前 4 0 0 年 ― 紀 元 前 3 7 5 年 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
貝を両端に着けた女の表現。

ディ ア デ マ 紀 元 前 3 2 5 年 ― 紀 元 前 3 0 0 年 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
冠。とても綺麗。
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耳飾 り を つ け た 女 性 を 表 す ブ ロ ン ズ 製 折 り 畳 み 鏡 紀 元 前 2 6 0 年 頃 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
かなり盛られた立体造形。

仮面と テ ュ ル ソ ス を 持 つ 女 性 が 表 さ れ た 指 輪 紀 元 前 2 0 0 年 ― 紀 元 前 1 5 0 年 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
こちらもおしりむっちり。

さらに腕輪、耳飾り、首輪などの綺麗なものがたくさん。
貴石、半貴石、エナメルが金と共に使われている。
アルファベットが入る腕輪もあり、ギリシャのアルファベットを見て、感慨深く思う。

時代が少し戻る。いずれもガーネットやアメジストが使われている。
雄牛の 頭 が 表 さ れ た 耳 飾 り 一 対 紀 元 前 4 世 紀 ― 紀 元 前 2 世 紀 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館
耳飾り、山羊 の 頭 を 表 す 耳 飾 り、とても可愛い。

アメシ ス ト の 耳 飾 り 一 対 古 代 ロ ー マ 時 代 ア テ ネ 国 立 考 古 学 博 物 館

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やっぱりこのあたりの装飾品に大いにそそられる…

青色マラカイト、ガーネット、トパーズなどで装飾された首飾り、花柄を集めた円形ペンダント、道路標識のような飾り板、裏から打ち出し細工の飾り板、様々な装身具…
みているだけで胸がいっぱいになる。

続きはまた明日にする。展覧会でも実際このあたりで時計を見ていた。
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