美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

並河靖之七宝記念館、樂美術館、有斐斎弘道館に遊ぶ

並河靖之七宝記念館、樂美術館、有斐斎弘道館に遊んだ。
ご一緒した@hikotaさんが様々なことに詳しい方なので話が弾む弾むで、楽しい半日ツアーとなった。
今年は紅葉がイマイチですなあなどと話しながら岡崎の裏道の川沿いを歩くうち、赤い楓がチラチラ。
その赤い楓は並河記念館の目印となってました。


有線七宝の名人たる並河の作品、虫籠窓のある明治半ばの豊かな和風邸宅、七世小川治兵衛の庭園、と三つの楽しみが融合した素敵な空間なのだった。


秋期展は「並河七宝の古雅」として、優美な作品が集まっていた。
明治になり黒の釉薬が生まれ、そこから表現も多様化した。
明治だからこその「和の美」がそこにある。

余白の美、寄り集まる美、どちらもが日本の美の特質だと改めて知る。
それがここでいちどきに見ることがかなう。

黒地に花が乱れ咲き、少し先のなにもない空間に蝶が舞う。
とどめられた時間。傷むことのなくなった花と蝶。
心地よく眺めた。

臙脂色もまた明治の色だった。
染め物としては既に活きていたが、やきものの色になったのは新しい。
その新しい時代の色を背景に、緻密な描写の花が咲く。

花も一様ではない。
藤の花びらも数種あるのを知る。
偶然の手のいたずらなどではなく、きちんと描き分けられた下絵をみて、花の描写の丁寧さに驚く。
イメージ (43)

菖蒲、桜草、蒲公英の愛らしさ。松竹梅も雪文風にまとめられ、その意匠の巧さに衝かれる。

修学院、金閣寺の文様もある。リアルではないが、しかしそこへ行きたくなる魅力がある。
いいものをみた。

お庭は植治。苔蒸した岩の隙間に小さく羊歯が咲いているのが愛らしい。池の水は琵琶湖疏水から。
巨大な手水鉢はこれはしかし実際には使われなかったろうと推理した。





通り庭も入らせてもらい、高い天井の明かり取りの空間を見上げる。古い和の居住空間の良さと実際のしんどさとを想った。

東大路まで出て、先般初めて世に現れた信行寺の前を通り、バスを待つ。
わたしたちの行き先は堀川寺之内なのでバスの乗り継ぎをすればよいのだが、例によって京都の市バスの優秀さをたのんで適当に乗ったところ、錦林車庫経由で乗り換えとなるバスだった。
車窓観光を楽しむということで、と言いながら喋り倒す内に堀川今出川についている。

hikotaさんのお買い物についてゆく。愛らしい落雁を購入されていた。
それでわたしは落雁に関する思い出話をするが、あまりにあほらしい内容なので内緒。
皆さん、落雁は砂糖ではないんですよ、コーヒー、紅茶に入れたらあきませんよ・・・←わたしはそんなことしてませんで。

田丸弥さんにいき、寒かったのでにゅうめんとチラシまたはシメジピラフなどのセットをお願いする。
それぞれ美味しいのです。
もう今年分は最後になる「やきぐり」といつもの「白川路」とを購入。どちらも大好き。

樂美術館にゆく。外国人の団体さん?のあとに入る。
「光悦名碗と様式の展開」として光悦、六代左入、川喜多半泥子らの作品を見る。
飴釉などは本当に美味しそうでちょっと舐めてみたくなった。
イメージ (41)

黒樂で星が散ったようなのがあったが、あれを見てわたしは「昭和史発掘」の装丁を思い出していた。
例によってなにを連想するかしれたものではない。

ハルカスで開催された半泥子展でみたものもあるように思った。柔らかな薄紅色の膚のやきものがいい。
とはいえ、結局わたしはたった一つだけ出ていたノンコウ・三代道入の黒樂茶碗に惹かれているのだが。
イメージ (42)

玄関先に赤と白との花を共に咲かせる椿の鉢があった。
「源平ですね」とhikotaさんはおっしゃる。
赤と白、しかしわたしはいまだにどちらが赤でどちらが白かはっきりと覚えられないままだった。

新町通りを歩く。ホテルを越えてお醤油の澤井さんまで来たが、それでは歩き過ぎなので戻る。
マンションの並ぶ空間に不意に現れた町家。入り口はやはり狭いが、入った途端に空気が一変した。
イメージ (44)
皆川淇園の私塾の跡地である。
今回初めて来た。

大正時代の和風邸宅の一室に招じられた。
そこできさくなお茶をふるまわれた。
お菓子は老舗・老松の「凩」である。
今の時候に合う「木枯らし」。やや大きめでよい甘さのお菓子だった。
わたしのお茶碗には十六羅漢図が描かれていた。見込みにも羅漢がおられる。
お話を伺うと、青木木米のものだった。
木米は煎茶道に熱中していたが、こうした茶碗も拵えている。
木米についての話で盛り上がる。

先ほど樂茶碗を見たが、女の口元や手には持ち重りのするものばかりだったので、やはり茶の湯は明治になるまでは男性の楽しみだったことなどを改めて話し合う。
高位の太夫に茶の湯の心得があったのは、男性をもてなすためだったからで、女性に茶の湯の道が開いたのはもやはり明治からだった。
そんな話も出て、楽しい時間を過ごせた。

二階では忠臣蔵をテーマにされた作品があり、それを眺めるのも面白かった。
ここはガラスを見事に使ってリノベされており、いい空間になっている。

お庭にも出る。
奥の座敷で多くの方が茶の湯の手ほどきを受けておられた。いいことだと思う。
はじめから知る人ばかりではないのだから。
わたしなども見よう見まねなので作法も何もないが、少しでも経験することで茶の湯への関心が生まれるものだ。

この空間が維持されていることにも驚いたが、お話を伺って、感銘を受けた。
前述の和菓子の老舗・老松さんらがマンション計画からこの空間を守られたそうである。
有志の方々により守られた貴重な空間。
そこでの楽しい時間。
とても心地よかった。



イノダコーヒー三条店でも楽しい時間を過ごしてから阪急に乗って帰った。
秋の名残、美味しいお菓子、美麗なやきもの、心に残る会話、素晴らしい庭園を味わう一日だった。

途中見かけた近代建築の名残。
並河記念館前の塀の装飾


弘道館近くの家。
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