美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

フェルメールとレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち

京都市美術館に「フェルメールとレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち」展を見に行った。
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京都市美術館の次は来年早々森美術館に巡回する。
京都での副題は「世界劇場の女性たち」である。
その「世界劇場」とはなんなのか。
サイトから引用すると以下の通り。
「17世紀のオランダ絵画は、宗教画からの離脱と日常への関心が、新たな世界観を開く。
女性が婦人像や夫婦像として描かれるばかりでなく、家庭内の母親像や厨房の主人として描かれる。
さらに生活を彩るファッションや女性の教養や信仰などが作品となる。
世界―女性が登場する「世界劇場」の幕開けである。」

とのこと。
なお、東京展では「世界劇場の女性たち」という副題はない。
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そしてタイトルの一番前にある「フェルメールとレンブラント」は各一枚ずつ。
大がかりなタイトルだが、別に目玉ではない。
つまりこの京都展の副題通り「世界劇場の女性たち」が、主役なのだった。

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1.ハールレム、ユトレヒト、アムステルダム――オランダ黄金時代の幕開け
17世紀初頭から半ばまでの宗教画が四点出ている。

ヘンドリック・ホルツィウス 苦悩するキリスト 立派な体格で半裸のキリストが座っている。ちょっとやそっとでは倒れそうにない、いい体格である。

アブラハム・ブルーマールト ラトナとリュキア人の農民 この話自体はギリシャ・ローマ神話のエピソードから。詳しいことが載っているのはこちら
双子つれて放浪する女の人に水を飲ますまい、といやがらせをする農民たち。彼らは彼女の呪詛によりカエルになってしまう。

ピーテル・ピーテルズ・ラストマン モルデカイの凱旋 旧約聖書から。誇らしげなモルデカイ。ハマンやエステルの話の人。ターバンを巻いている。
オランダは新教徒の国だから段々とこうした所から離れ、貿易で財を成したのは市民だということから近しいものへの視線が培われたのかもしれない。


2.オランダ黄金時代
・風景画家たち

アールト・ファン・デル・ネール 月明かりに照らされる村 ほのぼのと月明かりが下界を照らす。二人の紳士が月明をさけるように歩く。

ヤーコプ・ファン・ライスダール 家と鳩小屋のある砂丘風景 20歳でこれだから、本当にうまかったのだなあ。うますぎる絵。鳩小屋は奥にあり、少し高床な感じに作られている。この時代既に伝書鳩をしていたのだろうか。

・イタリア的風景画家たち
この時代はグランド・ツアーも始まり、英国だけでなく、オランダの人々もイタリアに出かけたろう。イタリアの文化の高さは当代きってだったから、流行の最先端を生み出してもいる。

フィリップス・ワウフェルマン 川辺の野営 窮屈な軍隊生活だが、川辺で野営するときはちょっとは気持ちも緩むのか、早速川に入る連中もいる。

・建築画家たち
実在の空間、架空の空間、それぞれいい作品。

ピーテル・サーンレダム 聖ラウレンス教会礼拝堂 実に白い空間。教会内部の白さにハッとなる。これはあれか、漆喰の白が目立つのか。それとも光が差し込んで白いのか。
とても白い空間。

エマニュエル・デ・ウィッテ ゴシック様式のプロテスタント教会 これは実際には存在しない教会だというが、その分「こんなのがあればいいな」という気持ちで描かれているのかもしれない。架空の空間だからこその魅力がある。
奥にはステンドグラスものぞく。手前では犬もじゃれ合う。とてもいい感じの空間で、そしてとても大きな絵なのだった。行きたくなってくる。

後で調べたらこの架空空間を描いた作品が他にも何点か収蔵されているようで、それらを一堂に会してみたらまた面白いだろうと思った。

・海洋画家たち
オランダは海へ出る。

ウィレム・ファン・デ・フェルデⅡ世 ロイヤル・プリンス号の拿捕 おおー海上での帆船たちがかっこいい。海の色と言い風向きと言い、リアルな情景。

もうなくなってしまったが、なにわの海の時空館、あそこではオランダの貿易船の内部を体感させるコーナーがあった。凄い揺れで船酔い必至だったなあ。

・静物画家たち
泰西名画の静物画、ボデゴンなど、あまり得意ではない。
日本の洋画での静物画はまだいいが「死んだ自然」というのがナマナマしくて、ニガテなのだ。

ウィレム・カルフ 貝類と杯のある静物 ぬめぬめものとギラリの銀食器と。不思議な対比が面白い。

ピーテル・クラースゾーン 銀器やグラス、皮の剥かれたレモンのある静物 ぎらぎらの銀器が素敵。丁寧な装飾入り。レモン、乾いてしまっている。
やはり静物画にはメメント・モリを踏まえないとアカンのかしら…

・肖像画家たち
ヴァン・ダイク様式の肖像画で占められていた。
要するに、わたしにはニガテなものばかりなのだった。

オランダ独特なのか婦人の髪留めでW型のがあるが、あれをつけるとすごいオデコが後退していないか。どうもオランダ婦人の髪型はストイックすぎてわたしにはニガテなのだ。
しかも眉がない人が多い。金髪だからか、眉を落とすのが好みなのかは知らない。
つるつるしすぎというか、てらてらの顔がこわいなあ。
基本的に黒い服に白い襟など。ときにはしゃれた襟もある。

・風俗画家たち

ヤン・ステーン 恋の病 脈を取る医者はヤブだという設定。そばには犬もいる。
この人は猥雑な絵も多かったな、と思ったら早速そんなのも出てきた。
そちらはちょっとね…

ピーテル・デ・ホーホ 女性と召使のいる中庭 近年本当にこの人の絵もよく見るようになった。実際のオランダの市民生活はこうだったのだろうと思いながら見ている。

フェルメール 水差しを持つ女 窓の白い光が入る。光というものがいかに大事なのかをここで知るわけだが、明るい白さは確かに貴重だ。
やっぱり窓がいいのかなあ。窓からのひかり。21世紀の日本の片隅でそんなことを思う。

3.レンブラントとレンブラント派
日本に初来日というのがある。

レンブラント ベローナ ローマの戦いの女神で盾にはゴーゴン三姉妹のメデュウサの顔が取り付けられている、というのをコスプレする婦人。
鎧なども重くはなさそうである。立派な体格の婦人。

カレル・ファブリティウス 帽子と胴鎧を付けた男(自画像) …これはソフトバンクの松田選手に似ていないか。黒い毛糸の帽子のようなものをかぶっている。

サミュエル・ファン・ホーホストラーテン 貧血症の女 これは既に感想を挙げられた@千露さんが絶賛されていた愛らしいアメショー風の猫がいる絵。
数段の階段を下りた一室で金色の上着の白ドレスの女。そのそばにいる可愛い猫。手元にはどうやらネズミを抑えているようだ。満足そうな顔をしている。
それでアムステルダム国立美術館のサイトを調べたら、所蔵絵画の内から猫だけを集めたコーナーがあった。素晴らしい!
こちらです。

みんな猫好きなのは一緒なのねー♪すごくうれしい。
ただ、猫なのかふくろうなのかわかんないのもいたけど、それはそれでご愛嬌ですな♪

ほかにも林檎の皮むきをしている娘や糸をつむぐおばあさんの絵などがあり、庶民の暮らしが絵画世界に根を下ろしているのをしる。もうこの時代、絵画は市民のものになってきたのだ、オランダでは。

アーレント・デ・ヘルデル ダビデ王 もうすっかりおじいさん。やや横向き。威厳はあるが疲れている。

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4.オランダ黄金時代の終焉
ここでは一点だけが展示されている。

アルノルト・ハウブラーケン イピゲネイアの犠牲 ギリシャ神話の哀話を描く。
娘を血祭りにあげないとならない父親は左端で顔を隠している。予言者とその犠牲者とは同じ明るい青色の衣を身に着けている。少女は目隠しをされていた。
後に助けられるとも聞くが、助からないという話の方が多く聴く。
娘をいけにえにしたことでアガメムノンは妻から復讐を受けるのだ…

「世界劇場の女性たち」の副題の下、少女の犠牲の絵で終わるのは、「オランダ黄金時代の終焉」を示しているのかもしれない。

1/5まで。
その後は東京に巡回するが、タイトルから「世界劇場の女性たち」は失われる。
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