美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

浮世絵にみるモダン横須賀&神奈川 /その音、奇妙なり

はじめに、本日で終わってしまった「浮世絵にみるモダン横須賀&神奈川」展の感想を挙げようと思う。
斎藤コレクションから ということが書かれてある。
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最近はこのように幕末から明治の浮世絵がクローズアップされてきて、そこから大正の新版画に至るまでの展示があるのがとても嬉しい。

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江の島詣で、大山講、金沢八景、このあたりの幕末の浮世絵が多い。
江戸からのいい距離の行楽地・遊山の先、信仰もありおいしいものもあり名物もあり、といういい場所なのだろう。
中には役者絵で描くものもあり、また楽しそうな母子らの絵の背景にもなっている。

江戸時代の人情譚は多いが、わたしが江戸人の暮らしぶりを描いたのをみた最初は時代劇「遠山の金さん」中村梅之助バージョン、石森章太郎のマンガ「さんだらぼっち」この二つが代表だった。
「膝栗毛」「五十三次」は江戸から離れたさきが舞台なので、また措くとして、昭和に生まれた江戸ものの傑作だったと思う。

大山講を知ったのは「さんだらぼっち」からだった。
とはいえ実はこの山がオオヤマだと知ったのはつい近年のことだった。
これは仕方のない話で、わたしは伯耆大山(ほうき・だいせん)しか知らないし、今もオオヤマがどこにあるのかすら知らない。
金沢八景・金沢文庫もそうで、清方が「金沢に別荘を造った」話も、「…電車に乗れないような人がよくもまあ東京から北陸まで出れたもんだ」とずっと理解に苦しんでいた。だから称名寺の金沢文庫を知ってやっと納得したのだが、そういう意味で関西人のわたしは江戸近郊の、現在の神奈川県の名所に疎いのだった。

旅心をいざなう
広重、英泉、北斎の風景画が出ている。
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わたしはもうなんというても広重がいちばんいいのだが、三人が三人とも全く違う趣を見せるのがこれまたいい。
広重は抒情と共におおらかなユーモア、もっといえば明るいギャグもう描くし、そこがとてもいい。
英泉は美人画にみる官能性をここではなくし、静かで明るい風景を描く。
北斎は凝りに凝った風景を描く。凝りすぎてほんまかいなと思うような謎な風景も多いのがまた面白い。

ここにも出ている広重の五十三次細見図会などはもう抱腹絶倒で、いつかこのシリーズと国芳のおばけ絵の木曾街道シリーズとを一緒の展覧会で見せてくれたら、とよく思う。

文明開化の風景
抒情性が浮世絵から失われ、替りに赤い絵の具が席巻した。
当時の生活者の人々は本当に大変だったろう。
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港のにぎわいと「横浜絵」
何やら色々と工夫を凝らした様子が見て取れる。
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横浜での休日の様子を描く。外国人の様々な様子を実見したのか想像でか描く。
なんだかもういろいろ言いたいことが浮かんでくるが言えない。

近代国家・日本と横須賀
ここでようやくほっとした。もう想像ではないのだ。

小林清親 日本名勝図絵 観音崎
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この横須賀美術館のある地域。
いつもここまでで帰るが、この絵を見ていると、そこまで行きたくなってくる。

小林安治、小倉柳村、川瀬巴水までの版画が現れて、とても和やかなキモチで眺める。
幕末まではドキドキと抒情と笑いがあるが、明治初期の横浜絵をみていると、妙な切なさを覚えて苦しいのだ。
だが明治もこなれてきて大正になると、とても嬉しくなる。

どうモダンだったのかは実はよくわからなかったが、多くの作品を観ることが出来てよかった。

次に横浜開港資料館「その音、奇妙なり」展の感想を挙げる。
副題は「横浜・西洋音楽との出合い」
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西洋音楽が入ってきて、伝統の音楽がいかに駆逐されるか、ということを目の当たりにしたような気がする。
このチラシの美人さんはピッコロかなにかを吹いている。
こちらの美人さんは鼓を打つ。
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まだそれでも邦楽は活きていた。

明治中期には月琴もブームがあった。明治から大正では女義太夫に熱狂する若者がいた。大正から昭和初期には琵琶も流行った。
…しかしみんなもう廃れている。

面白い資料があった。
貝塚発見のモースが邦楽を当然ながら理解せず、「はぁ??」と反応するのに対し、彼の教え子の若い日本人が反論する。
まぁ言うたらなんやけど、西洋音楽の型に嵌めれるような音階ではないわけですがな。
そういえば奄美・琉球も実は日本の音階とも西洋音階ともまた違うのだった。

西洋音楽の普及の苦労話については里見弴が子供の頃の追想をした随筆にいろいろ書いていた。
それを思うと今の邦楽崩壊はたったの五十年足らずの期間だったことがわかる。
逆に今は邦楽の良さをなんとか知らそうとする人々がいるくらいになってしまった…

武満徹「ノベンバー・ステップス」が西洋に殴り込みをかけた!のはやっぱりオープニングにいきなり尺八がブォーーーーだからではないか。ああいうのでウケたのでは、とひねくれたことを考えている。

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実はわたしは長いことエレクトーンを習ってきたが、ちょっとも身につかなかったな。
で、わたしとしてはですね、時々三味線をつま弾く生活に憧れておるのですよ。
クラシックコンサートに行くのなら、素浄瑠璃を聴きに行きたいと思っている。

ねずみ唱歌というものがある。
これ実は衛生面でのねずみ撲滅の歌なのでした。
聴いたことないからどんなのかは知らない。
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絵は可愛いがなあ。
しかし猫が一般家庭に買われるようになったのはやっぱりチュウ害から家を守るダメですしねえ。

とかなんとかいううちにトコトンヤレトンヤレナから軍楽になって行ったりする。
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横浜市歌が作られる。作詞は森鴎外。今も歌われているそうな。
わたしも自分の市の歌は歌えるぞ。誰が拵えたかは知らないが。
「大大阪にほとりして」という箇所しかすぐに出ないが。

この展覧会では明治の浮世絵も多く出ていた。横須賀でみたのと重複もしている。
そのうち「本町通り」にあった時計塔の絵を見ていたが、この時計塔の初代の後に今の横浜開港記念館のあれが二代目時計塔として建造されたとか。
初めて知った。

色々と面白いことを教えてもらった。
こちらは1/24まで。
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