美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

東山魁夷と昭和日本画の礎 結城素明・中村岳陵・山口蓬春

久しぶりに市川市東山魁夷記念館に出かけた。
あまりに久しぶりだったので完全に行き方を忘れていたが、中山駅にさえついたら後はスイスイと道案内に添って歩けた。
ここには日蓮上人ゆかりの法華経寺という古刹がある。
その五重塔はいい形で、川瀬巴水が描きそうな感じの佳さがある。
その塔に近づこうとすると、←が目に入り、そこから記念館への案内が始まる。

つきました。久しぶり。北ドイツから北欧風の可愛らしい建物。
あら珍しや、ロッカーが無料になっている。(はろるどさんによると数年前からだそうです)
気兼ねなくこれで作品を見て回れるね。

「東山魁夷と昭和日本画の礎 結城素明・中村岳陵・山口蓬春」展
終了したが書いておきたい。
イメージ (28)

梅に鶯 素明 さらりと紅梅に鶯が止まる様子を描く。

雪山の写生 素明 しゃっしゃっと雪山に陰影が着く。

この二点は昔の日本画の基礎を教えてくれるような味わいがある。
そう、素明は美学校の先生で岳陵も魁夷も彼に学んでいる。
結城素明は清方らと共に「金鈴社」という結社をたてていた。
95年に練馬区美術館で「金鈴社の五人」展があったのを見ている。

斑椿 岳陵 1964 二つばかり満開の斑椿。綺麗な斑である。

あおじ 岳陵 1964 おなかあたりが黄緑の可愛い小鳥 知らないので調べた。

朝顔 岳陵 1964 赤紫の可愛い花が咲いている。

岳陵の絵はいずれも静岡県立美術館蔵。
わたしは岳陵と言えば四天王寺の金堂の壁画がとても好きだ。
静岡県美の「水神」も素晴らしくいい。

蓬春記念館からは「芍薬」「カトレア」といった花の絵が来ていた。
絵のスタイルの変遷、「蓬春モダニズム」と呼ばれる明快な画、天然のカラリスト、今なお深く楽しめる作品が多い。

東京美術学校の1913年の写真がある。大正時代の学生たちの青春。
イメージ (27)

「青春回顧画巻」の複製があった。上野時代の楽しい思い出を描く。サロメをしてみたり、狸囃を聞いたり、「太平洋のバカ!」と叫んだり、ご飯が焦げて真っ黒けになったのにひたすら焦ったり。とても楽しそう。
こういうのを見ると旧制高校の青春を描いた木原敏江「摩利と新吾」を必ず思い出す。
(尤も作品はその後の人生も描いているが)

加藤栄三と魁夷の合作「リスと栗」がある。栗が加藤で栗鼠が魁夷。むちゃくちゃ可愛いシマリス!!

ここで素明先生のお手本をみる。ドングリやナスなどが愛らしく描かれていた。
素明の展覧会も長らくない。
わたしは少なくとも「金鈴社の五人」以外では見ていない。
五人の内、清方は毎年必ずどこかでみるし、不足すれば鎌倉の美術館へ行けばいい。
映丘も近年また再評価されて各地で展覧会が開催されたし、吉川霊華も近年東近美で回顧展があった。平幅百穂も角館に立派な美術館があるということなので、ここはひとつ結城素明の回顧展も開催されたら、と願っている。

イメージ (29)

二階へ。
素明から。
兵車行 1897 古代中国の出征の様子。嘆く女たち、男も泣いている。子供らはラッパを吹く。城外へ出てゆく一群。

無花果 1907 姉さん被りのお婆さんと猫。こういうのを見ると杉浦日向子「百物語」を思い出す。婆さんに猫が話しかけると婆さんもこたえるという情景を。

炭窯 1934 昔の日本人の山の暮らしがしみる…

岳陵
佛誕 1912 摩耶夫人とおつきの女たち、挙げた腕の下のひれに幼いお釈迦様がいる。
地には花、空には小鳥が喜び舞う姿があり、花がひらひらと浮かぶ。
イメージ (31)
イメージ (30)

この時代、日本人の関心はインドにも向いていた。
大観もインド美人三人の「流灯図」を描き、少しあとだが御舟もインド風美人の「裸婦図」を描いている。

爽秋 1935 天女のような雲が浮かび、右から左から空をゆく。手前のトウモロコシの葉のようなものがいい。遠近感がかっこいい。

窓辺 1953 薄い萌黄のレースケープをかける。白レースの襟、袖口に青いリボンを付けた女がいる。窓の向こうには湖が広がる。
洋画の肖像画のような趣がある。

磯 1965 薄い茜色の雲と銀の雲と。下には黒い岩。鵜が一羽たつ。

蓬春
薄暮 後年のようなはっきりした色彩ではなくどこかモアアとした絵。だからこそ「薄暮」なのか。

紅梅 1937 いかにも昔のきちんとした日本画。

洩るる陽 1961 二羽の萌黄色の鳩らしき鳥と石とに光が。

花菖蒲 1962 これは金箔を貼ったのではなく、金潜紙なのかも。そこに青・白・白に縁は青紫の花菖蒲が咲く。

魁夷
南天 1927 大変丁寧な写生。

山峡朝霧 1983 もあ~としたこの湿気の空気。等伯の「松林図」に通じるものがある。

対になったものがある。1989年
雪 「名嶺秀孤松」
花 「春日静愈長」
・・・月はないのだろうか。

来年は市川市にもっと行こうと思っている。
とてもいい市で、行くのが楽しい。近代建築もとても多いし、花でも有名な、文化的な町。
旧いものも多く、共に豊かな味わいがある。
ああ、楽しかった。
関連記事
スポンサーサイト
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア