美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

雪月花 二つの白氏詩巻とともに

正木美術館の「雪月花」展に行ったが、実は行く前は何が出ているのか知らないままだった。
何しろタイトルが「雪月花」なのだから、それぞれの代表でも選んでいるのかも、と思った程度だ。
ところがここに副題がある。
「二つの白氏詩巻とともに」
チラシを得ていなかったので、「ああ書が出ているのか」くらいにしか思わなかった。
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まず小野道風の「三体白氏詩巻」が開げられていた。完全ではないが数首分見えるようになっていた。
「池西亭」「題新居寄宣州崔相公」を楷書、「吾盧」「秋晩」を行書、それからあと二首を叢書で書いているそうだが最後の二首はやはりわたしでは読めなかった。
特によかったのは行書。全体もいいのだろうがわたしは特に「吾盧」のいくつかの字にシビレた。
「道」「竹」「莫」。もう本当に素晴らしくいい。あんまりよいので何度も何度もそれらの字ばかりを宙に空字してみたくらいだ。
元々わたしは「行」と「道」という字が殊の外好きなので、いいのを見たらもう本当に何度も何度も見直し、心に刻まれて更に自分の一番奥底に落ちるまで眺める。
ああ、本当にいい字。
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逆L字型の位置に展示されているが、次に来るのは藤原行成の楷書による「後嵯峨院本白氏詩巻」の開いた版である。
こちらはやや字が小さい。随分と長く開かれている。
かっきりしたいい字で、読みやすかった。
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特別好みということもないのだが、しかしいい字が全体として多く、総合的にはこちらの方がいいのかもしれないが、先のは特別素晴らしい字が含まれているので、どうしてもわたしは偏った眼でしか見ず、そちらに惹かれる。

ああ、久しぶりに書にときめいたなあ。

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さて絵を見る。
梅に小禽図 存中景菊・賛 室町 絵の方は誰が描いたのか。色の薄いルリ鳥が止まる。そんなにうまくないところがいい。

猿猴図 等芸 室町―桃山 びろーんと伸びた紐のような植物が枝間にのび、それに手を掛けた母猿とその母に抱っこされる子猿とが描かれている。
中国の丸顔の猿。子供も一緒に腕を伸ばしている。

花鳥図 如寄 室町 右、白梅に薄縹色の鳥、これもルリ鳥。室町ではルリ鳥はポピュラーだったのかな。
左、槿と白鶺鴒。こちらは虫をじーっと見ている。
やはり何かしらアクションがある方が面白い。その意味で叭叭鳥のような奴らは面白い。

白衣観音図 足利義持 自画賛 室町 なかなかうまい。月下、静かに端坐する白衣観音。ふくよかな頬の美人。サインが入っていて「応永2年8月18日」の作品だとわかる。

少し江戸の工芸品を見る。
扇面流蒔絵箪笥 全体に扇面流しだが、蓋には昔男くんが顔ナシのまま八つ橋を渡る。
抽斗は千鳥の飛行。

橋・桜・松蒔絵硯箱 素朴な鶴とカメに松の台、蓋には大きな羽目板の橋がどーん。そこに桜がかかる。
橋の迫力にやられるね。

絵付向付 乾山 和歌の浦に白鷺が飛んだり、若松と菊と雁行と。和歌と絵の隣り合わせの誰が袖屏風型の向付。

秋草蒔絵文台 低い台である。何も考えてこなかったが、低い台になるのはわりと遅かったよう。

絵に戻る。
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休息歌仙図巻 呉春 これがとても面白くて良かった。
歌仙たちはもうみんなだらけてて、あほらしい遊びに熱中。
首っ引きする・鼻に紐ひっかける・一人で碁を打つ。
朝忠vs敦忠のにらめっこ、折り鶴に熱心な小町、寝ころびながら読書する斎宮(どうもフジョシな匂いがする)、そして其角の句も書かれている。
声かれて 猿の歯白し みかの月
猿丸のそばに書かれていた。
呉春、蕪村の俳画と戯画の間にあるくらいの絵は本当に大好きだ。

梅花図 物外 元代 八人もの賛がつく。上に伸びるのは一本の枝。花は下方に咲いている。

茄子に虫図 前島宗祐 室町 これは賀茂茄子かな。白花も咲く。コオロギが一匹。
民画風にも見えたが、狩野派のひとらしい。

杜子美騎驢図 伝・足利義政 機嫌よく驢馬に乗るおっちゃんである。

竹雀図 周耕 室町 仲の良さそうな二羽の雀がおしゃべり。
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いいものをみて気持ちがいい。
1/24まで。
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