美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

麗しき日本の美 雪月花

細見美術館のコレクション名品選を見に行った。
「麗しき日本の美 雪月花」
わたしにとっては今年二つ目の「雪月花」である。

雪 清浄なるとき

雪中花鳥図屏風 伝・狩野元信 墨絵とはいえ孔雀の顔には朱が差している。まるでキジですがな。
四羽の叭叭鳥が集まっていたり、鷺が飛んでくる・集まっているといった状況で、この辺りが鳥の楽園なのがわかる。よく肥えた目白も三羽ばかりいて、どことなく平安。

雪中花鳥図屏風 こちらは二曲一双で江戸前期 冬薔薇が咲くその上に雪が積もり、朱を隠す。蔦紅葉にも雪が覆いかぶさり、鳥たちは雪の間に顔をみせる。

紅梅図 抱一 枝の墨はやや薄いがしっかりしている。背中のように。そこから紅梅がちょこちょこと顔を見せている。

雪中竹梅小禽図 其一 双幅 左は雪もち竹にとまる雀一羽。顔を右に向けている。
それで右の軸をみると、竹から不意に雪がバサッと落ちたようで、二羽の雀があわてて飛び立つ様子が描かれていた。つまり右の二羽のあわてふためく様子を左の雀がクールに見ているという情景なのだった。
普段は←という視線で日本画をみるが、これに関しては→と見る方が楽しいのだった。

歴史や故事から題材をとった絵もある。
清少納言観雪図 守一 例の「香炉峰の雪」、丁度簾を持ち上げるところ。

雪中常盤図 市川其融 描表装で雪持ち松から飛び立つ雀らが描いている。そしてその様子を見上げるような常盤。子らは寒さに手をはぁはぁ。


月 風雅なるとき
 
簾に秋月図 渡辺始興 簾越しに月が見える。そしてその下では桔梗がちょこんと顔をのぞかせる。可愛いなあ。
幾本も集まると、桔梗はおしゃべりな顔になる。

月に露草図扇面 芳中 月が力強い。銀泥で刷毛目を見せながらぐいっと下から上へ円を描いての月。

弓張月図 其一 右に鵺退治を仰せつかり待機する頼政。キッと空を睨む。左には三日月。その下をホトトギスが飛ぶ。
杜鵑一声。

江戸近郊八景図画帖 池田孤邨 元ネタは広重の浮世絵だが、狂歌と楽しそうな人々は抜かされている。つまり場面だけなのだが、そうなると確かに観光ガイド化する。叙情性もなくなる。しかし情報は届く。

年中行事図巻 冷泉為恭 1843 七夕の乞巧奠。笹を集めた檻のようなものがあり、その周りに貴人ら。

対幅のように並べた月と秋草の雅さを楽しむ。
武蔵野図 其一 1852 ススキがわぁわぁと集まるその中空にゆったりと薄い月が昇っている。金泥と雲母とできらきらする、薄黄色の世界。

月に薄図 道一 明治になってからの琳派。こちらの月は銀が酸化して黒くなっている。薄の穂は薄く紅い。
薄の穂先が赤いのは妙に官能的でもある。

月梅図 沖一峨 おや久しぶり。月下に白梅。何がどうとは言えないが、妙な迫力がある。

夜鷹図 北斎 二日月のかかる夜。柳の下でぼろ傘を抱えて立ち尽くす女。少しばかり首をひねっている。コウモリが二羽ばかりとぶ。
今日はいくらぐらい儲かったのだろう…

月に秋草図色紙 雪佳 桔梗が三つばかり咲き、女郎花も顔を見せる。間の取り方が絶妙。

ほかに蒔絵工芸品が三つ。
秋草に鹿、小倉山、武蔵野。小倉山にも鹿がいる。
ああ、わたしはジビエのことを考えている…

花 華やぎのとき

北野社頭図屏風 蹴鞠を楽しむ人々もいる。一軒挟んで左右から坊さん・尼さんらが出てくる。これは示し合わせなのか偶然なのか。道には盲人師弟もいる。
紅梅が咲いているのも北野らしくていい。若い奴らは馬の乗り比べをしている。ナンパもしている。これは5対5だから合コンになるか。
野宴もしている。けっこう人もたくさん来ているので人々もそれぞれ好きなことをしている。カルタ遊びをしたり笛を吹いたり。
茶店もあれば髪結いもいる。にぎやかな北野界隈。
むしろ今より人も多いかも。
北野白梅町のデイリーカナート、嵐電の駅、うむ、こっちのほうがバタバタ。

遊楽図扇面 三枚 一は機嫌よく舞う様子で、宴席なのだが浮かれ気分が大きいのか、島台を頭に乗せるのもいれば、碁盤を担ぐのもいる。
一はふらふらと歩くところ。一は揚弓で遊ぶ若い奴ら。
要するにすごく享楽的で、明日なんかどうでもいい感じがある。

桜に小禽図 抱一 瑠璃鳥が止まる。薄目の色にメリハリが生まれていい感じ。

二枚の桜下花雛図 其一と守一と。どちらも枝垂桜がモチーフになっている。そして花の立雛。菜の花と蓮華と。居場所はそれぞれ逆の位置。

桜に白鳩図 道一 1907 細い枝に肥えた白鳩が止まるのだがそのシンプルな鳩の造形が可愛い。

花は桜木ということでここでは桜の文様ばかりである。
遊楽図高坏 皿部分には金地に白波、下部に幔幕前で舞う女達。
枝垂桜蒔絵重箱 葉は銀なので酸化して黒くなり、その重みが心地よくもある。
引手金具も桜モチーフのものが四点並ぶ。
手桶に桜、花筏、五色の色違い、金色のものなど。
他に棗と雲錦文茶碗、肩衝釜もあった。

歌ごころと四季の美

定家がまず現れる。
月次花鳥。乾山の昔から多くの人が定家詠月次花鳥をモチーフにしてきた。
その硯箱、色紙。
伊勢物語のかるたもある。
幕末から明治の野崎真一の絵の可愛らしさがいい。
雪佳の「河内越」、光悦&宗達ブランドの和歌断簡などなど。

四季歌意図巻 其一 四季折々を特定の人々で示す。
春―業平 桜の時期に川のほとりに佇む。
夏―人麻呂 苫の見える浜辺。 
秋―西行 白い富士、紅葉の野を往く。
冬―定家 舟橋を渡る貴人。

最後に猿の絵があった。狙仙である。
イメージ (32)
母子の猿の情愛を露草生い茂る中で描く。
これはわたしの今年の年頭あいさつに使った絵でもある。

工夫の凝らされたものを見るのは本当に楽しい。
何ら装飾品のないものを見る味気なさ、それに疲れたらこちらへ戻ればいい。
雪月花の美は不変なのだから。
1/24まで。

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