美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

水 ―神秘のかたち

終幕間際のサントリー美術館「水 ―神秘のかたち」展を見た。
水は古代から様々な意匠となって身近なものから宗教的なものにも映されるが、このように水をモチーフとした展示をみると、われわれの躰の大半を水が満たしていることを改めて思い出しもする。

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サントリー美術館の母体であるサントリーは「水と生きる」という言葉を掲げている。
水を基にした飲料を販売することで成長してきたから、水というものの大切さをとても強く認識しているのだろう。
実際サイトに「水大事典」というページもある。

大阪と京都の間の大山崎にサントリーの工場がある。高級ウイスキー「山崎」はここから生まれたそうだが、わたしも何度か工場見学に出かけては、説明を受けている。
尤も酒なし暮らしが平気なので、いいお客さんではないのだが。

その大山崎には桂川・宇治川・木津川の三川合流が見える地がある。上空からの写真を載せたサイトもいくつかあるから、「三川合流」で画像を見ることもできる。
そして大山崎の対岸には石清水八幡宮がある。
改めてこの「水 ―神秘のかたち」展は、サントリー美術館が行うべき展覧会だったと思い、それを見ることが出来たことを幸いだと感じる。

第1章 水の力

流水文銅鐸 跡部遺跡から出土したそうだ。普段八尾の跡部と無縁なので忘れていたが、そこからこのような見事な流水文を全体に刻みつけた銅鐸が出てきたとなると、今後は八尾にも足を延ばさなくては、と思う。

仏伝浮彫「灌水」 ガンダーラ 龍谷M 水と湯とを一緒に龍が出してくれるとは、いいシャワーだな。
この展覧会は次は龍谷Mに巡回するそうで、リストを見ると「京都会場のみ」が多いので、今から龍谷に行くのが楽しみだ。

二つの水注がある。
信貴山形と布薩形と。それぞれ形が違うがわたしとしては信貴山形を推したい。

お水取りに使われていたのが流出した(水だけに)香水杓と鐃がある。
鎌倉時代の2点。

多賀社参詣曼荼羅 サントリー美術館 これは初見。多賀大社はイザナギ・イザナミを祭神として古くから信仰する人がいる。「お多賀さん」と呼ばれ「お伊勢、お多賀の子にござる」と言われる。
そのお多賀さんに参詣する人々の様子を描く。
本殿前では湯立神事をしている。熱いねー、きっと。その本殿の両脇には長谷寺のような長い回廊がある。そして杉の森があり、左の川には蓮が咲き、川下には龍が潜む。
霊験あらたかそうな様子を見せているが、まぁ言うたら楽しそうでもある。

有馬の温泉寺縁起絵、久留米の観興寺縁起絵(明治の模本)が並ぶ。
大体温泉の効能と霊験とを説くとこうなるわなというのが描かれている。

日蓮聖人註画讃 巻第二 1536 海辺の情景。顔がはっきりしている。化人と語り合うところらしい。

十一面観音像 法隆寺 難陀竜王と雨宝童子も一緒。

長谷寺縁起絵巻 巻上・中 二巻 1557 鎌倉 長谷寺  模本などでもよく見るのでなんだか親しみを感じる。鬼と佛も協働するシーンが出ていた。
まぁ言うたら人だけに任せるより自分らが手伝う方が意外と住みやすいのだろうしねえ。
と、ベタなことを考えている。

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第2章 水の神仏 
弁才天と宇賀神とが多い。
正直なところ宇賀神さんはこわい…

弁才天曼荼羅 一幅 1406 サントリー美術館 美人。15少年も可愛い。真っ白なお顔。

八臂のもあるが、そのときは琵琶は持たないのかな。
「聖☆おにいさん」での弁才天さんのロックなタマシーを見ているので、ついつい…
とはいえ15少年とゐるところはやっぱり「胃の頭弁才天」さんを思い起こしますわな。

江島縁起絵巻 巻第二、三、四 弁天さんと役行者たち。お参りに来たらしい。前鬼後鬼も岩場をぴょんぴょん。セイタカ・コンガラの二人組もいるような。15少年は不在。

竹生島祭礼図 大和文華館
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以前から好きな絵。

別尊雑記のうち弁才天法 一巻 鎌倉時代 称名寺 弁天さんの色んな図像ノート。これは金沢文庫でも展示あったかな。
弁才天さんは音楽の神様だから色んな楽器を弾くけれど、絵の中に「箜篌」を弾いてるらしいのもある。23本の絹糸で構成された竪琴。ビルマの竪琴の「サウン・ガウ」は16本。近い音色ではないかと思っている。

そこへ琵琶登場。和歌山・丹生都比売神社の。これでまた水の関係を考えねばならなくなる。本体に鍍金し、文様として竹に虎を入れる。

高野四社明神像、子守明神像などもある。近年の「山の神仏」展や「高野山の名宝」展などでなじんだ神様たちに再会する。

石清水八幡宮の曼荼羅もある。剥落してはいるが見事な構図である。
今は山崎架橋図が来ているようだ。山崎街道は大昔から大切な道であり、向かいの道もまた神仏参詣のための道として栄えた。

神奈川の瀬戸神社という所から男女様々な神像がお渡りされた。
童子形でもコワモテの髭有像は大山祇神を示しているそう。

住吉っさんも海と縁の深い神様だが、よくよく考えたらこの神様は禊から生まれた底筒男だから水と縁が深いのも当然か。
像を見ながらひとりで納得する。

大寺縁起絵巻 巻上、中 絵:土佐光起 筆 詞:近衛基煕等 筆 三巻のうち二巻 1690  大阪・開口神社  はいはい、あの。阪堺電気軌道で皆さんおいでやす。
出ている部分はこの二人のコンビのものだが、他の文章はまた別な人々。
行基さんの建てたお寺。7年ほど前に大阪市立美術館で展示されているようだ。
今年の初め、えべっさんの時に折角阪堺電気軌道に乗ってうろうろしたのに、かん袋が売り切れと言う衝撃的な状況になったのを忘れてはいけないわたし。
三月末までにはかん袋・この大寺さん・あたらしい利晶の杜に行きますよー

住吉物語も出ていた。若君がのぞくところ。継子いじめのシーンは出ていないが、そもそもこれを全部見たことがないので、いつかじっくり見たいものだ。

卯揃いの住吉っさん。ウサギの波乗りもこうやって見てゆくと不思議でもなんでもなくなってくる。

第3章 水に祈りて

石山寺縁起絵巻 巻七 谷文晁 親のために身売りした娘が水難に遭い白馬に救われる話。その水の表現がいい。この絵巻は先年ここで展示されてもいる。
白馬は石山寺の観音さんの化身というか委託されて働くのだが、馬と水の関係といえばギリシャ神話を思い出す。

善女竜王像 室町 奈良・楽田寺 この絵は雨乞い用に使われていたそうだ。十一面美人。竜王こわいな。空海、風神雷神も同席。

倶利伽羅龍剣 龍が巻き付く剣。その左右にセイタカ・コンガラの二人。空海はこの剣を使うたそうな。
握りながらチラチラと二少年を見ていたかも。

宝珠台 鎌倉 海住山寺 石清水八幡宮のある男山をかたどる。裏に殿中がカラフルに表現される。

雨乞いの祈祷に関する資料がある。
そしてその為に使われたのか龍頭などもあった。

摩尼宝珠曼陀羅、孔雀経曼陀羅のカラフルなものもあった。

第4章 水の理想郷

当麻曼陀羅 南北朝 これはSWの惑星ナブーのような美しい地に見えた。ほかのではそんなことは思わなかったが。

千手観音二十八部衆像 鎌倉 永観堂 三幅 ナンバーとネームが入る短冊つき。観音は半跏。

楊柳観音像 高麗 誓願寺 …派手なオヤジさんだなあという感じがある。右下には龍。紅白の珊瑚が飾られている。左下にいる子供は善財童子か。

大織冠 「海士」ですね。まあ不比等は目的を達成するのに手段を択ばないヒトですから、海女さんを籠絡してどーのこーのと言うのもお手の物。しかしわかっていて利用される海女さんがけなげに戦うのはやはり気の毒。しかも孤立無援。

第5章 水と吉祥
菊水文様、波ウサギ文様がいろいろ。めでたい文様なのだね、菊水。楠公の湊川公園、行ってみようかな。

第6章 水の聖地

日吉山王祇園祭礼図屏風 室町 石積みの塀を見たが、これは穴太の石積みなのかな。屋根にも石。左の祇園では浄妙が目立つ。虎の皮がばんばん山鉾に…

厳島天橋立屏風もある。にぎやかで楽しい。

多くの水を見た。
そういえば山岸凉子「妖精王」では水の指輪を得る者が力を得るのだが、その水の指輪の在処は見えぬ水底、つまり「見ず」の指輪だったというのを思い出した。

水を本当に見るのは存外難しいことなのかもしれない。
形のない水をかたちにした先人たち。
後世のわたしは様々な水の形をみてその創意工夫に感心し、水の流れを追うばかりだった。

2/7まで。
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