美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

初期浮世絵展 版の力・筆の力 その1

千葉市美術館の「初期浮世絵展 版の力・筆の力」 これはもう本当に自分の予測する時間にかなりの時間をプラスして出かけてほしい。
大体千葉市美術館でハズレなんかないのだが、これまたもう本当に…本当に…なんというていいか思いつかないが、要するにモノスゴイ物量と質の高さに、最初から最後までヤラレっぱなしになる。
最初の近世初期風俗画の一群なんて細かく楽しみ過ぎて時間がやたらと掛かった。
それで反省してサクサクと思ったのも一瞬で、次の師宣辺りでまたまた水没し、浮上してきたら初期の鳥居派、しまいに足はフラフラ頭もフラフラになって「早く出よう」と思ったら、春信が待ち構えているという構成。
ほんまにここは飽きると言うことのない展覧会が多すぎる。

量がとにかく多いので、サイトに挙げられている作家名・作品名・技法・年代・所属をそのまま引用する。使えるようにしてくださっている千葉市美術館、誠にありがたいことです。

プロローグ  浮世の楽しみ −近世初期風俗画

(無款) 江戸名所遊楽図屏風 紙本着色 6曲1隻 寛永7-8年(1630-31)頃 細見美術館蔵
1扇目には柿色の着物を着た女が給仕するお店が見える。その下部では囲碁を楽しむ男達。岡目八目。そこへオカッパの禿がお茶を運んでくる。後から二人の少年がご飯を持ってくる。廊下には囲碁を楽しむ男たちの誰かの太刀持ち少年もいる。
2扇目も引き続き今度は坊主頭の男と双六をする女がいる。
これは明暦の大火前の情景だそうである。
3扇目、隅田川と五重塔が見える。浅草寺の金剛力士像の前では芸人や露店もある。大きな傘を開いて立つのは説経語りか。なんの話をするのだろう。
焼餅売り、放下師のジャグリング、またその下部には人形芝居の小屋がある。演目は不明。
4扇目は本殿で、その周囲のいろんな人の様子が描かれている。芝居を見ながら煙草を吸う人もいれば、お参りに行く人もいる。
5扇目、梅若塚が描かれている。そうか、明暦前くらいまでは名所であり、誰もが知る場所だったのだ。
6扇目、女歌舞伎の興行中。隅田川を来る客もいる。舞台の袖では鼓を打つ美少年もいる。なかなか美人が多いのも特徴。一方、往来では喧嘩もある。
誠に賑やかな江戸は浅草・隅田川界隈の様子だった。

(無款) 桜狩遊楽図屏風 紙本着色 4曲1隻 寛永期(1624-44) 個人蔵
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一目見て「デロリの美」横溢。そしてこの屏風が岸田劉生の旧蔵品だと知り大いに納得。
長い煙管を担ぐ女もいれば刀を差しもしているのもいるし、寝そべったりくつろいだりしている。花を見ているのはいないのではないか。アクの強い絵。18人の女の内一人は少女だが、全員から醸し出されるえろさに「ヲヲ」となる。中には仲良しの女にもたれてその胸元に手を差し延ばすのもいる。こういう女同士の甘ったるさもいい。
頽廃的でたまらない魅力がある。夜ではなく昼の官能性の高さはちょっとやそっとでは太刀打ちできない。
この屏風の男版がブルックリン美術館にあると解説プレートにあり、ちょっと調べたら出てきた。女も交じって、桜の下に立っている。
こちら
女だけの時の方がナマナマしい官能性があるな…取り繕わないからかな。

あんまりいいので一扇ずつ拡大する。
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(無款) 文使い図屏風 紙本着色(押絵貼)2曲1隻 寛永期(1624-44) 個人蔵
左に遊女、白地に手まり柄の着物。右に文を持ってきた禿。こちらは黒着物。二人とも垂髪。遊女の方は眉があるが禿には眉が見えない。
まだこの頃までは髪型の規定もうるさくなかったのでこんな垂髪も人気。

(無款) 犬を連れた禿 紙本着色 1幅 寛永期(1624-44) 千葉市美術館蔵
この構図はほかにもあるから人気の構図だったらしい。犬が後ろ足立ちしながら少女を見返る。楽しそうな少女。
この少女の髪型は肩まで垂れる髪とこめかみの上あたりで小さく括っているまげが特徴的である。同時代を舞台にした山口貴由「シグルイ」(南條範夫原作)のヒロインの一人・三重は額の真上に括っているが、ほぼ同じ髪型である。
山口はこの時代の少女たちの髪型を研究していただろう。

山東京伝 『骨董集』 墨摺絵入考証本 4冊のうち 文化11年(1814) 千葉市美術館蔵
ラヴィッツ ・コレクション
前述のとおりこの構図の絵は人気だったのがこの本でも証明される。
同じ絵を模写したものがここに印刷されている。

(無款) 大小の舞図 紙本着色 1幅 寛永(1624-44)後期〜万治期(1658-61)頃 千葉市美術館蔵
この「大小の舞」は1652年までの舞だという。烏帽子に太刀の美少年が舞う。「男舞図」というタイトルで「ダイショウノマイのズ」とルビを振られているのがMOA美術館の所蔵品。あちらも美少年だが、こちらもなかなか。

(無款) 扇舞図 紙本着色 1幅 正保〜寛文期(1644-73)頃 千葉市美術館蔵
肩辺りに面白い柄の入る着物を着た唐輪髷の女が扇を広げ、その端を持って舞うところ。一連の流れの中の1ポーズを捉える舞図は楽しい。あらゆる舞図を集めてぱらぱらマンガのように動作をつなげさせてみたい。

(無款) 美人立姿図 紙本着色 1幅 正保〜寛文期(1644-73)頃 千葉市美術館蔵
口元を袖口で隠す女。黒地に大胆な文様の着物が似合う。御所髷風に結わう。とても豪華な雰囲気がある。女は微妙なくねり立ちをして、いよいよ絢爛。

ああ、寛文美人のいいのを続けて観て、とても気分がいい。

(無款) 枕絵図巻 墨摺筆彩(丹緑)1巻 明暦〜万治期(1655-61)頃 米国・個人蔵
「丹緑本」のような手彩色本。寝そべる男と三味線を弾く女。ここから始まるようで、その次のシーンがちらっとのぞくが、男の素足が投げ出されているのが見え、更に女の裾がそのちょっと上に被るようなので、これはもぉ女が…、と妄想が逞しくなる。
やっぱりチラ見せというのは楽しいものです。

(無款) 『吉原枕絵』 墨摺絵本 1冊 万治3年(1660) 米国・個人蔵
こちらも手彩色。炬燵の二人。男の髪を梳く女。

(無款) 『吉原鑑』 墨摺絵入本 1冊 万治3年(1660) 米国・個人蔵
「恋乃玉章」の文字が読み取れる。にんまりするね。

(無款) 『吉原口舌艸』 墨摺絵入本 1冊 寛文1年(1661)頃 米国・個人蔵
縁側で三味線を弾く男。それを聴くというよりその様子を見守る女が、口に手を当ててほほ笑む。
室内にはごちそうも残る。禿もちんと座る。
客は客でもいい気持ちの客らしい。

ちょっと長くなりすぎるようなのでここで続く。
次はもう少しまとめたい。
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