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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ポーラ美術館展 in 京都

ポーラ美術館展 in 京都

何故わざわざこのタイトルなのか。それはブンカムラとは構成が異なり、出品作が少ないからである。

京都伊勢丹で開催が始まったポーラ美術館展は、連日大変な人気である。
わたしは会場後5分目に入場したが、既に人が多い。

コローの森の中で牛を見る娘さん、彼女に見覚えがある。この絵は知らないが、この『後』の彼女を知っている。ほらほらこちらを向くと・・・そう、ブリヂストンや村内にも彼女はいる。

クールベはこの数年関西でよく展覧会があった。
そのおかげか、シヨン城を行くツアーまで出来た。バイロンを知らずともみんな『シヨンの囚人』になってしまったのだ。『ヨンのトリコ』なご婦人方を中心に。
わたしはクールベは人物画が好きだが、ここに出ているのは風景なのだ。鳥が可愛い。

ルノワール。
大方の日本人の最も好む画家。わたしはこの点では平均的日本人のお仲間入りが出来ている。
チラシになった『レースの帽子の少女』は真珠色に輝き、うっとりしている。
以前から他の展覧会でもよく登場していた絵である。
『好悪を超えたルノワール』と書いたのは芸術新潮だった。全くその通りだとしか言いようがない。
イタリアツアーから帰国後の裸婦は、彫刻が動き始めたのか、ぜんまいが止まったのか。
やや半開きの唇はそれを答えてくれない。
『ムール貝取り』
・・・以前からよく見ていたが、改めて眺めるとなんだかな、な絵だ。
幼女、肩がはだけているのか。
ルネ・クレールの映画『居酒屋』でマリア・シェルが酒にすがって生きているラストシーン。
そのテーブルのそばではしゃぎ回り、走り続ける幼女。後のナナ。暗い未来への萌芽がのぞく。
・・・なにやら、それを思い出した。
大きな裸婦の絵がある。
モモから足に見覚えがある。いや、わたしは足だけは鍛えているか。失敬。
例によってカーニュ。印象派の画家たちはみんな各自の『場所』を持っている。
わたしはスーチンのカーニュも好きだが、ルノワールのカーニュはのんびりした場所に見える。
そののんびりさがいいのかもしれない。リゾート地なのだから。
『ロバに乗るアラブ人』
ロバの目が可愛い。ときどきこんな絵も描くのを思い出した。オダリスクもあるのだし。

ロバは他の画家にも現れる。
ギヨマン『ロバンソンの散歩』・・・ロバがおります、町中につながれてます。
これ、もしかしてロバの村でロバンソンなのか?パン屋さんもロバのパン。←京都で現役。
・・・ちゃいました、ロビンソンのフランス読み。ベタやなあ、わたし。

変な妄想・連想はまだまだ続く。

ドガの踊り子さんたちが大挙して来てくれていた。
『踊りの稽古場』
これは右側に寄った五人と、左側には鏡とそこに映る一人の背中という構図の面白い絵だが、
色のせいか、『八つ橋図』に見えてしまう。
そう、彼女たちは花菖蒲。なんとなく楽しい。
背を向けている二人の踊り子の絵は、会話が聞こえてきそうだ。翻訳してもいいが、長くなるので省略。
しかし、これは特筆すべきだ。
『腕を上げる二人の踊り子』
赤毛に黄色いような衣装をつけているが背景もろともなにやら原始的に見える。
もっと正直に言うか。
♪モスラ???ヤッ モスラ??? イナパパゲヤイノルー ♪
インファント島から連れ出されてきた小美人だ???っ
しかしモスラもバカにはできないのだ。脚本は中村真一郎・堀田善衛・福永武彦なのだから。
ドガがインファント島を知っていたかは別としても。

マネが一枚だけ来ていた。
『サラマンカの学生たち』
逸話の絵画化。しかしこの十七世紀のスペインの衣装と言うのは、いつ見てもすてきだ。

モネに移る。
『ばら色のボート』
大きい作品だった。皆さんきれいねと言われるが、わたしは正直、藻が絡んで困っている絵だと思った。
わたしの勘違いか感性の違いかは置くにしても、どうも波紋には見えない。やっぱり藻のような気がする。ということは、これはあれか、蓮池にボートを浮かべているのかも・・・
その蓮池『睡蓮』
白や紫が小さく可愛く咲いている。時間による光の映り方の変移が画面に描かれている。
わたしは時折、世界中に散らばるモネの睡蓮を集めて、円形に並べその中ノ島にいたいと思うことがある。しかしそこへ行くには、ばら色のボートでは藻に絡まれるからちょっと問題だな。
『アルジャンタイユの花咲く堤』
これは以前MOTで花と緑の展覧会に出たと思う。当時から「いいなあ」と思った作品だ。
この花を背にして読書する女の人の絵はボストン美術館にある。
白い服のご婦人。
モネの女の人はやっぱり白い服にパラソルがいい。
夏。暑いとか日焼けするとか喉が沸くとか考えないでいよう。
切望したくなる『夏』がそこに描かれている。わたしは夏が好きなのだ。熱くなった叢を行こう。ジワジワ暑くても、きっと気持ちいいはずだ。
一方、『積み藁』
働いたぞ、と声が聞こえてきそうな立派な積み藁。プーシキン展で見たのとは違いますわ。
しかしその無駄に元気なのはともかくとして、申し訳ないくらい教会や議会に実感がない。
オレンジやピンクで彩られているのに、何か不安というか不穏で、蜃気楼のようだ。

セザンヌ先生ご登場。
どうもわたしはセザンヌが特別いいとは思えないのだ。これはシュミの問題だ。見識の問題かもしれないとは言いたくないな。
四角い塗り方の緑は素敵だと思う。こういうのは好きだ。
しかし、アントニーの肖像、これがわたしはだめなのだ。
日本のお弟子さん安井の『玉蟲先生』『安倍くん』・・・あれを思い出す。
わたしがモデルなら怒るよ。←その程度の認識しかもてないのだ。
・・・気を取り直そう。
ラム酒の瓶のある絵はよかった。
というより、これがもしかするとセザンヌの真髄なのかもしれない。

点描。これは昔大変ニガテだった。
スーラもシニャックも岡鹿之助も。しかしバーンズコレクションで優品を見て以来随分変わり、今では静かに眺めている。
船。
停留しているのか乗り上げているのか、そこにあるだけなのか。意味など読み取る必要はない。
点の変容に意味はあっても。
何故好まなかったのか、理由はわかっている。塗るのに苛々するのではないかと勝手に想像して、こちらが苛々していたからだ。今は光の粒子や画素だと思うようになっている。それが正しいかどうかはわからない。



点描の裸婦が二枚。
イポリート(姓を忘れた)の二枚。
何故名だけ覚えているのか、ドン・ジョバンニの従者の名前だからだ。
悔い改めないご主人と一緒のへこたれない従者の名前。
髪を絞るのは、顔は少女風だが、身体はくたびれている。
ヒトのことはあまり言えないが。
草原に寝そべる裸婦はそのまま背後に溶け込みそうに見えた。紛れ込む、と言うべきかもしれない。



ゴッホについて。
草の絵が出ている。しゃがんで眺めたらこんな風に見えるだろう、雑草。これが牡丹なら浮世絵なのだ。
それから橋。
ゴッホは橋の絵が多い。オランダの人だからか、それとも浮世絵が好きだからか。跳ね橋は当時の日本にないからやっぱりシュミなのか。オランダの地形の不思議。
しかし考えればかつては『栄光の』と冠がついたオランダ・フランドル絵画も長らく沈黙を続け(無視されていたような気もする)
オランダから現れた最後の有名画家はゴッホなのだなあ。
お隣のベルギーからはデルヴォーまで画家は輩出されたのだが。・・・素人のたわごと。


ルドンの花はいつもいい。前述のMOTでもルドンの花を見た。
壺には謡曲からの絵柄が施されているが、蝶がちらほら見える。実際の花を見て描いたというより、観念の花を形にしたように思えた。静かな絵。
わたしはこのヒトの不気味な人間よりこうした花の絵に惹かれる。



一概には言えないが、ゴッホに耳を切らせたのはゴーギャンのせいらしい。しかしゴーギャンもびっくりしただろう。
これが小指ならまた別な世界の話になるか。
その後タヒチに出て行ったゴーギャンの 絵。犬がいる。
この犬が絵に収まりきらない。小さいくせに。
犬は何かの比喩なのだろうか。
室内の絵は静かな絵ではあるが、壁紙が既に誰の眼にも『ゴーギャンらしく』見える。この壁紙、売っていても買わないぞ。



ボナールの一隅。

初めて見るような大きな二枚続きの林檎拾いの絵がある。
妹さん夫婦の子供らと一緒。絵画としてもよいけれど、家族の楽しい情景であることが一番大切な気がする。
わたし、甘いことを言ってるかな。
ちびの姪っ子たち。特にエプロンに林檎をわっせわっせ集めてるちびさん。可愛いなあ。林檎もびっくりの赤いほっぺた。
ボナールの奥さんマルトは先日プーシキン美展でも見たな。
奥さんの転地療養でパリを離れて田舎へ。
都会的センスにあふれた画家の田舎の絵は、悪くないかもしれない。



都会人ヴュイエールの珍しいような絵を見た。
描き込み描き込みの彼が、色の上に線を置いているからだ。
女の人が浮かび上がっている。刻まれているのではないにしても。こうした絵も描くのか。
新鮮な感じがした。



ちょっと画家の名前を忘れたが、テーブルに三本のバラが置かれた絵。テラスの向うに広がる緑。
全然似ていないが、静嘉堂の窓から見える風景を思い出した。



最後の画家はロートレックだった。
パブリックイメージから少し離れたような技法で描かれた作品。
ジュール・シェレみたいな感じ。
『娼婦の肖像』
彼女がココットなのかクルティザンかはわたしにはわからない。
赤毛か茶かも わからない。



たくさん見たが、残念なことも多い。

面積のせいかなんのせいか、ポーラ美術館の入り口の再現がなかったのと、展示されていない作品があったことだ。
やっぱりブンカムラで見とけばよかったかと残念に思う一方で、この建造物の構造そのものへの、今更ながらの恨みが湧いてくる。

本は買いたかったが今から岐阜県まで大理石を見に行くので、やめた。いつか箱根に行き、そこで名作集を買うことにしよう。



ああ、楽しかった。

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コメント
こんにちは☆
楽しく拝読させていただきました!
本当に、ああ楽しかった、と思いました。

でも、遊行さんのblogを堪能したらまた行きたくなりました。。
モネの「藻」も、八つ橋図も、もう一度観たいなあ。。

作品数が少なかったのはかなりがっかりでした。
しかも目玉の作品ばかりが抜けていたような!
東京よりも京都のほうが箱根から遠いねんから
どっちかに展示するならこっちに展示してくれたらいいのに、
とかなりワガママなことを考えてました。

ところで、逸翁って割りと近いんですが、行ったことがなかったのです。
今度、ゆっくりお散歩がてら行ってみます!
もうすぐ五月山の桜も咲きますね☆
2006/03/10(金) 21:09 | URL | はな #-[ 編集]
こんばんは

モネの『藻』もドガの『八つ橋』も通じてくれはって、嬉しいです。本気で藻だと思いましてね。隣のご婦人方が「漕いでるんやわ」とか言うのを聞いて初めて「・・・あっ」てな感じでした。

逸翁は良いですよ~
わたしも地元ですから宣伝しますが、春も秋もいい感じです。

五月山にはウォンバットもいますし。お弁当を持って出掛けられるとサイコーです。

もうすぐ逸翁では和歌の世界の展があるので、それこそ佐竹本の藤原高光くんご出演かもしれません。
2006/03/10(金) 21:26 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
三十六歌仙、ですか。。
それは行かなきゃ!!!
商店街を映画館と逆のほう、なんですね。

五月山のウォンバット!!!
懐かしい!(まだ生きてるんや。。。)
五月山の桜ってドライブウェイ沿いに咲きますよね。
わたしの家からは桜の季節にピンク色の桜のリボンが見えます♪
2006/03/10(金) 23:11 | URL | はな #-[ 編集]
<<桜の季節にピンク色の桜のリボン
いいですね~~

我が家からは何故か六甲山が見えますが、家の中で春から秋まで六甲おろしが吹き荒れます。音符つきで。
2006/03/10(金) 23:44 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
ポーラも巡回するんですね!
僕は箱根に2度ほど行きましたけど、いずれも建築を観るためにね。村野藤吾賞を得たこの建築は格別です。日建設計の底力を感じますし日本の建築家は素晴らしいとうれしくなります。設計者に案内してもらったりしたのですが自然との対話も見事、何より骨格がしっかりしている。好きなんですよこういう建築。ちゃんとした建築が。いずれ見に行ってくださいね、皆様。
さてね!絵画はね!どうだったかな?皆さんに叱られそう。
2006/03/11(土) 11:30 | URL | penkou #-[ 編集]
 私もまだ訪れてませんが、本などでの説明では、箱根の美術館は、普通気にも留められないダクト等の設備機器にまで気を配ってデザインされているとのこと。素晴らしいことだと思います。
 さて、提案ですが師匠と遊行さんと3人で18日夜東京でオフ会しませんか。明日より旅に出る為、急ですみませんがお返事願います。詳しくは双方メールで願います。何卒宜しくお願いいたします。
2006/03/11(土) 11:43 | URL | xwing #lW1SJDGw[ 編集]
ん~ん~
京都へ行きたくなってきた。
ゆっくり博物館や美術館、お寺など巡りたい。
(何処でもいいから、仕事から逃げたい!)
連日・連夜の宴会からも逃げたくなってきた。
2006/03/11(土) 11:47 | URL | 酒徒善人 #-[ 編集]
penkou師、xwingさん お返事お送りしました。
またご覧なってくださいね。

ポーラはえらいです。
建物も光を取り入れてとても素敵な感じですね。
関東の方にとって箱根は関西人の金沢北陸のような距離感なのでしょうか。
わたしは正月の大学駅伝を見るたびに箱根へ行くぞーと叫んでます。
2006/03/11(土) 18:46 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
酒徒さん、今からが京都のハイシーズンですよ。
いっぱいありますもの、浮かれ心に誘われるがままに、たまには仕事を忘れて宴会の流連からも逃れて・・・

やっぱり飲みはるわね。
2006/03/11(土) 18:48 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは。
TBありがとうございました。

セザンヌは人物を描くのが苦手だったようです。
理由は簡単。動くから。
「リンゴは動かないぞ!」とモデルになってくれた
人に怒ったとか・・・
困った人です。
2006/03/11(土) 20:03 | URL | Tak #JalddpaA[ 編集]
Takさん

・・・えええ~~な理由ですね。
そりゃ地震がない限り山もりんごも動きませんわね。数年前名古屋で見たセザンヌの『誘拐』にはときめきましたけれど・・・
2006/03/11(土) 21:59 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは
コメントが遅くなってすみません。
モネの睡蓮を並べたら壮観でしょうね~
色の移り変わりや、ゆらめく睡蓮の花々
水の精になった気分、と言いたいところですが、
藻がからみついて蓮根な気分になってしまうかも
しれませんね(笑)
TB&コメントありがとうございました。
2006/03/11(土) 23:09 | URL | アイレ #-[ 編集]
こんばんは アイレさん

もしかすると、オフィーリアも藻に絡まれてレンコンに・・・
夢もロマンもないです、わたし。ごめんなさい。

考えたらシャロットの女の船も藻が絡んで進まないのかもしれませんね。
2006/03/11(土) 23:14 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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