美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

猫まみれ  浮世絵から現代美術まで

神戸ゆかりの美術館で招き猫亭コレクションによる「猫まみれ」展が3/27まで開催中。
神戸の前は島根でも開催していた。
こちらは神戸のチラシ。
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背景の黄色系のシマシマ地は虎猫柄のようだ。
国芳の「猫の百面相」が巧い具合に分割されて、けっこうキビシイことを語り合っている。
ううーむ、確かに猫を主体にした展覧会があると、普段展覧会に行かない人でも行くよなあ。
チラシ真ん中下の白地に黒斑ちょっとカツギの猫は洋画家の椿貞雄えがく「たま」ちゃん。
椿は劉生の子分で北方ルネサンス風な濃いーーー濃いーーー肖像画をよく描いていたが、これまた猫好きで猫のこういうリアルなポーズの絵を多く描いているそうな。

こちらは島根のチラシ。
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俗にいう「新橋色」を背景に浮世絵の猫たちがわいわい。
真ん中の白にちょびっと茶色のが浮かぶ奴は高橋弘明の「ジャパニーズ・ボブテイル」、要するに俗説の?「江戸の猫は尻尾が短い」あの仲間な。
こっちはこっちで知らん顔しながら「まみれニャさい」とか言うてる。

古今東西本当に猫好きというのは多くて、先年の「いつだって猫」展「ねこ・猫・ネコ」展「にゃんとも猫だらけ」展でも色々凄いのを見たなあ。
古代エジプト人も猫を神像として拵えているが、それ以上にあれは絶対愛玩用やなと思っている。

今回の展覧会は「浮世絵から現代美術まで」ということで様々な猫が出ている。
彫刻の猫もあれば世紀末のパリから来た猫もいる。

最初に現れた猫は「新田猫」というもの。これについてはこちらが詳しい。
お蚕さんをチュー害から守るためにと描かれた猫絵。殿様が乏しい収入減を補うために描き、それが摺られることもある。
みんななかなか可愛い。

三世豊国の嘉永年間の芝居絵がある。鍋島の化け猫騒動。猫たち大暴れ。
広重の江戸百の猫もいる。国芳ほどではないが広重も案外猫を描いているし、デッサンもいい。実際に猫を見てないと描けないような猫を描いている。

国芳の猫登場。この人の猫がいないとやっぱり画猫(!)点睛を欠く。
戯画だけでなく、おねえさんに甘えて噛む猫や、八犬伝の化け猫、踊る猫など取り取り無限にねこ猫ネコ。
可愛いてならんわ。

師匠がこんなだから弟子たちも猫のおもちゃ絵をよく描いたが、明治になって新時代の風物を取り入れた様子を猫でどんどん描いた。
こういうのはもう純粋に機嫌よく楽しめていい。
むろん国芳系列でなくとも「新ぱん 猫の」シリーズを描くものもいて、それがまた面白い。
猫の丁稚、猫の魚屋、猫の風呂屋、働く猫などなど…
猫にその当時のリアルタイムの様子を仮託する絵は今も多い。
深谷かほる「夜廻り猫」のグレーの猫・遠藤平蔵さんなども、そのうちこうした展覧会に出現する可能性がある。
 
戦後すぐに造られた伊万里焼の猫柄の皿小鉢が可愛い。元ネタは国芳からだが、小さい枠の中に奔放な猫が描かれているのは愉しい。
揃えたくなる人も多かったろう。

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世紀末のパリで活躍した猫好きといえばスタンラン。紅鮭色のクッションにくつろぐキジ柄の不穏な目つきのお猫さんがいる。あの肉球の可愛さ・何をしでかすかわからないところなどもう本当にいい。

不穏な猫といえばやっぱりビアズリー描く「黒猫」ですな。
壁に埋められた妻の死骸の上でにやりと嗤う黒さん。
ところで黒猫と言えばアメリカでは不吉の象徴らしいね。
ポーはアメリカ人だからなあ。
母が前に通っていた英会話教室のアメリカ人教師は初来日したとき、黒猫の絵をつけた車が大量に走るのを見て仰天したそうだ…
働き者のクロネコさんたちですのになあw

フジタの猫もいる。こちらも本当に猫好きな人だった。
ただ、やっぱり最初の頃の猫の方がたまらなく愛しい。

浅井忠、藤島武二の猫もいる。洋画ではなく水彩など。
夢二の黒猫を抱く女もいる。
川上澄生による「猫町」もある。
斎藤清の猫のシリーズもいい。この人は猫のアパートが特にいい。
関野準一郎も案外猫を描いていたのだな。

猪熊弦一郎は実は猫大好きだったそうな。猪に熊でも猫が好きなのだ。

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現代作家による猫の絵が登場する。
四世長谷川貞信はたいへん猫好きだったそうで、これはまたリアルな動きを見せる猫の連作を残している。

清宮質文の猫の後姿などもたまらなくいい。
フジコ・ヘミングも同居する猫を描いている。
とてもリアルな動きの猫。

朝倉摂は父上の朝倉文夫が猫の彫刻で一室埋めてしまうくらいなのに対し、こちらもいい猫を世に送った。
「スイッチョ猫」などである。これもまあ本当にいい絵本。

彫刻では薮内佐斗志の「寧子」シリーズがある。

横尾や金子の猫もいる。
びっくりしたのは多賀新の猫。えっと言う感じ。

今回初めて知った木下晋という人の描く猫たちはたいへんリアルな筆致。
木下に甘える猫などが描かれているが、撫で回したくて仕方なくなるようなリアルさだった。

山本容子のチェシャ猫、猫とミミズクを仲良く描く生田宏司など、本当に会場内が猫にまみれていた。

ああ、凄かったなあ。201点の絵画・工芸作品だが、実際に登場した猫は更に多い。
本当に猫に溺れてしまう。

いい展覧会でした。猫が美術館の救世主というのは、ちょっと正しい。
また見たくなってきたよ…
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