美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ゆかいな若冲・めでたい大観 ―HAPPYな日本美術

「ゆかいな若冲・めでたい大観 ―HAPPYな日本美術」とはいいタイトルだと思う。
2016年の始まりにふさわしい、いいタイトルのいい展覧会が山種美術館で開催されている。
このタイトルに対するならば「けったいな蕭白・ふざけた暁斎」くらいしか思いつかないが、まぁ後者は企画されませんわな。
今回、若冲生誕300年にあわせての特別展だそうで、わたしが行った時もいい混み方をしていた。
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1.愛でたい、めでたい、HAPPYな日本美術
・長寿のシンボル 鶴と亀
暁斎 浦島太郎と鶴と亀 1887  おぅ、いきなり言うてたら暁斎か。鶴を中に左右に亀と太郎。わりとおっちゃんなというか壮年の浦島で、荒海で力強く櫓をこいでいるような。もちろん傍らには瓢酒。

大観 天長地久 1943  時代というのもあるし、ご当人が老年期に入っても水戸の書生っぽらしさを残しているからこその無邪気さでこの時代の作品は生み出されているように思う。
鶴が飛び、松林が拡がる空間。めでたい。

玉堂 松上双鶴 1942  こちらもめでたい。アカマツが伸びる。山崎家のお嬢さんの結婚祝いのための絵。

古径 鶴 1948  戦後もめでたさの象徴たる鶴を描く。座す鶴と薄紅梅。この絵を見ていると福岡の銘菓「鶴乃子」を思い出す。

龍子 鶴鼎図 1935  3羽の鶴が身を寄せ合う。首から上が灰色なのは何の種類なのか。
旧いことを言うようだが、「チャーリーズエンジェル」でもやってくれそうである。

若冲 亀図  二匹の亀がこんにちはと挨拶を交わしている。薄墨色の亀たち、温和。

・縁起物のマルチプレーヤー 松竹梅
大観 松竹梅 1931 扇面に金梅、黒松葉、金笹。

大観 寿 これは絵でなく書なのだが隷書体に近いような書体で、真ん中の(・)が一つ目のようにも見える。薄い金泥の松竹梅が下地に透ける。めでたいのだが、現代のフラチものが見るとこんなことしか言えなくて申し訳ない。

松竹梅を大観・玉堂・龍子で競作したのがある。1955。三人はそれぞれ白砂青松、竹(東風)、梅(紫昏)と題した絵を描いた。それぞれの個性がよく出ていて面白い。
尤も三人が担当を変えてもそれはそれでいい感じになると思う。

・幸運をもたらす神 七福神
さすがにここのコーナーは旧幕時代の絵師のが多い。
狩野常信 七福神図 これはもう完全に「七福神のところへお招ばれした唐子たち」の様子を描いたものにしか見えない。
唐子と布袋、弁天と唐子、大黒と唐子などなど七福神それぞれが自分の特性を通じて唐子らと交流中。えべっさんから釣りを教えてもらったり、演奏を聴いたり…
色々と子供らを楽しませようと七福神揃っていろいろ大変。
しかしコワモテの毘沙門天が何をしていたかちょっ思い出せないな。

七福神のうち布袋はまぁ子供好きということになっているので、「布袋と唐子」図は随分昔から多くの絵師が描いている。

狩野一信 七福神図 山中の亭でくつろぐ皆。給仕のためにか少女たちもいる。
海に出ると宝船に乗って楽しいツアーに出る(のか?)が、山中はどうやら本当に別荘らしい。

若冲の布袋図は何種かあるが、可愛いのはチラシ表の「伏見人形図」の布袋の行列だが、こちらの七福神仲間のコーナーにある布袋図は二枚が二枚共にアクの強いもの。
にんまりとやらしい目つきのものと、重たい荷物を担いでニコニコのと。
なんかもうどちらもあんまり遭いたくないなあ。

狩野一信 布袋唐子図 こちらはちびっこらがなかなかいたずらもので中には「べー」するのもいる。

若冲 恵比寿図 えらく大きい鯛。福耳のえべっさん。それとグラスを持つ毘沙門天が。
これの対らしき大黒図も並ぶ。

尾竹竹坡 大黒天像 ここでようやく近代のヒトになったが、絵自体はそう新しくはない。二つ俵の上に立つ大黒様。吉祥図だからあんまり新しい画風のものよりこうした絵の方がめでたさは強い。

下村観山 寿老 1920  また例によって威厳のある老人姿である。つまり七福神のやたらと長いデコの爺様ではなく、南極老人たる像。それが白鹿を撫でている。
先般横浜そごうで見た福井県立美術館所蔵の寿老人の続編的な構図でもある。

・聖なる山 蓬莱山と富士山
仙人の住まう蓬莱山と日本人の心に生きる山と。

大観 蓬莱山 1939 東海に亭が突き出ている。鶴亀に松竹梅もなんでも一緒にまとめてめでたいものがここにある。

大観、古径、深水らの富士がある。そして小松均の赤富士の力強さでしめくくる。

・暮らしに息づく吉祥
芳中 万歳図 これがまた可愛い。ぺんぺんと鼓を打ち言祝ぐ二人組が、ただただ可愛い。

暁斎 五月幟図 なにやらめでたい取り合わせの幟…

是真 円窓鍾馗 赤い地に丸窓が開いて、そこから鍾馗の怖い顔がぬっと出ているから鬼があわてて逃げだした。

新井洞巌 鍾馗駆鬼図 1926 踏んでるよ…

他に富士に鷹に茄子や高砂の老夫婦もいた。

・生きものにこめられた吉祥
大観の龍と龍子の鯉とが力強い。そして栖鳳の鯛がやたらと美味しそうである。いや、児玉希望の鯛の方が美味しそうか。
洋画では味わえない素材の「美味しそう!!」感はやっぱり日本画とスケッチとマンガがいちばんだな。線の問題もあるか。

若冲のえびは薄墨の巨大なえびだが、これも茹でたら真っ赤になるだろう。
何人分の食材になることやら。

瀧和亭 五客図 1886 これは鳥を差しているようだ。鸚鵡、鷺、孔雀、雉など。

雅邦 平安長春図 1895 白バラに鳥という楽園的な様子。

春草 白牡丹 1901 一つ、ただ一つの大きな白牡丹。

・新春を寿ぐ 愛されキャラ、干支の動物
土牛の干支の動物図が可愛い。兜町時代の吉田五十八設計の茶室での初釜に掛けられていたそうだ。

玉堂 春渓遊猿 1940 大自然の中のヒトこま。小さく描かれた楽しそうな猿たち。
大自然と生命ということを考える。

申年ということで古径、小虎、土牛、多々志らの猿の絵も並ぶ。
…いつか猫年は来るのだろうか。

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2.HAPPYになる絵画
笑・ユーモア
若冲 仔犬に箒図 竹箒にくっついて眠る白犬。
こいつの仲間で箒にさっさっと掃かれるわんこもおるなあ。

若冲 河豚と蛙の相撲 ザリザリvsぬめぬめ。ううーむ…

是真 墨林筆哥 漆絵。大好きな一枚が出ていた。カエルの琵琶弾き語りライブ。
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都路華香 寒山拾得 ニコニコの二人。それだけでめでたい。

・幸福な情景
清方 佳日 1955 幼い息子を連れて外出。旗日で家の軒先には国旗がある。

深水 春 1952 モダンな着物の二人の女がひそひそ。大したことは話していない。

小虎 春の訪れ 1924 大きな作品で春の女神が花を撒く情景。地にはナズナ、木花は木蓮、蝶も飛ぶ…春の美しさを味わう。

華楊 生 1973 生まれたばかりの仔牛に光が差し込む。ほかほかと湯気が立つような温かな光景。

ああ、めでたい好いもの味わった。
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