美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

仏教の箱 荘厳された東アジアの容れもの

大和文華館の「仏教の箱」展に行った。
箱と聞いてわたしのアタマに葛籠とか料紙箱までは浮かんだが、この展覧会は副題にある通り「荘厳された東アジアの容れもの」なだけに、多種多様な有様のものをさしていた。
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1.舎利を納める 舎利容器・仏像胎内納入
そうでした、まずこれでした。

舎利容器 唐 泉屋博古館からお出まし。ぐるぐると瑞雲が描かれている。どうやら粛宗(玄宗の三男)あたりの所蔵品らしい。

「南栢林弘願和尚身槨」銘 石槨 唐 こちらも泉屋から。チラシ真ん中の幌馬車のような石造のカク。このカクとは棺じたいを納めるのようだが、ここにある大中小三体のカクはそんなに大きくもなく、儀礼の模型なのかもしれない。
この辺りの事がちょっとわからないので知りたいが、どうなのだろうか。

木造釈迦如来立像 唐末期 木造がベースで一部乾漆+練ったもの貼り付けらしい。
下げた右手は手首から先がなく、曲げた左手は肘先がない。銀光りするような照り方。顔肉はふっくらしているが、むっとしている。

青白磁瓔珞文輪花合子 宋 何か見覚えがある。この作品にではなく、この釉掛け状態に。
あ、わかった。高麗橋・菊屋のアイス最中にそっくりなのだ。三番街の喫茶室で食べれるのだが、最中を外すとバニラアイスに喫茶室でしか食べられない柚子餡が挟まっていて、それが混ざりあい始めたような状態。もう本当に美味しそうである。

銀製合子 朝鮮 小さくて黒くなった銀の合子。

2.仏像を納める仏龕・厨子 
こちらも確かに容れもの。

石造二仏並坐像 526年銘 北魏 ドレープも綺麗に刻まれている。背には出城情景。

石造四面像 唐中期 四方にそれぞれの仏が刻まれる。北の弥勒、東に多宝と釈迦、南に定光如来、西には無量寿…その下には竪琴を弾く・琵琶を弾く・笛を吹く・笙を吹くものなどなど楽器演奏する女の姿がある。これらは供養のために作られたものなので、そこに女の像が多いのは供養者が婦人だからではないかという推理があった。

金銅板佛 遼 唐文化の後継者たらんとしてその文化を出来る限り再現した遼。
これは建物を模した殿閣型。屋根の両端に鴟尾がついていて、しかもその建物の中には仏たちが整然と並んでいるので、ちょっと見には「仏マンション」という趣がある。
外観は台北の圓山大飯店か肥後橋の徐園かといったところである。
・・・関係ないが徐園の春巻は美味しい。

金銅薬師如来立像 新羅 頭大というか首がないというか、白鳳の仏像の兄貴分というか…ちょっとばかり山岸凉子のホラー「汐の声」を思い出して怖い…

上代裂帖 飛鳥―奈良 天人の絵柄のものが見えた。

刺繍如来像 明 この時代の刺繍ものっていいのが多いから好きだ。
これはワッペン。螺髪は「相良縫い」という技法。今でも活きている。

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3.経巻・経册を納める 経箱・経筒
容れものだけでなくその御本体も。
3.経巻・経册を納める 経箱・経筒
容れものだけでなくその御本体も。

一字蓮台法華経 普賢菩薩勧発品 平安後期 見返しがワイワイとにぎやか。坊さんらの読経とその周囲にいる人々。子供もいる。こういうてはなんだが、娯楽が少なかったから一大イベントとしてドキドキものだったろうなあ。

金銀鍍宝相華唐草文経箱 1031 延暦寺 やや緑青が噴いている。これは藤原彰子が埋経させたものらしい。立派な文箱。…彰子って当時の人としては「をを」なくらい長命だったな。紫式部を筆頭に高名な文学女子たちもそばにいたし。

金峯山経塚出土品 法華経巻四、無量義経残欠 998年奥書 金峯神社 かなり変容していて、抽象的な文様のようになっている。

金銅宝幢形経筒・瑠璃壺 平安 奈良国立博物館 上に緑のガラスの玉がある。垂飾も玉。緑青がまた綺麗。それで「肉舎利」「法舎利」とあるが、それがちょっわたしにはわからないので調べたら、髪とか歯とかが肉舎利で、法舎利は釈迦の教えを舎利にしたものという説明があった。
そういえば鶴田浩二の出ていた任侠映画で「手前の骨が舎利になっても」という台詞があったことを思い出す。

長谷寺縁起絵巻 江戸後期 海から来た毘沙門天の宝塔を宿禰が拾い、占いにより初瀬に。
なかなか素朴な絵で好ましい。

4.仏具としての容器 供物器、飯器など

銅板地螺鈿花鳥文説相箱 平安 大好きな装飾。鸚鵡ちゃんの可愛さ。螺鈿なので位置を変えてみると表情も変わる。可愛い。
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この目が可愛い。イメージ (73)
サイドには一羽ずつ正面には二羽。やはり平安時代は「カワイイ」モノが愛された時代だな。現代の日本のガラパゴス化と鎖国状況の平安時代・江戸時代は「カワイイ」ものがとても多い。内向きになると日本は「カワイイ」モノを生産するのかもしれない。

木地銀蒔絵禅機図経箱 室町 例の「南泉斬猫」とかあんなのが描かれているわけだが、猫の絵は見えなかった。可哀想だから削除??やっぱりあれよ、その後の草鞋を頭に乗せてさっさっとその場を立ち去る、というのがいいよ。

銅製銀象嵌柳水禽文浄瓶 高麗 黒地に白い線で刻まれたかのように見える。繊細優美な文様。やきものだけでなく、金物も高麗のものは可愛い。

鳳凰文鎗金経箱 中国・元 奈良国立博物館 蓋に鳳凰、サイドに鸚鵡、正面に孔雀などが対で。面取りした角々には螺鈿。字もある。
沈金の文様が高麗の様式と一緒らしい。13世紀頃の高麗の貴族間ではモンゴル文化がブームだったというからこの辺りのことを想うのも楽しい。

楊柳観音図 高麗後期 右下の赤ん坊姿の善財童子が可愛い。蓮の花びらの上にいる。五髷にそれぞれリボン。
高麗仏画は160点ばかり残るそうだが、そのうちの130点が日本にあるそうだ。すごい。

密教の仏具で「二器」と言われるものがある。
金銅灑水器(こんどう・しゃすいき)=香水を入れ散布。
黒漆塗香器 こちらはその香を入れるもの。同型。

根来や堆朱の箱も色々あり、面白く見た。

5.付 様々な箱

道成寺縁起絵巻 江戸後期 いつも大体がクライマックスのシーンを開いているが、今回は珍しく後日譚を見せてくれる。
今や蛇カップルと化した安珍清姫がある僧の夢に出て供養を願う。供養した所、それぞれ熊野権現と観音の化身だったことがわかるとか。赤と緑の蛇はもう雲の上。

ここでは蒔絵の綺麗なものを色々と見た。清朝の筆もある。

象牙象嵌梅文八角香合 江戸 象牙部分が焦げキャラメル色になっている。

関西の公私のミュージアムには、明治から戦前に活躍した中国の書画文物コレクターの見事な優品が多く所蔵されているので、相互貸出で出てきた作品があるのが嬉しい。

ああ、いいものを見た。2/21まで。
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