美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦

東京で今開催中の泰西名画の特別展といえば、「ボッティチェリ」「ダ・ヴィンチ」「フェルメールとレンブラント」「ラファエル前派」「大原美術館」の5展か。
「フェルメールとレンブラント」は先に京都で見た感想を挙げているし、「ラファエル前派」も挙げている。あとはイタリア・ルネサンスの2展と大原だが、大原の場合は今回民藝も古代美術も来ていて、「洋画」だけでは括れない。丁度関西では民藝のいい展覧会が2つ開催中なので、そちらと関連付けての感想を挙げたい。
というわけで「ダ・ヴィンチ」展の感想を挙げる。
「ボッティチェリ」はまた後日。

「レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦」というタイトルで江戸博で特別展が開催されている。
なんでも真筆の「糸巻きの聖母」が来るそうで、そちらを取り巻く観客が多いと聞き、まぁええわと土曜の開館直後に入ると、もぉいっばいのお客さん。
先に糸巻きの聖母にだけごあいさつに向かう。
うまいこと誰もいないので機嫌よく堪能する。
このチラシのがそれ。
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糸巻きの聖母と言いつつ、糸巻き棒を持つのはヨシュア坊や。かわいいほっぺにムクムクの二の腕と言う幼児体型で、眼ばかりは賢そう。
聖母の顔がたいへん綺麗。
首から胸上部までの肉付きの確かさもいい。
ただ、「これこれ」の手が妙な違和感を感じさせる。
つまり目元は坊やを見やる優しい母の想いがにじんでいるのだが、あの手は闇の中から不意に現れたような、そんなどこか恐怖を感じさせるようなところがあるように思う。むろんわたしは専門家ではなく、勝手な感想をかくだけだから本当のところ、あの手の違和感の正体などはわからないのだが。

入り口に戻る。
様々な画家たちによるダ・ヴィンチ先生の肖像画をみるが、中で面白かったのがダ・ヴィンチと特に親しかったフランソワ1世のそばでこの世を去るダ・ヴィンチの絵。
なんだかすごく立派な裸体で、首から上は老人だがその下は壮年をも凌ぐ勢いがある。
マッチョなおじいさんが上半身を起こしているのだが、タイトルは1世の腕の中で息を引き取るとあるが、実際にはフィクションらしい。
「願はくば花の下にて」の方はほんまに春の花の時期だったが、こちらは「だったらいいね」という後世のファンの想いで描かれた最期のよう。

イメージ (7)

後世の画家たちの「ダ・ヴィンチに基づく」絵がずらずら並ぶ。
偉大なる先達へのオマージュ作品もあれば、そこから学習した作品もある。

ダ・ヴィンチの素描とノートが出ている。これらは真筆。
ノートつまり手稿は大変貴重なもので、この伝世について興味深い逸話があるが、それはここでは記さない。
会場ではそのことの説明がある。
それにしてもこの手稿の内容はなかなか面白い。

幼児のムクムクした手足、あのどこか不気味な手、そして様々な花。それらの素描をじっくりと観る。
何かの経済紙の表紙絵がたしかダ・ヴィンチとミケランジェロの素描を使っていた。それを思い出す。

同時代の北イタリアの絵師による貴族の肖像シリーズがなかなかいい。
黒チョークに銀の尖筆に象牙の紙という意味不明な豪勢さ。
セピアになったその紙の上で6人の貴族の肖像画が浮かび上がる。

先の「糸巻きの聖母」を模写した絵が何点か並ぶ。
こうして眺めると、やっぱり大元の絵がいちばんいい。

追従者と言うか模写をする画家のうち、絵の中にモナリザそっくりの女を入れてみたりするのは、これは学習の充実度を示すためというより、パロディのようにも思える。

一方、ダ・ヴィンチの弟子筋のサライが描く「12歳のキリスト」は美少女風で、とても救世主には見えない。愛らしい。

1つとても気に入った作品がある。
幼子イエスと洗礼者聖ヨハネ図なのだが、天蓋つきベッドでちゅっちゅっと幼児同士はだかになって可愛いスキンシップをする微笑ましい図なのだが、フジョシ目線で見てしまうと、15年後には…と色々妄想がたくましくなる。

ヨハネはやはりかっこいい。
いい絵がいくつもあった。中には「安心してください」的なのもあったが。

マグダラのマリアの悔悛、ルクレツィアの自害などを題材にした同時代の画家の絵もあるが、やはりこれらは美人画が描きたいという気持ちからのものだろうか。

…あんまり好きなことを書くと、またイヤガラセをしてくる人もあるから、もうあんまり宗教画についてどーのこーの書きたくないな…

イメージ (8)

最後にダ・ヴィンチの土木工学プランを模型にしたコーナーがある。
即席の橋が特にいい。模型になることで構造がよくわかる。
ボスポラス海峡を渡る橋の構想まであったのか…
浚渫ブロックや飛行機模型まで…
このあたりは20年近い前にも大丸での展覧会で見ているので懐かしいが、やっぱり模型になってくれるとわかりやすくていい。

後世への影響の強い偉人だということを、展示作品から改めて実感した。
4/10まで。

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