美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **自宅でログイン出来ないので、現在「遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う」で感想を挙げています。

茶の湯の美、煎茶の美

静嘉堂のリニューアルオープン展その2に出向いた。
3/21までだったので既に終了したが、終わりがけであってもいけてよかった。
「茶の湯の美、煎茶の美」
茶道具のよいのを堪能したのだ。
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昔の実業家は茶道具集めをするから当然ここも名品にあふれている。
百数十年後の我々は労することなく、目でそれらを楽しませてもらう。

世界に三点だけの曜変天目茶碗の一つ・稲葉天目がある。
きれいなものが更にきれいに見えるような配置で展示されている。

わたしはここの油滴天目茶碗が大好きで、今回もこのメタリックな様子を見せる朝顔型の天目茶碗を愛でた。

茶入の可愛いのがいくつも並ぶ。
唐物茄子茶入の通称「付藻茄子」と「松本茄子(紹鴎茄子)」は前にも見ていたが、その来歴を今回初めて知った。
大坂城が落城したときに拾うてきて、藤重父子に命じて継がせたそうな。
大坂城の落城で救われたのは千姫と徳川美術館所蔵の「出雲阿国絵巻」ばかりではないのだ。

茶道具の面白さの一つがその茶道具がたどってきた道を知り、逸話を聞くこと。
伝来の系譜を楽しめるのはとてもいい。

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唐物瓢箪茶入 稲葉瓢箪 南宋~元 この挽家が何やら凄い。人魚に羽人に躍るようなヒトに、とその線描も表現もRRR時代の武井武雄ぽいシュールさに満ちていた。
こういうのは不思議な感覚があって、妙に惹かれる。

青磁鯱耳花入 砧花入 南宋 なんとこれが全ての「砧青磁」の呼ばれの始まりらしい。
わたしなんぞ簡単にキヌタキヌタキヌタタヌキ…最後一つ違うの混じったけど、べたっとした青磁を見たら「ああ砧か」と思ってしまうが、そうかーこれがその…

珠光青磁茶碗 南宋 傷のような模様が入っていて、しかしこれが「美」であると言われると、「傷が美になる」という意識の変容の様子を目の当たりにすることになる。
わたしはそこにはまだ至れないが。

ふっと目を転じたら一つだけ茶碗が煌めいて見えた。
寄って行くとやっぱりノンコウのお茶碗。
赤樂茶碗 銘「ソノハラ」 ノンコウのを見分ける、というのではなくノンコウの茶碗の方がわたしを呼んでくれているのかもしれない。
ノンコウの茶碗を見ると、他への関心が薄れてしまう…

仁清のシリーズもの18揃いのを茶入をみる。湯桶、尊、瓢、文琳、茄子、柿、大海…
様々な形の茶入たちが福々しくその場にあり、とても愛らしい。

乾山のところのショップ(!)で販売されていたらしい銹絵染付春草図茶碗、可愛い。
ワラビにシダにスミレに、と乾山チョイスのツツマシイ系春草が描かれていて、いい感じ。兄貴のゴージャスさもいいけど、こういうツツマシイ可愛さにヤラレてしまう感性が日本人にはある。

蝶蒔絵平棗 塩見政誠 不白好みのを拵えた人で江戸中期の作というより、現代の蒟醤作家の作品に見えるようなカラフルな煌めきがある。
金銀・朱・緑・黄色などが乱舞する。

青磁鶴香合 明 龍泉窯 なんでやろう…妙に美味しそうに見えてしまう。
鶴を食べるのは江戸時代では正月の雑煮で、という地域というか風習があった人らもいたようだが、まぁ現在では不可能だし、食べる機会があってもお断りしたい。
なのに、妙に美味しそうに見える。これはあれかもしれない、銘菓の「つるのこ」だったか、あれのミントバージョンに見えるのかな…

原羊遊斎の大棗もある。不昧公好みというものですかな。

住吉釜 室町 芦屋釜で、文様として住吉が選ばれている。鳥居、松並木、白帆、反り橋。
こういうのを遠い地で見ると、また大阪に戻った後、天王寺か恵美須町まで出て阪堺電気軌道に乗って住吉っさんに行こう、初辰の日なら招き猫買うてみたい、帰りは寺地町のかん袋でくるみ餅を…と思うのですよ。

次からは煎茶道具なのだが、正直な話、ここで煎茶道具を見るのは初めてなだけに「おおっ」とばかりに目が見開いた。
急須型のもの、ポット型(銚)のものなど、可愛いものがずらり。
近年、出光美術館での山田常山展で急須愛に目覚めたが、ちょっと沈静化していたのに、この展示である。いきなり再沸騰してしまった。急須だけに再沸騰可能。
http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-2364.html

仲良く並ぶ二つの愛らしい銚にどきどきである。
松花泥茶銚 清中期-後期 松の実の殻つきみたいな。
朱泥茶銚 清後期 かいらしいのう。

朱泥の艶消しなのがまた可愛くて可愛くてならない。
煎茶道具には螺鈿や紫檀を使ったお盆などがあり、それがまた綺麗で。
わびさび、綺麗さびの茶の湯より、煎茶道具の方が好きなものが多い。

梨皮泥茶銚の8個組がある。「荊溪八仙」と名付けられていて、蓬莱島に住まう八仙に見立てられている。柿、菊、葵、雲、六角、水仙、稜花、カクカクした方式…可愛いてならない。賞翫したくなるものばかり。
これらは奥蘭田(おく・らんでん)が鳩居堂で購入したと説明があった。
後で調べたところ、奥は泉佐野の人で、旧幕時代から明治中期にかけて実業家として活躍し、目の確かな人であったそうな。

カクカクした方式茶銚は他にもあり、そちらはアールデコ風だった。

清にも急須はある。
白泥湯罐のそれ。4つほど可愛いのが並ぶ。
宝珠、南瓜、椎殻、滴露子、平太利…可愛いなあ。

白磁茶銚もいい。本当に白い。

道八が絵を入れたのもある。
白泥色絵虫図急須 バッタ、キリギリス、蝶々らを金彩で描く。

湾曲した長方形の仙媒というのがあった。お茶の葉をはかって、急須に入れる道具だという。どう使うのか本当のところはわからないが、どうも形を見ると乾いた方の八つ橋。あのお菓子を思い出す。
更紗カバーと共に展示されているのも素敵。

海鼠釉水注のいいのがあった。清後期で宜興窯のもの。どうも今回の煎茶道具でいいいいとわたしが思うのは全部ここの窯のものばかり。
とても綺麗な青だった。

柱掛けがある。「閑夜酒醒」童子図柱掛 小川破笠 久しぶりに破笠の細工したものを観ると、やはりいいなあと思うばかり。団扇を持ったまま居眠りする坊やを、衝立越しに芭蕉の葉っぱが覗く図。いい感じ。

錫提梁式茶罐 清中期 蘇軾、黄庭堅の詩が書かれている。錫も使われるのがいい。

煎茶の会ではエキゾチックなものが喜ばれたようで、華やかな更紗や刺繍のカバーがいくつもある。
どんな手蔓で手に入れたかウズベキスタン、インド、ヨーロッパの刺繍や更紗のカバーが煎茶会のときに使われた。
エキゾチックで素敵な布ばかりが集まるのを見たら往事の楽しい、華やいだ気持ちがこちらにも移ってくるようだった。

いい展覧会をみた。
なかなか思った時期に行けぬし、遅く行って感想を挙げることが遅れることも多いが、それでも書けてよかった。
いいものを見せてもらったことに感謝している。
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