美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

若冲展に行った

凄まじい大行列の若冲展である。
4/22-5/24の1ヶ月のみなので仕方ないこととはいえ、東京での若冲人気は恐ろしい。
わたしは4/29の夕方6時に並んだ。
その時の状況は「30分待ちとあったけど実際は20分くらいで中に入り、あとは混雑の中、好きなように見た。
わたしはトリがニガテなのでそちらはスルーし、わりに京都でよく見る絵もご近所のも軽くみて、本当に見たかった画を楽しんだ。」と「5月のハイカイ録その1」に記している。
実際その通りなのだが、現状では朝が140分待ち、夕方もとんでもないことになっておるようで、今から行けと言われたらちょっと泣く。←根性なし。

まぁ中も混雑してましたが、幸い背が高いので割と好きなように見て回りました。

隠元豆・玉蜀黍図 紙本墨画 和歌山・草堂寺  おお、久しぶり。妙に存在感を主張する野菜たち。

糸瓜群虫図 絹本着色 細見美術館  細見で見るときより糸瓜が伸びた気がするぜ。

月夜白梅図 White Plum Blossoms on a Moonlit Night 絹本着色  英訳がなかなかよくわかるな。つまり英訳に書いてある通りのものが描かれている。

厖児戯箒図 Puppy Playing with a Broom 絹本着色 宝暦14年(1764)以前 京都・鹿苑寺  わんこと箒の図なんだが、これは実はあんまり見ない方のタイプ。大体いつもよく見るのは「箒に掃かれてありゃりゃ」のわんこ。これはその前段階なのか、首をぐるっと廻して箒を見返るわんこ。なかなか大物になりそうな奴やな。

伏見人形図 紙本着色 国立歴史民俗博物館  何故か玉ねぎらしきものが落ちている。7,8人いるね。で、これを見た人が「こけし人形」と説明しているので、「こけしは木製、伏見人形はやきものでっせ」と言おうかと思ったが、やんぴ。

葡萄の襖絵などに黙礼しつつ進む。

竹虎図 紙本墨画 京都・鹿苑寺  例の肉球ぺろりの虎ちゃんのモノクロバージョン。可愛いわ。ふっくらした肉球に粒な目。
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月に叭々鳥図 紙本墨画 岡田美術館  おーっまっすぐの垂直落下。岡田で見たかどうか自信がないが、いいなあ。これを見ると木の葉落としとかいう技術を思い出すのだ。
あとカムイ外伝に出てくる奴がやりそう。

乗興舟 紙本拓版 明和4年(1767)京都国立博物館  全面出ているのはいいね。
そうそう「ファンタスティック江戸絵画 夢と空想」の図録に間違ってこの京博版の図像が使われているそうで、連絡したら展示に使われてた方の図版を送ってくれるそうだ。
八幡の手前の牛や源八の渡しなど、この辺り好きだ。

玄圃瑤華 “Gempo Yoka” (Exquisite Flowers from a Mysterious Garden) 紙本拓版 明和5年(1768)青裳堂書店  白と黒がカッコイイな。字の読みと意味とを英訳から知るというのもどうやと思いつつ。植物がうごめいているようなリアルさがある。

平木浮世絵財団所蔵の6枚組花鳥版画が並ぶ。明和8年(1771)
実はわたしが若冲もええやんと思ったのはこれを見てから。
見るまではトリオヤジと呼んで(いや、今も呼んでるけど)、敬遠してたのだよ。
というのは、わたしはごく幼いころから若冲のトリの絵を知っていたから、それで避けてきたのだ。
で、ある年の京都文化博物館の便利堂ショップでこのシリーズものを見て「カワイイ」と思ったのが運の尽き。
「…トリ(=トコヨノナガナキドリ)以外はなかなかええやん」と思うようになったのだった。
櫟に鸚哥図
青桐に砂糖鳥図
椿に白頭翁図
雪竹に錦鶏図
薔薇に鸚哥図
鸚鵡図
可愛いしカラフルで構図もいいよね。ここまでならわたしも平気です。

さて皆さん(大阪弁の発音で)、いよいよぐるっと凄いのが登場。
この並び方を見てわたしは3つの展示を思い出しましたわ。
・貴婦人と一角獣in国立新美。
・埃及の「死者の書」森ビルでずらり。
・モネの睡蓮の池の絵を並べる大山崎山荘の地下。

《釈迦三尊像》と《動植綵絵》 Sakyamuni Triad and the Colorful Realm of Living Beings
・・・翻訳で色々と納得もしたりしててね。
相国寺からは釈迦三尊像 明和2年(1765)以前
文殊菩薩像Manjusri 普賢菩薩像Samantabhadra
ああ、元来の名か。
三尊が大群衆を見守っていはるのです。

ここからは宮内庁三の丸尚蔵館の動植綵絵。
大きな絵なので混んでいてもけっこうよく見えた。
わたしは特別ニガテなもの以外はなんとか前に出て楽しみました。
好きなものばかりをちょっと挙げます。
薔薇小禽図  空気が濃いように感じるほどの絵。
梅花皓月図Plum Blossoms under the Moon  月が皓皓と照る下に梅の香。暗香ということか。
秋塘群雀図Sparrows and Millet  多くの雀の内に白いアルビノ雀もいる。しかし排除されるわけでもなく、普通に皆といる雀。
池辺群虫図  カエルがけっこういい感じ。
貝甲図  ばらばら散らばるのが小川破笠の蒔絵や螺鈿の仕事の様だ。
諸魚図  目立つのはやっぱりタコですな。
桃花小禽図  色の取り合わせが華やか。薄紅色と白の花びらに瑠璃鳥。
やっぱりこのシリーズはすごいわ。
個人的な好悪があるから一歩引いてるけど、この連作が一括して三の丸尚蔵館にあるのはよいことだとつくづく思う。

2Fに上がるエスカレーター前でざいかぼうさんをお見かけ。同じ時間帯に来られてたのか。

今回のわたしの最大の目的を見る。
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百犬図 絹本着色 これですわ。これは1990年代のアサヒグラフで特集が組まれたときに初めて知って、今も切り抜いているが、100わんちゃん大遊び図なのですよ。
可愛いてならない。実に色んな行動を見せるわんこたち。ああ、楽しいな。
この絵は5/8までで、今は「果蔬涅槃図」が出ているそうな。京博で見たとき「さすが青物問屋の親方だけにおいしそうやな」と思ったものでした。

菜蟲譜 絹本着色 寛政4年(1792) 佐野市立吉澤記念美術館  これはさすがに並んでじっくりと。枇杷に蓮根に巨大な椎茸に…最後に面白い顔のカエルもいて、とても楽しい。
2006年の4月に京博で「特別展観・文化庁海外展帰国記念 18世紀京都画壇の革新者たち」展で見て以来。
京都で若冲が野菜と昆虫のリアルなのを描いているとき、江戸では世に出る前の若き写楽が色々試行錯誤している最中か、と「鼻紙写楽」をついつい思い出す。

ご近所さんの襖絵はスルーするが、その裏の敗荷図は見ておく。蓮池。どこまでもシーンとしている。
大混雑の最中でもここだけ静寂。

三十六歌仙図屛風The Thirty-six Immortal Poets 紙本墨画 寛政8年(1796)岡田美術館 …物凄い翻訳ですな。不朽の名声を持つ詩人、か。
でっその不朽の名声を持つ歌仙たちのうち誰かが琵琶に押しつぶされていましたね。
ImmortalをImmoralと空目した(tのあるなし!)わたしです。

石燈籠図屛風 紙本墨画 京都国立博物館  これは好きな絵で巧いこと空いてたからじっくりと眺める。もうすぐ夜明けが来るのかと思う時間帯。
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(ちょっと前の展覧会で挙げたのを使っているから、期間は違います)

象と鯨図屛風 紙本墨画 寛政9年(1797)MIHO MUSEUM  去年はサントリーとMIHOさんとで「若冲と蕪村」展を愉しんだが、このゾウさんの優しい目が大好き。
可愛いなあ。ちょっと隅に追いやられての展示だが、ほのぼのと幸せな気分になる。
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最後の章に「米国収集家が愛した若冲」として作品が集まっている。
月梅図 絹本着色 宝暦5年(1755)メトロポリタン美術館  凄く細密な絵。白梅の開いているのから蕾まで緻密な筆致で描く。開く白梅の蕊は金。少しばかり賛か詩がある。
白雪相似 独清春不知 
この言葉は禅の方の言葉らしいね。その続きはまた違うようだが。

虎図 絹本着色 宝暦5年(1755) エツコ&ジョー・プライスコレクション  大好きなカラフル虎ちゃん。肉球ぺろぺろ。可愛いなあ。

鳥獣花木図屛風Birds, Animals, and Flowering Plants in Imaginary Scene 紙本着色
エツコ&ジョー・プライスコレクション  色んな議論もあるが、それは措いて、これは本当に丁寧に拵えられたいい作品だと思う。タイルにして浴室に貼り付けたというのはいい話。わたしはこの屏風を勝手ながら「イキイキ地球家族」と呼んでいるのだった。

伏見人形図 紙本着色 寛政12年(1800)エツコ&ジョー・プライスコレクション
7人の布袋。わしわしと行列中。

今年は細見、京博でも回顧展をするようで、また多くのお客さんが行かはるでしょう。
あまりな行列は困るけど、こうして繁盛するのはいいことだ。
今から行かれる方、本当に気を付けてがんばってください。
中に入れば楽しめますから。
5/24まで。
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