松濤美術館に甲東園の頴川美術館の名品が出向いている。
チラシにある通り「30年ぶりの大公開」らしい。
頴川美術館は小さくて居心地の良いところだが、松濤ではどのように見せるのだろう。
そのことを思いながら出かけたが、前後期の入れ替えがあるとはいえ、いつもの展示の4倍くらいの規模なので、妙にどぎまぎした。

規模の問題で同時に見ることの出来ないいくつかの屏風が同じ空間にある。
そのことが面白い。
山王霊験記、群鶴図、伝・馬遠の高士観画図、等雪の人物花鳥図、梅逸の柳桃黄鳥図などなどの名品がフロアは違っても同じ日に見れるのはすごい。
狙仙の猿五匹もいる。
過去の展覧会でこんなチラシもあった。

最下段の富士山は前期の展示。
むろん記憶にない絵も出ている。
鍾馗が鬼を捕まえて目玉を刳りぬこうとする絵なんか知らない。
この画題自体は他にもあるが、頴川では見ていない。祥啓の絵だった。
「わーっ待て待て、話せばわかる」「しらん」
問答無用というやつですな。
山楽の蘭亭曲水図も見たかどうか記憶にない。ヒトヒトヒトでびっしりで、誰も飲まずに真面目に詩をひねり出そうとしている。
応挙 猪図 これも案外なじみがない。ブヒヒーンと左下へ突進する猪。勢いのある筆致だが、可愛い。
西山芳園 四季耕田稼穡図 久しぶり。田圃のわきで子供らがわんこと遊んでいるのが可愛い。中には亀と遊ぶ子もいる。一方で働く子供もいる。
寛斎 南北極星愛鹿図 これは好きな絵だがあまりお目にかからない。南極老人北極老人が山中で出会うと、それぞれ鹿を可愛がって引き連れていて、という図。

古径の梅に鶯、御舟の小春日図の白に黒ぼっちのにゃんこ。みんな遠いところをご苦労様。
工芸品も長次郎の赤樂「無一物」だけでなく煎茶用具の佳いのも来ていた。
わたしが煎茶に関心を持ったのはこの頴川コレクションからだから、おろそかには出来ない。ありがたく眺める。
近代の職人たちのよい仕事が集められている。
清風与平も三浦竹泉もここで知った。道八の寿老人もここの。
小さくても凄いコレクションがあるのを、遠い松濤であらためて教わる。
浪花百景も来ていたか。
これも頴川が所有していて、販売中の絵はがきは見知っていたが現物に会うのははじめて。
実はこの上方の幕末浮世絵は大阪のクリスタ長堀で陶板の再現がなされて、多くのお客の眼に触れている。
楽しい名所図。昔の大阪にはこんなところもあったのですよ。
と、言いたくなる一枚。
5/15まで。とても楽しく拝見できた.。
頴川へ帰ってきてからはまた小さな空間で会いましょう。
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