美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **自宅でログイン出来ないので、現在「遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う」で感想を挙げています。

映し、写しと文様の美

白鶴美術館の春季展「映し、写しと文様の美」展はやはり面白い展覧会だった。
副題は「白鶴コレクションにみる東洋のこころ」。

白鶴美術館は建物として空間としてとても心地よく、気分もいい場であることは、何度もこの場で書いている。
初夏の暑さをここにいれば忘れるというのが何より素敵だ。
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最初に中国の文物をみる。
白銅海獣葡萄文鏡 唐 かなり銀色で縁に緑青が吹いている。よくよく見ると葡萄が小さく実をつけている。プチプチとおいしそう。

白掻落花文水注 北宋 レースの重なりあった衣服のようだ。綺麗。

天目茶碗も三種ほどある。
青磁のよいのもある。南宋、明、鎌倉時代の名品。

正倉院の宝物の写しがある。
墨絵弾弓 森川杜園 奈良の一刀彫りの匠。2cm大の人物たちの散楽の様子。ジャグリング、太鼓、笛の演奏…とても丁寧に描かれている。狭い空間に小さい人物たちが生き生きと動き回っていた。

明治の初め、文化財の調査があった。
その時に写された名品がいくつもある。
蜷川式胤の海獣葡萄文鏡拓本、中村雅真の蓮花騎獣人物文八稜鏡拓本…
前者は前掲のとはまた違うようにみえるもので、後者は獅子らしきものにまたがって向かい合い、なんだか南洋系の人々風な様子で笛などを演奏している。

職人の手わざは明治になっても衰えることはなかった。
少なくとも昭和戦前までは名人と呼べる技能者がいた。
その頃に作られた模品たち。
花鳥背八角花鏡 二羽の鸚鵡と瓔珞がとても華麗。
螺鈿犀文円鏡 犀だけでなく鳩、麒麟の番も浮かび上がっている。
金銀鈿荘唐太刀 本当に素晴らしい。柄は鮫皮、綺麗な透かしには宝玉。
こうした古き世の宝物を髣髴とさせる模品を作る職人がいたのだ。

今回面白いことを知った。中国では螺鈿・青貝の技術は唐のあと廃れて、宋まで復活しなかったそうだ。
楼閣人物螺鈿盒子 元 かなり大きなもの。時代の流れとはいえ、数百年にわたって螺鈿技術が伝わらなかったとはなあ…
それで正倉院に収められているような螺鈿の美しいものが中国にはなく、「日本にしか伝わらない」のか。

蓮華文螺鈿蝶形卓 原品は平安、模品は大正のものが並ぶ。遜色ない出来。素晴らしい。

絵を見る。
酒天童子 伊吹山系統。首を斬るところが出ていた。大鉞が落ちている。
その前後をみたいものよの…

石清水臨時祭・年中行事騎射図 冷泉為恭
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華やかな催しで、人々が生き生きとえがかれている。

二階へ上がる。
可愛い饕餮くんたちがいる。本体だけでなく小さい犠首も可愛い。
春秋戦国へ入ると、巨大な蟠龍文も出て来て、大鑑についている犠首が風神ぽい姿を見せる。

前漢らしい雲気の描かれた壺もあれば、後漢の博山炉もある。青銅のは支える神人と下でうごめく獣が特徴的で、緑釉のは上についた孔雀が身づくろい。

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賢愚経が綺麗に残っているが、これは檀を使ったので紙がそのまま白いそうだ。
画図讃文も奈良時代らしいよい字。

鍍金花鳥文銀製八曲長杯 これも好きなもののひとつ。外側に小さく綺麗に花鳥文が刻まれている。
フレスコ画と同様、たいへん静謐な世界。

東大寺の八角燈籠の火袋の透かし部分を拓本したものが出ていた。
音声菩薩像。そういえば鶴翁は奈良から出てきた人だった。

作品リストの裏面には今回の展覧会の骨子が書かれている。
それを踏まえて展示を見ると尚よいが、見ずとも楽しめる。

次に新館へ行き、絨毯を楽しむ。
イスラーム世界と一口で言うても地域により美意識は異なるので、その地その地の文様の違いが出る。
そのあたりを眺める。
ペルシャ、アナトリア、そしてコーカサス。
絨毯の文様も本当にいろいろ。好きなものはどれかと尋ねられても困る。
わたしは宇宙と花のイメージがあるペルシャ絨毯が好きだが、実際に部屋で使うなら幾何学文様の方がいいだろうし、しかし遊び心を満たすなら動物闘争文もいいし…
困るなあ。
絨毯などはこうした楽しめ方も出来るのでいい。

6/5まで。
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