美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

美の祝典Ⅰ やまと絵の四季

『源氏物語絵巻』・『信貴山縁起』・『伴大納言絵巻』・『鳥獣人物戯画』は、日本四大絵巻物と呼ばれているそうだ。
これが日本三大絵巻物となると『鳥獣人物戯画』が外れるようだが、それは連続した物語性を持たないから、という意味での外しなのだろうか。

この四種のうち『源氏』は五島美術館と徳川美術館で展示があり、その機にその気になれば比較的見に行きやすい。
ところが後の三種がなかなか世に出ない。
それでも先年『鳥獣戯画』が東京・京都で御開帳され、大いにお客さんを喜ばせた。
そしてまさかのもしかで『伴大納言』と『信貴山』とがほぼ同時に東西で公開されている。
前者は出光美術館の開館50周年記念の目玉として三期にわたり、分けられての展示。
後者は奈良国立博物館で三巻を一気に展示している。

出光では既に記念展の第二期に入っており、この感想はもう終わったものへの追想になるが、記憶と記録のために挙げておきたい。
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『伴大納言絵巻』はミステリーというかポリティカル・サスペンスの傑作である。
絵巻に描かれた事象・描写にも実は謎が潜んでいて、そのあたりが面白いということを今回の展示でハッキリと示している。
壁に登場人物紹介がある。大きいのでわかりやすい。見方をリードされているのだが、それはそれで構わない。
絵や風俗は描かれた時代(平安末期らしい)のもの。

古代から続く大納言家だが天平時代に差し掛かる直前から藤原家に押さえられてしまった。
地位を回復したいと思っても自分の上には右大臣・左大臣がいる。
このことを踏まえてから絵巻を見ると、非常にスリリングな展開を見せていることに気付く。そもそも応天門とは内裏に近いなかなか重要な門なので、これは朝廷、いやそれよりも天皇への挑戦だとみなされもする。
イヤガラセをしたのは誰だ、ということで若き天皇は腹を立てている。

場内では赤と黒のうまい設えがある。
それにそって絵巻を見た。
上巻の見どころは何と言っても応天門の大炎上シーンとそれを見る人々の様子である。
ガラス越しに人々の表情を観察する。絵がいいのはわかっているので、そこではなく人々の行動を見る。
こうした見方でみる絵巻はやはりドラマティックな緊迫感を見るものに強いる。それがまた面白い。

人間描写が達者だから、言うたらイヤな表情や厭らしい行為をも描く。それを見つけて喜ぶのも言えば業の深い話だ。
そして謎の人物の後姿。それをクローズアップする。この男が誰なのかはわからない。
むしろ映画的というよりマンガの一コマのような良さがある。
応天門に雀が二羽いたのを発見した。見れて良かった。

第一期ではここまで。
よく知られている絵巻なのに、「続きはどうなる?!」とドキドキさせられて、終わる。
現在の第二期では中巻が展示されている。序破急の序はこのようにしてドキドキが高まったところで終わり。

ムフーと息を吐いてから次の展示を見る。

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宇治橋柴舟図屏風 桃山 この屏風はとても好きで好きで。どこにも人の姿はなく、まるまるとしたマリモのような柴たちが自分らで小舟を懸命に漕いでいるようにしか見えない。可愛くて可愛くてもぉ・・・
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柴舟も一隻だけでないので、お互いに声を掛け合っているようだ。「ヴォルガの舟歌」ではないが「えいこーら、やれこーら」くらいは言ってそう。
左隻は鴨がいた。こちらは冬。陸には桔梗が咲く。

日月四季花鳥図屏風 室町 金属の日月をはめこむ。キジカップルがいる。風のせいでかうねる木。
ふと左手を見たらそこに広がった景色、そんな感じ。

ここにも吉野龍田川図屏風があるが、やはり地の金は隠れるほどに桜や楓が覆う。

四季花木図屏風 室町 左6の楓たちが川へ落ちてゆくのだが、それがなにやら温泉に浸かるような様子。♪ババンババンバンバンと歌声が聞こえてきそう。
右1の紅梅が可愛い。

橘直幹申文絵巻 鎌倉 みんな慌てているシーン。黒牛まで慌てて走る。この話も面白いというか現代でも理解できる話。

佐竹本三十六歌仙の「人麿」「僧正遍照」が出ているのも嬉しい。
実際に見ていないのはあと何点か。

絵因果経 奈良 8字列のいい文字が続く。魔王がよく出没する。「魔王左手執弓右手調箭」絵と合うシーンを見つけるのも楽しい。

長谷寺縁起絵巻 南北朝 川から木材が流れてゆくシーン。この絵巻は人気でほかにもいくつか見ているが、このスペクタクルシーンがいちばん面白い。

扇面法華経冊子断簡 平安 貴人の少女と少年がいる風景。

ほかにも多くのいい絵が多く出ていた。
伝・宗達の屏風もあり乾山の四点ものもあった。
よかったなあ。

やきものもいいのがいくつも並び、鏡もある。
絵から目を離せばやさしい工芸品。
楽しいなあ。

この一期目は5/8で終了。
現在は二期め。
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