美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

国宝 信貴山縁起絵巻展 その3 朝護孫子寺と毘沙門天王信仰の至宝

この展覧会では絵巻だけではなくタイトル通り、お寺に伝わる様々な像や仏具、そしてこの縁起絵巻と関わりのある資料などをも見せてくれる。
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1. 信貴山縁起絵巻の世界

金銅鉢がある。929年の鉢。命蓮のいた頃と同時代の鉢。…あいつかもしれんなぁ。
そう、空を飛び、倉まで動かすサイキック・ベース。
わたしは見てても気づかなかったが、「この鉢がぼこぼこなのは剣の護法童子と闘ったせい?」という面白いツイートがあり、するとやっぱり鉢と護法童子は自分が一番!だと主張を譲らなかったのかもしれない、と思うのだった。

剣鎧童子像 1幅 絹本著色 18世紀 奈良・朝護孫子寺 強そう。赤身に青の剣鎧。ちゃんと法輪もついている。顔つきは案外トボケた顔で可愛いわ。

毘沙門天王二十八使者図像 1巻 紙本墨画 安永7年(1778) 京都・仁和寺 「説法使者」というのもいてるのか。

別尊雑記 巻四十七(四天王)・巻五十四(多聞天) 2巻 紙本墨書 12世紀 京都・仁和寺 図像集。かっこいいな。

模本がいくつか。
住吉廣保筆 3巻 紙本著色 詞:享保8年(1723)絵:元禄14年(1701) 奈良・朝護孫子寺
冷泉為恭等筆 一括 紙本著色 19世紀 香川・金刀比羅宮
信貴山縁起絵巻復元模写 3巻 紙本著色 現代 2010年のもの。
丁寧な作りのものばかり。

2.縁起の成り立ち

様々な説話集にある命蓮上人の奇譚。
鎌倉初期までに成立している「古本説話集」という孤本にも話があるようだ。元は梅沢記念館で今は東博所蔵。
岩波文庫、講談社学術文庫から出ているようでその気になれば読めそうだ。

宇治拾遺物語では「明練」などという風に適当な当て字の名で「みょうれん」上人の奇跡の物語が綴られている。
大抵は飛び倉の話だが、「山槐記」には加持祈祷の話が出ているようだ。

そして信貴山縁起絵巻とは直接関係のないほかの縁起絵巻が紹介されている。

彦火々出見尊絵巻 巻六 福井・明通寺 豊玉姫の出産は竜宮ではなく夫の住まう陸地で。竜宮の人々が海から陸へやってきたところから出産までのシーンが開かれていた。竜馬とでも言うべき馬に乗ってきた人々、浜には貝殻。産屋には鵜の黒羽が葺かれかけているが完全ではない。(だから赤子にはウガヤフキアエズの名が付けられる)妻の出産をのぞく夫。出産の際の土器割りも行われている。座産。コサンというらしい。

粉河寺縁起絵巻  病平癒のお礼のために旅立つ姫君一行。馬に乗ろうとする姫に手助けする描写を見て、馬の乗り方を学ぶ。
やがてあの命の恩人の童子が観音の化身だと気づく一行。その驚きおののく描写がいい。
感動と畏怖のあまりその場で出家する一族郎党。
家来達も続々と剃髪する中、一人だけ我関せずの家来がいるのも面白い。
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辟邪絵 見慣れているはずなのだが、なにかしら新しい発見というのはあるものですなあ。
天刑星のおじさん、魔をスープにつけながら食っているようにしか見えない。
栴檀乾闥婆センダンケンダツバというおじさん、蚕というより毒グモのようなのとか、どっちが正邪かわからない連中がいる。
毘沙門天にも関係の深い絵、か。
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命蓮上人像  関わりのあるもの、キリスト教で言うとアトリビュートというのか、肖像の上には飛ぶ俵、下には護法童子。

3.毘沙門天王の霊山

タイトル通り毘沙門天の像がずらり。
歴史的にも大塔宮護良親王、松永久秀らが山に入っている。みんなやはり毘沙門天の力をご加護をと願うのだ。
そもそもが物部との戦いの時に厩戸王子が信貴山の化身から必勝の矢を授かったという説話があるのだ。

兜跋毘沙門天ががっしりしていてコートを着込んでいるようなその姿がカッコよかった。

そういえば信貴山の歴史年表を見ると、多くの人が土地を寄進しているが、中に916年、伊福部薬子が土地購入というのがあり、個人的にその名前にときめいたりした。

ところで物語の主人公たちの多くは申し子して生まれて来るが、鞍馬ブームの頃はやはり毘沙門天の申し子が生まれ、(小栗判官とか)清水の観音にすがればそちらも観音の加護を受けるのだが、実はこのわたし、厳密には申し子されて生まれてきたわけではないのですけど、わたしがまだ胎児の頃に親族みんなで信貴山に拝みに行ったそうだ。
それでみんなが毘沙門天に男男男…と祈る間に母だけが女女女と願ったそうで、生まれたらわたし。
だからわたしの本名は信貴山朝護孫子寺からつけられたのでした。

大日如来坐像 1軀 木造 平安時代 11世紀  おや、印はニンニンの手ではないね。

金銅五鈷鈴 銘松虫 1口 銅製 鋳造 鍍金 鎌倉時代
銅五鈷鈴 銘鈴虫 1口 銅製 鋳造 平安~鎌倉時代
時代はちょっとずれてるけど対の名前のもの。リーンリーンといい音色なのかな。

銅信貴形水瓶 1口 銅製 鋳造 南北朝時代  ああ、本家本元の瓶。

4.聖徳太子信仰の興隆

木像も図像も色々ある。太子信仰は大きい。

四天王立像 4軀 木造 彩色・漆箔 平安~鎌倉時代  一つだけ鎌倉。元のヌルデの彫刻の面影をみる。

絵伝もある。橘寺のがみれた。

太子軍絵巻 1巻 紙本著色 江戸時代 17世紀  おお、信貴山も太子に加勢しているので剣の護法童子を派遣している。
こういうのは初めて。

5.武家の尊崇

楠公もまたここの申し子だそうだ。
それで遺品がある。
菊水の旌旗 1帳 絹製 墨画 鎌倉時代 元弘元年(1331) ぼろぼろとほつれてはいるが菊水。

晴信時代の信玄の書状、松永久秀書状、秀頼が寄進した扁額もある。

やはりゆかねばならないね。
生まれる前に行って以来、一度も出向いていないわたし、なんとか近いうちに出向きたいと思っている。

展覧会は5/22まで。
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