美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

ピカソ、天才の秘密

あべのハルカス美術館で「ピカソ、天才の秘密」展をみた。
少しばかり展示替えもするようだが、それは主に彼の少年時代の作品だった。
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この展覧会は青の時代、バラ色の時代、キュビズムとその後、1894年から1925年までの作品が出ている。

1.少年時代 1894-1901
2001年に「世界の巨匠十代の作品 きらめく才能」展を大崎のO美術館で見た。
おかざき世界子ども美術博物館所蔵の作品が来ていたが、中でもピカソのスケッチなどは本当にうまかった。
今回も岡崎から数点来ている。

1881年生まれのピカソの13歳からの作品を見る。
インクで描いたもの、木炭、鉛筆でのスケッチもある。
軍人、騎士、石膏デッサン、裸体男性像などなど。
あまりに巧すぎて驚くしかない。

わたしがこれまで見てきた画家の内、子供時代からたいへん巧い絵を描くと感心したのはまず安井曾太郎だった。
植物を博物学のような正確な絵を描いていた。
そして手塚治虫。彼も昆虫図鑑をそのままにしたような正確なものを描いていた。
ピカソは博物学的な絵ではないが、やはり巧すぎる絵を描いている。

15歳の自画像がある。自分の特徴というより特性をよくとらえていた。
彼の顔で際立って印象的なのはその眼だった。
晩年に至ってもその眼の魅力は強いままだった。
ここに15歳の時の写真がある。やはり飛びぬけて眼が印象的である。
ちょっと南方熊楠にも似ている。
5歳のピカソの写真を見たことがある。雑誌「サライ」の創刊号(1989.9.21号)の表紙にその写真が使われていた。
妹と一緒にいる5歳のパブロ坊やの写真である。
わたしはその号を買ったのだが、面白そうな雑誌として目についたのではなく、5歳のパブロ・ピカソの写真に惹かれたのだった。

1900年、19歳のピカソは戯画風な絵や頽廃的な雰囲気の漂う絵を描いている。
宿屋の前のスペインの男女 川村記念美術館 
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パステルである種の毒々しさをも取り込む。
わたしはこの時代のピカソの絵も好きだが、この絵の仲間はキース・ヴァン・ドンゲンだと思った。
ドンゲンの艶めかしさがとても好きだが、ピカソはそこにはとどまらない。

1901年に描かれた絵も数点来ている。
一転してどこかせつなさ・悲哀のこもった絵が少なくない。
そう、「青の時代」のはじまりなのだった。 

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2.青の時代 1901-1904
貧しいもの、社会の底辺にいるものたちへの眼差しが優しい。
この時代は日本で言えば明治30年代で、日本でも悲惨小説などが書かれたりしていたので、こうした潮流が生まれ始めていたのかもしれない。

鼻眼鏡をかけたサバルテスの肖像 バルセロナ・ピカソ美術館  ちょっとした面白さのある絵。秘書にもなったピカソの親友。

果物籠を持つ裸婦  エジプトの壁画風な小品でオシャレな感じがする。こういうのも好きだ。座って果物籠を持つ。お店のマークなどにしたい。

青い肩掛けの女、スープ、貧しき食事などが並ぶ。
どれを見てもせつない。
海辺の人物 これも貧しさが全体を覆う。

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3.バラ色の時代 1905-1906
池田20世紀美術館所蔵の版画が大半を占めていた。
サーカス関連の人々を描いた作品がたくさんある。

湯あみ ドライポイント 男女の湯あみ。男にすり寄る猫がいい。

母の化粧 ドライポイント  子供を抱っこする男と、笑う女。ちょっと邪悪な笑顔である。

サロメ ドライポイント  ヘロデ王の前で完全なストリップダンスをするサロメ。
こちらもヨコシマなのは王よりサロメの方かもしれない。
いや、方向性が違うだけか。

ここからかわる。
道化役者と子供 グワッシュ 国立国際美術館  この絵は国際美術館でもショップに色々グッズがあった。どこか哀愁を感じる。

フェルナンドの横顔 水彩  赤毛で緑の目の美人。眉の辺りがキリリとしている。いいな。

パンを頭に載せた女 油彩 フィラデルフィア美術館  巨大なパン!唇がいい。
置き方は違うがダリを思い出した。本物のダリではなく映画「ダリ 天才日記」のダリ。
あの映画ではピカソに扮した俳優がすごくピカソぽかったのが面白かった。

4.キュビズムとその後 1907-1920s

グラスと果物 1908 茶色いガラスらしきものがある。色の濃淡でわずかな距離をつくる。
これだけ見ていると、書のようにも見えてきた。

マックス・ジャコブ「聖マレル」のための挿絵もある。エッチング すごくキュビキュビしていて、どんな文章についているのか想像もできなかった。

三人の裸婦 パステル 1920 なかた美術館  これは位置関係が面白い。寝そべる女・立つ女・座る女。そして寝そべる女を見る二人。寝そべる女は何か夢でも見ているらしい。それを見る二人の女がいい。1970年代のフランス映画のようだ。

泉 油彩 1921 泉屋博古館分館  新古典主義の頃の作。立派な腕の女。
チラシ表の「扇子を持つ女」1905 から16年、ヒトのことは言えないが、細い女から立派な体格の女になったなあ。
かっこいいぞ。

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7/3まで。この先の巡回は知らない。
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