美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **自宅でログイン出来ないので、現在「遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う」で感想を挙げています。

六月の東京ハイカイ録

梅雨に入る前に出かけたのですが、今回は定宿ではなく別な宿で。
前夜どまりではなく今回は早朝からの東京入りなのでその都合。
品川のロッカーに荷を預け、大井町経由で上野毛へ。
展覧会の詳しい感想はいずれも後日。

五島美術館へ向かう道すがら、日差しが強くなったので日傘を差したら何かおかしい。
・・・雨傘やな、これ。まぁ仕方ない。
近代日本画を愉しむ。
仏画に始まり歴史画、美人画・・・といいものを色々。
中でも大観の観音図が昭和のマダムみたいなえろさがあるのが面白かった。
大正5年、この頃は清方もちょっと妖艶なのを描き、契月も不思議な絵を描き、面白い時代でもあった。

二子玉川から静嘉堂へ行くのにわたしはいつも高島屋から乗るのだが、時間があるので駅のバス停へ初めて向かった。
座れるのはいいが、座らなくてもいいのなら、やはり高島屋の方がどうもストレスがないな。
コーチバス、暑い。すると隣席のオジサンが風向きを変えてくれたので助かった。

静嘉堂、修復後の初のお披露目の仏像仏画を中心にした展示。
その修理内容をパネル展示しているので、勉強になる。人の手でないと出来ない分野。
ここにある十二神将4体は元は浄瑠璃寺から流出し、今は東博と二分。所在がはっきりしてて助かるなあ。
彼らの表情豊かで楽しい。
14歳の少女の供養のために作られた絵巻を見る。全体は映像でみれる。
この暁斎の少女供養極彩色地獄極楽絵巻は所々にギャグあり喜びありで、地獄の犬猫は畜生道に堕ちたヒト。
あの世でも芝居や茶店があり、先に死んだ親戚にもあの世で再会し、最後は汽車で極楽へ。
これは遺族にも観客にも良かった。
仏画の截金がまた緻密でスゴい。江里さんのお仕事を思い出す。
あと、なんと曜変天目、油滴天目を外光でみるコーナーがあった。これは歓びも深い。

根津美術館へ。電車で一本で行けるのは助かる。
古鏡コレクションが寄贈され、そのお披露目。
青銅器全般が好きなのでここに入ってくれたのはとても嬉しい。
かなり凄い内容のものをみせてもらった。

お庭へ。先月気になった半跏思惟さんを探しに。
こちらね。

あれから一カ月。
さてどのように変わったことかと…


・・・この分だと秋には「染めたよ、赤に」ということかもね。

五島、静嘉堂、根津、と都内有数の庭園つき美術館を大いに楽しみましたわ。



太田へ。
広重の五十三次を中心にした展示。
色摺の綺麗なのを見る。とはいえなにも初版がベストではないかも、というご教示をうけ、なるほどと思いながら見て歩く。

新宿三丁目に出た。地下鉄だけで動いているよ。
中村屋で店のタイトルロゴを拵えた中村不折の展覧会。
根岸に書道博物館があるが、あちらはやはり書がメインなので「書」が本業、洋画と挿絵は副かと思っていたのだが、さにあらず。
不折本人はなんと洋画が本業、書と日本画はシュミみたいな感じだったのか!
正直なところ「不折てなかなかわたし好みの歴史や物語をテーマにした、いい絵を描くよな」程度の認識だったが、ちゃいましたかー。

ご近所の紀伊国屋へ。先に水山でおうどんを食べる。都内のうどん屋では一番好き。品川にもあるがあちらはフランチャイズらしい。品川の店は店員さんがたいへん感じよく、更に紀伊国屋店の宣伝もしてましたで。
さてさて四階で挿絵や口絵の展示を見る。
高荷義之さんのダンパイン、バルキリー、帝国軍のAT-AT部隊などの絵がカッコ良かったわ―。
「少年ケニヤ」もあったが、スケッチブックに描かれた素描の少年の美に震えたよ。
山川惣治の絵は美少女より美少年の方がいい。
他に小松崎さんの宇宙基地などもあった。

新宿西口~御徒町~上野。先に科学博物館で恐竜展をみる。
楽しいわ。やっぱり骨と化石だぜ。
女のお客さんも多くて、みんな目がキラキラぎらぎらしていた。

最後に東博のアフガンの黄金展再訪。
すばらしい黄金の細工。東西文化が入り込んできた地での発達した装飾。
それだけに現状が痛々しすぎる。
文明・文化を否定し破壊する存在は許してはいかん。

初日はここまで。

2日目、虫歯の日。つまり6月4日(金曜日)
(里中満智子の「6月4日月曜日」を知る人がだんだんへってきたかな)

畠山記念館から。
雁金屋兄弟の豪華な仕事ぶりを楽しむ。いいなー。凄くいい。

街中をさまよいながら庭園美術館へ向かうと、凄く混んでる。
メディチ家の至宝展、宝石の魔力に皆が引き寄せられたらしい。
コジモ一世以後のメディチ家のお宝と肖像画がメイン。
系図に肖像画のNO振りながら見て歩く。
フィレンツェへの愛が再び高まってくるよ。
かなり面白かった。豪奢でしたわ。
とはいえ・・・ミレニアムの年だから随分前だが、フィレンツェの街そのものを楽しんだ。
(ウフィツィ美術館などの名品は却って日本で堪能してる)
あのとき、イタリアの建造物にも彫刻にも人間の情念にもそして食欲にも圧倒された。
勝てない、到底繊細な日本文化は勝てない。そう思った。しかしその繊細さこそが和の美なのだが。・・・
今回久しぶりにその敗北感が蘇るメディチ家の至宝展。

いいものをちょっと見ましたわ。





汐留へ。
TLでかなり荒れてるけどどうなんかな~と軽い気持ちで行きました。


他に何を言えと・・・
アクリル板が邪魔とか色々あるが、何か言うこともなし。

次に出光の50周年記念。伴大納言Ⅱwith水墨画。
日本人の美意識の一方が見渡せるような展覧会でした。
個人的には叭叭鳥が可愛いし、鷺もカラスもいい。
伴大納言はいよいよ暴露が・・・
この展示の設営がホンマに面白い。スリリングですわ。
よろしいなあ。



キモチよかったのでそのまま日比谷公園へ向かって歩く。
いいものを見た後はちょっと歩くか止まるかしたい。
で、歩くのを選択して日比谷公園へ。緑がいいなあ。

図書文化館へ近づくとえらく人であふれてる。なんだと思ったらミスチルのライブか何かだった。
それをしり目にアメリカでのシンデレラのブームの一端をみる。
綺麗から可愛いへ。溌溂たる少女へ。欧州から来たシンデレラが次第にアメリカの娘になるのがよくわかる。
1950年のディズニーの絵本も出ていた。なつかしい・・・
あとシンデレラと猫が仲良しという絵もよく見た。ディズニーだけはそうではないのだが。

霞が関から乃木坂へ。
ちょっと一休みしておやつ食べてから21-21DESIGNSIGHTへGO!
「雑貨」展。


このN1は就職するとき、「OLにはなりたくない」と言ったのだが、その理由が凄い。
「だってお昼休みにバレーするんやろ、わたしはバレーとかしたくない」
・・・いつの時代で意識が止まってるねん----っっっ







こういうのを見るのは楽しいわ。

そしてサントリーへ。
広重ビビッド展。巧いタイトルやなー。後期です。
60余州JAPANディスカバリー。
原コレクションの色の綺麗なものを拝見。すごいなー。
この展示のいいのは更にそこへ現在の様子をパネル展示することかな。
ないところのはないけれど。
たいへん面白かった。

楽しみ過ぎて時間を喰ってたので、ちょっと簡素なものを食べたが、これはいかん。
反省しよう。

最後にブンカムラへ。乃木坂から近いよ。
くにくに展。ラスト一日前。次は神戸。これがもう大繁盛。
たいへん楽しく見て回ったわ。
やっぱり浮世絵は幕末がベストだぜ。

宿に帰り、夜中の一時前から三時過ぎまで蜷川幸雄追悼『元禄港歌』放映をみる。
非常に良かった。98年に見たときのことが蘇る。本当によかった。

2日目ここまで。

最終日。
さすがに三時過ぎに寝たので疲れた。出立を遅めにしていてよかった。
東京駅のお気に入りロッカーでちょっとトラブる。親切な人々のおかげで助かる。
とはいうものの、取り出すときにもトラブるから、現金払いの時はレシートに出る上の番号を打ち込まなくてはいけませんよ。

丸ノ内線で後楽園、そこから東大前へ。
弥生美術館で谷崎の描いた小説に現れる(ような)着物を見る。
これが非常にナマナマしい良さがあった。
女を装わせるのが好きな男だけにしつこく表現している。
食もそうだが、谷崎はやはりアブラギッシュで強靭。
一方で大いに笑わせてくれるのだが。

発見する。



華宵のどうぶつ、夢二のかわいい。
どちらもいい展示。
華宵、鳥では今はあまり見ない九官鳥が多く、童謡にもよく歌われたウサギもたくさん。却って猫が少ない。
華宵は犬好きなので犬の善いところをいい感じに描いている。あとは少年冒険小説が多い時代らしく、馬もカッコよく描く。
夢二、わたしはやはり童画や抒情画、封筒や半襟の意匠にときめく。愁いがちな美人画より清純な作品の方が好き。
大正から昭和初期の幼女から少女たちが髪を短くして遠くを見る、そんな絵に惹かれます。

途中に見かけたアジサイもとても綺麗だった。

お昼を根津駅近くで食べる。うーん、次行くなら魚やなくて海鮮ものか肉にしよう。
味噌煮とみそ汁を一緒に出されてもなあ。それぞれは美味しかったが、やはりそうなるとすまし汁とかにした方がいい。

千駄木の鴎外記念館。
彼の妹、妻、二人の娘ら四人の「文芸」を特集していて、非常に面白かった。茉莉や杏奴の仕事は他でも紹介されてきたが、妹の小金井喜美子、森志げの書いたものは読むことさえ出来なかった。
明治末の女性のナマナマしい生理や感情が展示から読み取れるこの展覧会は、重要な価値があると思う。
乃木静子といい森志げといい、ナマナマしさがその後の時代を思わせる。

郵政博物館。多くの日本画家に原画を託した扇の展示、見ごたえあった。画家の個性がものすごくはっきりと出ていて、それがずらーっと並ぶから、なにやら壮観な眺めになっていた。実用の扇子はやはり淡彩で余白の多いのが涼しげでよいなと品定めしてもたが、面白い展示でしたわ。

押上から三越前へ。
三井記念美術館、魯山人の後期。前期も良かったが、後期もいいのがたくさんあり。
この皿に椀にどんな美味しいもんが載るねやろ、これにはあれがええ、それにはこれか、などと妄想が止まらない。
また器自体の装飾がやたら美味しそうなのもあり、わくわくして困った。ああ、罪ななあ。

丸ノ内へ。東京ステーションギャラリー。川端康成のcollectionを見る。久しぶり。
以前から好きなのに再会出来たのは嬉しかった。古賀春江の孔雀はわたしと縁が薄く20年ぶりやし、大雅、蕪村の十便十宜図も全部みることはちょっとむりやが、可愛い埴輪も見たからまあよいか。
浅草のビラコレクション、あれは面白かったなあ。熊娘。
しかし川端はほんまに変態やな。サゲスンデ言うわけやないよ、<事実>として改めて感心した。

実はわたしは子供の頃、親から谷崎、川端、三島、乱歩は読んではならぬとお達しが出てたのだが、それを言われる前にすでに乱歩、谷崎は読みだしてたのでした。
とはいえ、三島の文章はその形容がちょっと鼻につき、川端はあの眼が・・・で読むことは避けて来たから、親の言うことは半分破り半分は守ったことになるな。
今日は最初に谷崎、最後に川端と、日本近代文学を代表する二人の危ない文豪のなんやかんやを堪能しました。
谷崎より川端の方がイヤラシイのもヒシヒシと伝わってきたわ。谷崎はまだ滑稽味があるからかなあ。
途中に魯山人が入ったことで、享楽性がいよいよ高まったかもしれない。
尤も魯山人はあの二人のようなアブナサはあまり見受けられないか。

大丸で海鮮弁当など購入してから新幹線へ。
今回は一件だけ諦めたが、あとはミッションクリヤー。

楽しい三日間でした。
関連記事
スポンサーサイト
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア