美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **自宅でログイン出来ないので、現在「遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う」で感想を挙げています。

美をあふぐ 華麗なる巨匠たちの扇の世界

郵政博物館の企画展が最近とてもアグレッシブだと思う。
以前のていぱーくの時は「知る人ぞ知る」的な感じがしたし、来る人は来たらよいですよ的な雰囲気だったのが、今はハッキリといいのをするから見においで!と呼んでくる。それでポスターやチラシを見るとこれがもう、そそるそそる。
はずせないミュージアムになったと思う。
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前回は芭蕉の俳句にあわせた日本画の切手の原画。
今回は贈呈用の日本画の扇の原画。

「美をあふぐ 華麗なる巨匠たちの扇の世界」展
あふぐはaoguと発音する。扇ぐという漢字になる。
扇はそれ自体で本体の意味と行動を示す。

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1918年から2000年までの原画と扇子が並ぶ。1965年から1990年まで制作が中断されていたそうだ。
長い年月である。しかし制作は再開された。
原画が既に失われたものもある。また男物・女物と作家により担当分けもしている。

映丘 長柄の銚子を持つ女官 1918 原画はもうなく女物の扇のみ残る。映丘らしい大和絵風の優美な絵。
この年には素明も描いたそうだが現物も原画も失われている。資料もなく、彼の名だけが残る。

一年に二種拵えるのだがやはり失われたものは多い。
1923年までの原画は全てなくなっている。

龍子 逆富士 1921 W型ですな、富士山。こんな小さなものでも龍子は大きなものを描く。

清方 牡丹 1921 わたしもほしい・・・

関雪、松園、不折、秀畝らの扇が並ぶ。毎年いただいた人は嬉しかったろうなあ。

栖鳳は1926年に金魚、あやめの扇を描いた。やはり原画はいい。男物、女物それぞれを担当。

今ではその作品を見ることもなかなかない長野草風、小村翠雲の絵もある。

蓬春 うつぎ 1934 花のみシンプルに描く。可愛らしい。

古径 まんま 1935 縦長の草花「赤のまんま」である。緑の葉っぱが盛ん。
これを見ると鏡花の辞世の句「露草や 赤のまんまも なつかしき」をおもいだすのだ。

渓仙 あじさい 1936 きれいでいいな。

戦時中も扇作りは続いた。
多くの画家たちがいい絵を生み出している。
南風のツバメ、小虎のばら、華楊のせきれい・・・
洋画の木村荘八も椿を描く。三岸節子は花を。
休止前には朝倉摂も描いていた。

やがて再開した1991年には遊亀の桔梗の扇が世に出た。
92年には90歳の松篁さんの矢車草がある。
その後も平山郁夫、魁夷、佐藤太清、高山辰雄、奥田元宋ら大家の絵が続いた。

扇は基本的に涼しさを呼び込むものである。
あまり描き込みすぎたり濃い色を使いすぎては暑苦しい。
余白の美を楽しませてくれるようなものがよいと思う。

最後に加山又造の桔梗と撫子を描いた「初秋」の扇を見る。深くは描き込まず色も塗り覆うわけではない。
構図もいい。
こうしたときに又造さんが祇園祭で毎年団扇絵を描き続けていたことを思い出すのだ。

ほかにも小画帖などがあり、洋画家の長原孝太郎の松竹梅に宝珠、草風の黄櫨と四十雀が紹介されていた。

あとはかんぽの昔のポスターや証書なども展示されていて、珍しいものを見せてもらったように思う。

6/26まで。
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