美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

児島善三郎と独立美術協会

福岡県立美術館に行ったのはここだけでしか開催しない印象派展を見るためだったが、コレクション展があまりによくて、そちらに夢中になってしまった。
題して「児島善三郎と独立美術協会」展である。
わたしの大好きな内容だった。

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児島の回顧展はだいぶ前に府中市美術館で開催された。当時の感想はこちら
非常によい内容で、特に留学から帰国後の風景画の伸びやかさとその彩色の佳さに強い好印象をうけた。
今回の展示もそのときを彷彿とさせてくれる。

初期作品のうち身近な人をモデルにした絵がいい。
姉や妻が美しく、さらにその人のうちにある感情までも表出させている。

やがて留学すると白人女性の絵が現れるが、彼女らはいずれも丸顔で表現される。
1920年代、日本では丸顔が流行っていた。世界もそれにあわせたのか、それとも単に児島が丸顔の白人女性が好きなのかはわからない。

孔雀の扇を持つ裸婦、ロシヤの女、くしけずる女、みんな丸顔で、いかにも児島の絵の女なのである。

南仏で描いた「赤い屋根」はメキシコ時代のフジタのようでもある。後年の明るい色彩とは違う、抑えたというより抑圧されたような色だった。

運河 濃い緑がいい。水面に映る建物もはっきりする。

児島は「日本的油絵」とは何かと考え、探求に勤しんだ。
少し年長の小出楢重もまた日本的油絵について深く考え、試行錯誤した。
やがて児島は明るい彩色で日本的な風土を再構築した。

松の描き分けがなされた絵が並ぶ・
松が枝、代々木の原、初台風景などである。
それぞれ全てに松が描かれ、その松がみんな違う形を見せている。表現方法を変えて、そこに松を現出させていた。
とても面白い試みだった。
どれがいいかはその時の状況によると思う。

そして独立美術協会に出た絵はみんなとても明るい。

箱根 山がどーーーんと大きく描かれ、明るくきれいな色で構成されている。山だけでなく周囲全体がきれいな色なのだ。見ているだけで胸がすくような気がする。

蓮花 かれは生涯に知られている限り二点しか蓮を描かなかったそうだ。その一。かなり大きく描かれた蓮。デフォルメされた形の蓮が存在感を示す。

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虞美人草 明るい緑を背景色に赤や白の花が機嫌よく開く。

戦後になると児島はますます明るいいい絵を生み出す。
ここでは花の絵がずらりと並ぶ。
児島の花は世評も高かった。
それは同時代の作家・今東光の小説の中でも語られている。

アネモネ、小菊、早春(梅)、赤絵の壷にバラ・・・
静物画もくっきりした輪郭でリンゴ、ブドウ、ナシ、ポットが描かれる。溌剌とした精神性を感じる静物画である。

決して静かな世界ではないが、希望が満ちてくる明るさのある絵が並ぶのは素晴らしい。

絶筆の一つ「花」もよかった。赤絵の瓶にいけられた花だが、瓶はまだキチンとは描かれていない。しかし赤絵だろうと予想は出来る。

ほかの絵でも赤絵の瓶の良さが目立つ。
ファンキーな獅子や小さな花などの描かれた赤絵。

とても素晴らしいコレクションにときめいた。

そして独立美術協会の作家たちの絵が並ぶ。
中でもやはり林武はいい。

藤崎真 子供と猫 黒猫をだっこする。それだけでもとてもいい。

1992年の60回に出た絵などはもう昔の独立らしくはないがそれはそれでいい。

次には「日本の印象派」として黒田清輝、岡田三郎助、坂本繁二郎、藤島武二、和田英作らの絵が並ぶ。
いずれも構図よりなにより色彩がとても綺麗に見えた。
薄紫、バラ色、草色…
柳瀬正夢の点描風景まであり、見どころの多い内容だった。

9/1まで。

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