美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

2016年 大阪市立美術館のコレクション展を愉しむ 1

大阪市立美術館のコレクション展を大いに愉しんだ。
あまりに楽しすぎて耽溺しすぎて、とうとう後の予定が全て壊れてしまった。
たまに熱中するとこんなことにもなる。
しかし後悔することはない。
いい展示を見て溺れるのは決して悪くはないことだ。

さて何を見たかと言うとこの5つの展示である。
・肥前磁器の展開
・異郷の空
・源平物語絵
・中国四大美人!?<明妃出塞図>を読み解く
・仏教美術 聖徳太子をめぐる美術
いずれも深く深くに溺れてしまった。
陶然となると当然ながら感想も長引く。二つに分ける。

初見もあれば嬉しい再会もあり、以前に感想を挙げたものもあればその当時はスルーしていたものもある。
非常に主体的な眼でしかものを見ないので、感想が重なることも仕方がない。
そこがシロートの傲慢な愉しみ方かもしれない。

今回の展覧会で見たもののうち過去にここで感想を挙げているもの
2009.12のコレクション展でみたもの・・・明妃と狻猊双鸞唐草文八稜鏡と常盤と九成宮。

2011.8「色鍋島・藍鍋島」展

常盤と鏡は2015.1にも見ている。

それ以前も見ているが、当時はネットにデビューしていない。
さて、好きなことを書こう。

・肥前磁器の展開
リストはこちらpdfです。

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初期伊万里様式の有田焼から始まる。
染付吹墨 雲兎文皿  これなどは今もあちこちで目にする人気のもので、雲の下の跳ねる兎が可愛い。

染付 葡萄文皿  手描きの葡萄がなにやらイラストを転写したような巧さがある。

染付 花卉文皿  円の端の一部にだけ花がある。こういう配置というのは意外と現代風に思える。

白磁線刻 蕪文皿  素朴な可愛さがいい。

古九谷様式の有田焼も並ぶ。

色絵 楼閣山水図皿  いかにも古九谷風な色合いが映える。

色絵 唐花唐草文皿   これもいいなあ。縁は白で見込みは赤に白抜き。

柿右衛門様式もいい。
色絵 草花文八角猪口  乳白色の肌の上につつましく花が咲き、八面ずつ違う様相を見せる。

色絵 双鶴文皿  朱の鶴、青の鶴、向かい合って飛ぶ。
イメージ (48)

こんなのもある。
青磁染付 流水兎図輪花皿  リアルな筋肉質の兎が二羽飛び交う。とはいえ、なんとなくきゃりーぱみゅぱみゅ「にんじゃりばんばん」のPVを思い出した。あんな感じの動きをしそう。

他に金襴手の華やかなものも多数。獅子と鳳凰が妙なコンビプレーを見せてもいる。
おかしいのはこれ。
色絵 唐花文変形皿 有田焼 松ヶ谷手  どう見ても楕円型の池の縁に三匹のカエルが上半身を水から出しているように・・・もっと言うと、お風呂に入る三匹のカエルが♪ババンババンバンバンはぁービバノンノンしている。

そしていよいよ鍋島の登場。
初期、盛期、後期の名品がずらりと並び、将に壮観。
初期で特にいいのが二つ。
色絵 芥子図木瓜形皿  これは初見だと思う。木瓜形は縦長で、その中に首をかしげた白芥子が咲いている。金継ぎが何本か走るのがまるで草のようだった。

青磁染付 大根図皿  葉っぱが青磁で地は染付。イキイキとおいしそうな大根に見える。

後期は絵画的な図像になる。
染付 老松図皿
染付 飛龍波涛図皿 どちらもとても力強い。

盛期がやはり好きなものが非常に多い。
色絵 蒲公英図皿  花自体は紅い。葉っぱの傷み具合がとてもうまく表現されている。

染付 椿樹図縁皿  これは好きな絵柄で色絵のものが最愛だが、青だけの染付もいい。
愛らしさについついこちらもニンマリしてしまう。

青磁色絵 山帰莱図縁皿  この絵柄の皿はこれしか知らない。しかも青磁色絵で。類品を見たことがない。植物の蔓とふくらんだ実とが可愛い。
大昔のディズニーの絵本「シンデレラ」の南瓜のようなのだった。

青磁染付 青海波椿繋文皿  これも本当に可愛くて、わたしも椿の仲間に入れてほしいと思ったりするくらいだ。いいなあ。

最後に面白いものを見た。後期鍋島で不思議な絵柄のもの。
染付 雲居楓橘懸橋図皿  左に橘、右に楓の木があり、その間に橋が架けられている。
カササギがいずとも、楓と橘の恋は成就しそうでした。

・異郷の空
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こちらは海外に出かけた洋画家たちの作品。
主に滞欧作。行ったきりになる洋画家もいる反面、行ってもさっさと帰る人もあれば、別件で渡欧し、そこで画家になる修業を始めた人もいる。様々な道。
そうそう、絵の修業地の大半はフランスだけど、イタリー、スペインに行く人もあり、アメリカに行ってその地にの人になる画家も少なくはない。

カンヌ風景 梅原龍三郎 1962  もう老大家と言われる年頃の作だが、やはり大きな力を感じる。色はぼやけているところもあるが、夕日か朝日かが光を放ち、町と林がしっかりしているところはさすが。

オンフルール港 児玉幸雄  やや厚塗りで港の様子と町を描く。田村孝之介の弟子にしては厚塗りですなあ。

ロンバール通り 荻須高徳  ちょっと下から見上げた町の一隅。俯瞰して眺める建物。

知らない画家の作品が二枚並ぶ。どちらも赤茶色に覆われている。1956年。
桜井悦というヒトで、お気の毒にこれらの絵を描いた直後に若くして病気のせいで筆を断ったそうだ。
巴里風景(バステイユ)、旗のある風景(セーヌ河畔)
どちらものびやかな風景だった。

風景 岡鹿之助 1951  シックな配色である。道の先が開き、そこに一軒の時計と鐘楼を持つ建物が建つ。辺りには少しの木々がある。青緑の空と薄い雲と。平面的な美しさが静謐さとなる。綺麗な色で構築された世界。印象的な一枚。

ブルターニュの風景 森田恒友 1915  チラシ。セザンヌ風な背景処理。働く女と羊たち。

白衣の少女 岡田三郎助 1901  白のヴェールをかぶり手袋も白い。そしてその膝には聖書がある。これは堅信礼を受ける日の正装ではないだろうか。

壺を持つ女 百武兼行 1881  顔だち、服装は百武の他の絵の女たちとよく似ているので、もしかするとモデルも同じ人なのかもしれない。ただ、この女はもしかするとジプシーかもしれない。眉間にぽっちりがつき、耳にピアスがある。

ポンペイ壁画自由模写 梅原 1912  まだ24歳の梅原。ポンペイの壁画を模写したのはとてもいいことだと思う。梅原の豊饒さはローマ時代のそれを思わせるから。
ここではどの壁画を模写したのかわたしにはわからない。
岩に立つ女と、ヘルメスを思わせるような羽根つきのサンダルの男がその女の腕を上げている。彼の手はそうしてこの女に触れながら、もう片方の手には殺した女の生首が提げられている。メデュウサかもしれないが、蛇はどこにも見えない。

第一回ヒュウザン会油絵展覧会ポスター 清宮彬 1912  このポスターは新規購入らしい。木版画。フジタのような前髪をした、南の島の裸の男がブドウ、リンゴなどを載せたフルーツ皿を持つ。
皿と言うより、これの正式名は知らない、日本でいえば高坏みたいなものよ。
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・源平物語絵
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源平合戦図がメインではないが、両家の関わりを示す作品が集められていた。

一ノ谷合戦図屏風 伝 土佐光元 2曲1隻 室町時代  動きが激しい。刀を抜いて走る・馬の首をめぐらす・攻防の激しさが絵になっていた。

平家物語図押絵貼屏風 6曲1双 江戸時代17世紀  12シーンそれぞれに物語がある。絵自体も丁寧でいい。
・館の屋根の上で天狗たちが騒ぐ・黄瀬川の兄弟の出会い・富士川の戦い(水鳥の飛び立ち)・敦盛と熊谷・与一、そして最後は大原御幸。こういうのを絵解きするのも面白そうだ。

鞍馬僧正谷  鈴木松年(1848-1918) 6曲1双 1891  力強い。この絵師は赤穂で回顧展があったのを見た。
こちら
歴史稗史から選んだ情景を力強く描くのが多い。
大天狗、烏天狗たちから鍛えられる遮那王義経。熱心に虎の巻を見て勉強中。
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二重瞼の凛々しい少年。明治から戦前までの少年雑誌に現れるタイプの顔だち。

義経牟礼高松  小室翠雲(1874-1945) 1幅  1902  高松、波打ち際、義経が名馬・太夫黒に乗っている。この馬を奉納することになるのだが。・・・ただのおっちゃんである。

少壮義家 菊池契月(1879-1955) 戦前  素敵な白い顔。乗るのも白馬。穏やかな源義家。美男。やはり契月はいい。

伏見常盤絵巻 室町
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久しぶり。今回は幸せな頃の一家団欒図から始まる。清水詣で。橋を渡る母子、犬の散歩の人と行きあい。雪中をさまよう。
元は絵本だったのを絵巻にされたそうだ。

源平合戦の故地を紹介する名所図会などが並ぶ。

住吉名勝図絵・4 1794  判官松というのがあったのだな。何かと言えばそこで義経らが一休みしたとかなんとか。

摂津名所図会・7 1796  布引の滝で清盛一行が例の雷に遭うシーン。
・9  三草山、義経軍が民家を焼いて通り過ぎる…

伊勢参宮名所図会・1 1797  清盛楠。本当は息子の重盛ゆかりの楠。東向きの楠の西を遮る枝を切ったという話らしいが、いつしか清盛楠と呼ばれるようになったとか。
これはあれか、ヤクルトのキャラ・つば九郎がツバメなのに「キチペン」=鬼畜ペンギンと呼ばれるのと同じか。←ちがう。
・4  粟津合戦図。今井四郎兼平の最期の図。田で馬の足がとられた為に。

ここまでみんな寛政年間の本。寛政年間といえばわたしの中では「鼻紙写楽」だな。
まだ若い写楽が試行錯誤しているところ。

播磨名所巡覧図絵・1 1804(文化元年) わたしが先日訪ねた兵庫津の話。「築島」。松王少年が多くの人柱の代わりに自分が馬に乗りざふざぶと海へ入る図。
本当は清盛は人柱をさせぬためにお札を沈めたというが、得てして大悪人風に仕立て上げられる。

続く。
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