美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

黄金のアフガニスタン 守り抜かれたシルクロードの秘宝

既に終了したが「黄金のアフガニスタン」展に二度行った。
二度も行って何も書けなかった。
これはやはり純粋に、見たものの美を讃えることが出来ない、という状況があったからだろう。
政治(戦争)によりその国の文化が失わされたりするような事態の中で、必死で守られてきた宝物。
ある意味、わたしのように政治的状況をあえて無視して美を讃える者には、なにも言う資格はない。
しかしそれでも言葉をかたちにしたい。いや、しなくてはならない。
どのような状況下であろうとも美は美であり、守られねばならぬからだ。

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このチラシを見るだけでも黄金に目が眩む。
黄金の牡羊。イメージ (30)物言いたげな眼をしている。

表慶館の美しい建物に展示された美しく尊い黄金の装身具と崇められた神々の像の破片。
ギリシャの神々だけでなく、ヒンズーの神、そしてブッダの彫刻もその国にはあったのだ。

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文化を壊すことはその国の存在価値を失わせ、民族を滅ぼすことでもある。
凄まじい迫害の中で、アフガニスタン国立博物館の職員たちは宝物を守り通したのだ。
21世紀の復活。
「自らの文化が生き続ける限り、その国は生きながらえる」
現在再建された国立博物館に掲げられている標語。
とても重いものだ。
そしてこの言葉はアフガニスタンだけのものではない。
平和であるはずの日本もまたこの言葉を強く刻み付けねばならない。

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5章に分かれて宝物が展示されている。
第1章 テペ・フロール
第2章 アイ・ハヌム
第3章 ティリヤ・テペ
第4章 ベグラム
第5章 アフガニスタン流出文化財
最後を除きすべてアフガニスタンの都市名である。
リストにはそこに副題が付き、それを見るだけでその都市の概要がわかる。

・テペ・フロール  メソポタミア文明とインダス文明をつなぐ謎の遺跡 
四千年前の文明の名残がそこにある。杯の断片などが展示されていた。ヒトは文化を持った時、酒を飲むようになったとしか思えない。
 
・アイ・ハヌム  アレクサンドロス大王の東征によって生まれたギリシャ都市
コリント式柱頭の部分が展示されている。石灰岩で出来たもの。石文化の美。パルメット文様を施したテラコッタ。
木象嵌、モザイクの美。古代ギリシャの美がここにある。

・ティリヤ・テペ  遊牧民の王族が眠る黄金の丘
ここに集まる装身具の愛らしさ・美しさには本当に心が弾み目が眩んだ。
花形のブローチにはトルコ石や真珠母貝が使われ、様々な小さな飾り板には全て細密の文様が刻み込まれてもいる。
表現された神々はギリシャの神々。ありとあらゆる装飾が集まっていた。

・ベグラム シルクロードの秘宝が集まったクシャーン朝の都
南アジアの大海を泳ぐ神話の魚・マカラ、その上に立つ女性の像。
崩れかけてはいるが、とても艶めかしいプロポーションをしている。これらは象牙で出来ている。
後宮女性の装飾板、門下に立つ女性の装飾板、こちらもすべて象牙。
凄まじく緻密な作業により生み出された文様の美。

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そして最後に日本で保護・管理されている「アフガニスタン流出文化財」が居並ぶ。
巨大なゼウス像の足先の断片。ブッダの様相を描いた土壁画。バーミヤンから助け出された仏たち。

他者の文化・文明を壊そうとするものたちをわたしは強く憎む。
これらは本当に良く生きながらえてくれたものだと感心するばかりだ。
だが、政情不安な状況ではいつまたどうなるか知れたものではない。
ああ、早く安寧の場を得てほしい…

いい展覧会だった。
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