美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **自宅でログイン出来ないので、現在「遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う」で感想を挙げています。

神々の姿 神と仏が織りなす美

香雪美術館の「神々の姿 神と仏が織りなす美」展の後期展示に行った。
前期も行きたかったがぼっとしている間に済んでしまい、シモタと思うばかりである。
イメージ (5)

チラシの美少年は聖徳太子の16歳図、いわゆる「太子孝養像」である。目が怒っているようにも見えるタイプの原像らしい。
これが前期に出ていたのだ。
実にもったいないことをしてしまった。反省。

ところで今回の展覧会は用意周到というか、見る前から色々とお世話を焼いてくれている。
展示作品リストの表紙に「神仏習合」と「本地垂迹/本地仏」の説明を書いてくれているのだ。
こうした下準備のおかげでわたしたちは展示された世界に入り込みやすくなる。

・神々の姿
二種の十二天像がある。尤も全部が並ぶのではない。
室町時代のが日天・月天・焔摩天の三天。
鎌倉時代ので奈良博所蔵のは日天・焔摩天の二天。
それぞれの天のポーズは定型に従っている。
細部は違うがほぼ同じ。いずれも綺麗、いや、美麗。

毘沙門天三尊像 見たことがあるなと思った。ボストン美術館に所蔵されているのとよく似ていた。
この絵には6つの顔がある。それぞれの表情がとてもいい。毘沙門天、吉祥天、童子、そして毘沙門天のベルトのバックルにもなる獣、踏まれる二人の邪鬼。みんなイキイキしている。吉祥天のとりすましたところがまたいいのだ。

イメージ (7)

愛染曼荼羅 鎌倉時代  SF的な表現。上部に七星が並ぶ。そして付属なのか小さな星もある。赤丹のようなものも。下方では十二天や羅刹らがいる。
構図がかっこいい。

元はどこのどのような神様かわからないが、平安から鎌倉までに作られた神像が並ぶ。
遠い時代に信仰された神々の姿。縁がつながって、今ではこの香雪美術館で同座している。
信仰の対象から鑑賞の対象になったことで、神様同士のケンカもなくなったようだ。
そんなことを思いながらも、やはり目礼しながらそっとながめる。
男神6、女神4。二人の男神に憤怒相が浮かぶ。白の残る女神像も。

・神と仏の習合
銅製経筒 1108  平安の末期思想を想う。中に入っていた紙に緑青の青が沁みている。

十王図 南北朝―室町時代  色が滲んでいるので情景が見えにくい。とはいえ、亡者は責められているのに変わらないか。

三十三観音図 探幽  33幅の内6。上部に大体白衣観音がいて、その下に化身の姿。
中には武将らしき姿もある。

・神々にまつわる美術
春日鹿曼荼羅 室町時代  白鹿。藤の花がよく茂る。遠くから訪れただけに花も満開になったのかもしれない。

地蔵菩薩立像 鎌倉時代  雲の上に立つ像として造形。何の木だろう。

明恵上人の「夢記」がある。1203年か1204年の正月七日から三十日まで。
仏のメッセージ、か・・・
毎日夢日記を描くうちに観たものが現実になって、怯えるようなことはなかったのだろうか。

春日権現絵巻(春日本)17巻 1807年  ある家の女に春日明神が降りてこられて、まさかの天井かけあがり。そこに鼠がいるのも面白い。宙に浮かぶ女から明恵上人はインドツアーの中止を勧告される。女は立膝。朝鮮のチマチョゴリでなら立膝は構わないが、和服での立膝はいつからいつまで見栄えのわるいものではなかったのだろう。
神が降りてきた女に皆が従う。そして天竺渡海を諦めた替りに、遠い国から舎利が届くのだった。

八幡縁起絵巻 江戸時代  上は住吉明神のせいのう舞。磯童を海底より召す。竜宮から2つの珠が齎される。
下は石躰権現金鷹出現箱崎八幡云々とある。

束帯天神像、住吉社頭図蒔絵硯箱など一目でわかるもののほか、藤原家隆の熊野懐紙などもある。

イメージ (6)

・先師を称える
ここでは主に聖徳太子信仰がある。
2歳の愛らしくも賢い像、立派な摂政像などがあるが、チラシにも出ている16歳の孝養像が前期展示で見損ねたのが無念。
室町時代の絵巻の断簡も出ていて、4歳の頃のわざわざ父に折檻を願う図などが開かれていた。聖人というのはたいへんなのだ。
崇峻天皇の前で弓を番えているのは21歳なのか。わたしの中では「日出処の天子」ビジュアルしかないからな。

命連上人像 江戸時代  おお、信貴山縁起絵巻の。ここでは左下に「剣鎧童子」がいる。水瓶や蓮や龍の姿もある。
奇蹟・奇瑞を起こす上人という認識は江戸時代にも活きていたのだ。


興味深い内容だった。
7/24まで。
そしてその7/24は天神祭の始まりである。
「天神」として祀られた菅原道真公の生誕日なのだった。


関連記事
スポンサーサイト
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア