美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

「アールヌーヴォーの装飾磁器」展をみる

三井記念美術館「アールヌーヴォーの装飾磁器」もまた素晴らしい。
フランスのアールヌーヴォー様式ということだけではなく、欧州各国の窯から生まれた同時代の美麗なやきものを集めている。
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上絵藤文花瓶 セーヴル 1905 ロムドシン これは1280度で焼かれたもの。色の多彩化が可能になったのだ。黄色い藤、ミント色の地、とても綺麗。

釉下彩の美にも惹かれた。ぬめるような美しさがある。
釉下彩眠り猫 ロイヤル・コペンハーゲン 1898-1922 塩川コレクション
釉下彩眠り猫 錦光山宗兵衛 20 世紀初頭 塩川コレクション
前者のにゃんこを手本にして日本でも猫が拵えられた。
どちらもとても愛らしい。



上絵金彩エジプト女性センターピース KPM ベルリン 1902 岐阜県現代陶芸美術館  2美人の物憂いような美。

面白いのはこちら。
釉裏青茶氷窟ニ白熊花瓶 宮川香山(初代) c.1910 個人蔵 (山本博士氏) 釉だまりとツララとがなるほど氷の国にしている。ツララまでよく拵えた。しかも氷窟にいる白熊親子の可愛いこと。
後から回ってみてもちゃんと足がある。

釉下彩鷺センターピース ビング & グレンダール 1902-14 塩川コレクション  このビング & グレンダールは鷺が好きなのかも他を見ても鷺がいる。
お皿を支える鷺たち。

茶室の横に展示ケースがある。
アール・ヌーヴォーの諸相として、ガレとドームのガラス製品、更にミュシャの「ジスモンダ」とロートレック「ディヴァン・ジャポネ」ポスターがある。

茶室は様相を変えて、セーブルの「パツィオパット秋明菊文飾壺 」がある。
なかなか大きな壺で薄黄地で花が咲いている。

第 1 章 フランス名窯の復活 ~フランス セーヴル~
おちついたミルク色の表面に愛らしい柄が載るものが多い。
花が愛の対象、幸せの象徴として描かれる。
手の込んだ美しいものがたくさんあり、優美。

ビスキュイ象 セーヴル 1932  これは原型を日本の沼田一雅が行っている。ゾウのリアル筋肉がかっこいい。
沼田はセーブル窯で働いた最初の日本人。
 
第 2 章 釉下彩の先駆者 ~北欧 ロイヤル・コペンハーゲン、ビング&グレンダール、ロールストランド、ポルシュグルン~

釉下彩風景図皿 ロイヤル・コペンハーゲン 1890.10 塩川コレクション  何やら大きな塊と小さな塊がいて、それを背後から見る感じ。この様子はユーリ・ノルシュテインのアニメーションの様だと思った。

釉下彩は描きやすいのが特徴だそうで、それでかとても絵画的。

釉下彩人面付花瓶 ロイヤル・コペンハーゲン 1893.9 塩川コレクション  絵付けはスペン・ハンマースホイ。ヴィルヘルムの弟。
日本の翻訳劇の背景、書割のようにも見えた。

絵柄のいいのだけではない。形をリアルに追求したものが凄かった。
ロイヤル・コペンハーゲン、すごいな。
釉下彩タラ 1890.2 塩川コレクション
釉下彩カサゴ
釉下彩ゲンゲ
あああ、なんだかすごいリアル・・・

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ロールストランドの釉下彩蒲公英風景図皿が何やら凄まじいような光景をあらわにしていた。
白い綿帽子が延々と広がっている。侵略軍のように。不気味だったなあ。

釉下彩蝙蝠文花瓶 ロールストランド 1905-10 これも大概物凄いな。なんだろう、蝙蝠がおなか見せながらグワーッとやってくる。

絵付けのひと、けっこうホラー系なのかもしれない。
…しかし一方で美麗なのも多い。

釉下彩植物文花瓶 ロールストランド 1897-1910  わたしの愛する楠部彌弌の手のようだ…

ポルシュグルンの仕事が面白い。絵付けはすべてトールオルフ・ホルンボ。1908-1911の作品。
釉下彩ペンギン図花瓶
釉下彩蛇に蛙図花瓶
釉下彩白熊図花瓶
釉下彩魚にクラゲ図花瓶
釉下彩イタチ図筆皿
なんだかもう可愛くて可愛くてならない。

第 3 章 東洋のアール・ヌーヴォー ~日本~
日本の釉下彩の始まりはワグネルのおかげだったそうだ。
以前に「日本のアールヌーヴォー」展でもみかけたような美しい花瓶が並んでいた。
そして作り手も窯も全く別々だというのがいい。

参考作品でドローイングを見たら、寝てる猫の絵ばかり集めたものがあり、それに猫掴み…いや、鷲掴みされた。いいなあ。

第 4 章 新たなる挑戦者 〜ドイツ・オランダ KPM ベルリン、マイセン、ニュンフェンブルク、ローゼンタール、ローゼンブルフ〜

釉下彩ベルリン風景図皿 KPM ベルリン 1918  一目見て映画「さらばベルリンの灯」を想った。そんな風景がここにある。

マイセンの1910/1910/1914のクリスマスプレートが可愛い。いずれも夜景。青い夜。
「聖母教会の照り」「樅の木と三本のキャンドル」
「塔の上で聖歌を唱える子供たち」

踊り手のロイ・フラーをモデルにしたものも二つ。
上絵金彩女性踊子像 マイセン 1911-20 一つは殆ど裸婦に近い。

最後にまた綺麗なものが現れた。
第 5 章 もう一つのアール・ヌーヴォー 釉薬の妙技 ~結晶釉、窯変釉~

結晶釉花瓶 ロイヤル・コペンハーゲン
銅紅釉蓋付壺 セーヴル
窯変釉鉢 セーヴル
色釉花瓶 セーヴル
釉下彩金魚文花瓶 宮川香山(初代)

繊細な夢のような美しいものばかりだった。

あまりに綺麗なものをみつめすぎて現実へ戻りにくいほどになった。
とはいえ面白い、楽しいものも少なくはない。
いいものに会えてよかった。

8/31まで。
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