美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

静かなる動物園 髙島屋動物園

高島屋史料館が攻めてきている。
近年いい勢いでいい展覧会を開催している。
今回はこちら。


前期だけで2回行ったが、すごく面白かったぞ。

・天を駆ける
入るといきなり「柳に燕」。都路華香の屏風に仕立てられた染織品下絵。
イメージ (81)

豊かに伸びる柳のその枝に3羽の燕が止まる。
燕は西欧にもいてワイルドの童話「幸福の王子」、アンデルセン「親指姫」でもせつなく重要な役目を担っているが、彼らの愛らしさ、無邪気さを描く絵と言うものはわたしはちょっと思い出せない。
燕は日本の絵では初夏と共に訪れる小さな小鳥で、現在に至るまで愛されている。
東アジア全域に広まる昔話に「舌切り雀」のバージョンがある。米の尽きることのない瓢を恩返しに持ってくる燕というのがそれだ。
この絵が最初に来たのはやはりご挨拶と言う気持ちがあるからだろう。その挨拶のキモチに燕。とてもいい。

龍長襦袢 竹内栖鳳 長襦袢に直筆で宝玉を掴む龍の大アップ。迫力ある絵で長襦袢。どんな婦女が身にまとうたのだろう。
ところで龍の掴む宝玉、実はCDに見えたのでした。
この絵のサインに「棲鳳」とあるからまだ若い頃のだということがはっきりしているのだった。

百雀図 これも染織品下絵。四隻に数えるのが面倒な位の数の雀たちがいる。飛ぶ・ついばむ・仲間ともめる・仲良くする…
チイチイパッパッチイパッパどころの騒ぎではないだろう。
そういえば西欧の雀と言えば三原順「はみだしっ子」で赤い実を掴んだ雀を見るシーンがある。
この後の展開が非常にせつないのだ。
小禽というものはどうしてもせつないのかもしれない。

岩上大鷲図 これも下絵だが完成品は壁掛けだったようだ。両羽根を大きく広げた鷲が波が激しく打ち付ける岩の上に佇む図。

ここまでは明治から大正までの作品。
次におそらくは昭和の絵が二点。

橋本明治 鶴 ステンドグラスに見まがうような綺麗な色彩と太い外線。三羽の鶴が横長の画面に収まらずに居る。背景には群青の海が広がる。浜辺にいるらしいがとにかくギシギシ。
三羽の声が聞こえるようだ。「あっち!」「あっち?」「あっち…」

須田国太郎 孔雀 これも横長。グレー一色の、足の強そうな孔雀が歩いている。その奥には赤いほっぺたの雉がきょとんとしながらついて歩いている。
須田の描く鳥達はと゜ういうわけかやたらと歩く。歩かなければ止まってその場で騒ぐ。飛ぶ奴はなかなかいない。

髙島屋はご維新後は積極的に海外の仕事を請け負うた。
セントルイス万国博覧会に出品した染織品も随分たくさんあり、全容はどうなっているのか知らないが、その当時の様子を捉えたモノクロ写真のはったアルバムが残されていて、これがとても貴重な存在となっている。
ここにある絵の数点はきちんと染織品に生成されて、販売されていったのだ。
その完成品写真を見ると、「ああ、あれか」『おお、これは』と言ったものがいくつも見つけられる。

栖鳳の「獅子」の写真がある。この構図と同じものは現在藤田美術館にある。
外国にいったり京都市恩賜動物園に写生に行ったりした栖鳳はリアルな動物の様子を描いた。
とても威厳のあるライオンの絵である。

孔雀図 これは荒木寛畝の下絵を上田萬秋が写したものらしい。迫力のある孔雀が二羽いる。
そういえば西欧の孔雀は優美なイメージがあるが、大和絵、明治の日本画の孔雀はいずれもちょっと凶悪なくらいの迫力がある。

・地をゆく
竹林咆虎 岸米山  虎の絵の得意な竹堂の孫の絵。2匹の虎が竹やぶでガオーーーッ

逃れる鹿 猟犬、斑のあるなんとかいう犬属の猟犬が渡河した鹿を追えずに終わる絵。立派な角を持った鹿はまるで森の王で、バンビのパパのようだった。

この絵の仲間のようなのが「漁をする犬」で、これは染織品の完成もアルバムにあった。
9頭の犬が陸・川の中にいて、鹿はもうとっくに対岸に渡っているのだ。
これはオリジナルではないそうで、タベルニエール(食べる煮える、と覚えてはいけない)という画家に全く同じ構図の絵があったようで、どうやら著作権も何もない頃だからそのまま流用したのだろう。

馬二頭  背景は黒で、そこに茶色い馬と白に葦毛が少し浮いた馬が疾駆する図。かっこいい。これももしかすると流用かもしれないが、とてもかっこいい。画像は背景が白なので本当のカッコよさはないかもしれない。
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猿猴 明治半ばの渓谷での匹のニホンザルたちの様子を描いている。楓も赤くなり、栗も実がみえている。猿たちは母子もいれば友達もいる。なんだかんだと楽しそうだが、中に一匹カメラ目線のものもいる。
絵はおそらく栖鳳のものらしい。

猫 モノクロで円内にキジ柄猫の顔。ちょっとやさぐれている。

虎の図 浅井忠 でた、こちらもちゃんと写生しているからリアル。と言うより今の絵のようだ。肉球が可愛い。群青地に虎が寛ぐ図。

仔犬 和田三造 戌年の絵。むぅとしたわんこ。木炭のスケッチ。可愛いのう。
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白い馬 田村孝之介 1955 サーカスの白い馬。数人の人々と共に。田村の絵の構成がとても好きだ。いいなあ。

髙島屋の飯田慶三の描いた絵が二点。
部屋の一隅  自宅バーを描いている。洋酒ずらーーーっ。そこに黒猫がまるでオブジェのようにいる。
下にはポメラニアンかマルチーズかの白いわんこが愛想よく吠えている。

わ これがタイトルである。「わ」 そして羊の群れを二重に描いている。羊の群れで輪が作られていて…

・香月泰男 動物シリーズ
真鶴 動物園の檻の向こうでトボケタ顔を見せている。

黒豹 檻からこちらを見るのだが、その様子を描く香月の手も描かれている。

ペンギン 二頭でなにやら高士のように佇む。

象 舎内へ人が来たゾというところ。

・汀に遊ぶ
聴濤烏 物凄い勢いの波の打ち寄せる岩の上にハシブトカラスががんばって止まっている。
近年では烏も憎まれ者になったが、江戸時代までは烏もよく描かれた。この烏もいい風に描かれている。

雨中の鷺 都路華香 いやもぉ実に鷺鷺している…

久保田米僊の不思議な絵が二点。
貝づくし 波打ち際の浜辺にサザエをはじめ巻貝、蛤のようなものが集まっている。
しかし波は静かそうで「のたりのたり」にも見えるのだ。

魚づくし エイがすごい勢いである。彼をやり過ごす石鯛たちもいい。
イメージ (80)

彩鱗 野間仁根 戦後の絵だというのも納得の色彩である。と゜こかそんな風がある。

扇面図三枚。これは高島屋からの贈り物の原画だろうか。
金魚 西野陽一 赤二匹に黒一匹の水中。
鯉 大山忠作 言わずと知れた…新緑の頃、葉陰に姿を見せる鯉。
熱帯魚 山田伸吾 エンゼルフィッシュが二匹プクプク。

・雛形屏風、工芸品など
獅子 神坂松濤  獅子カップルが寄り添っている。安心したように幸せそうな顔で眠る雌獅子。雄の方はまだ起きている。

獲物を追う燕 あーっすごい!やかましそう。

ひよこ 龍の髭をいっぱいに積んだ籠にいる、何かのひよこたち。下には白バラの飾りも。プレゼントにもらってもちょっと困りそうである。

狐 きりっとしたツリ目のキツネ。足元には雛菊。

雛形屏風のいいのも色々ある。睡蓮いっぱいの池に潜む鯉、白い鳳凰(尾長鳥表記!)。

それから仁清写しのわんこの置物。16世永楽善五郎の仕事。可愛くて可愛くて。
イメージ (83)

河井寛次郎の鳥の鉢もある。
象嵌彩窯変蟹花瓶 今井政之 こちらは切り絵画家・百鬼丸の仕事のようだと思った。

最後に高島屋のアイドル高子、ゾウのたかちゃんの紹介がある。
1950年にタイから来てくれた高ちゃんはクレーンで東京日本橋の屋上へつれられ、そこで子供らの人気者となった。
可愛いなあ。芸も色々覚えたり記念撮影したり。
やがて引越しするのだが、その時は階段を下りていた。ちょっと小さめの象でとても愛らしい。
ぱおーとほえているのもいいなあ。
イメージ (79)

楽しい動物園だった。
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