美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「こどもとファッション」展を東京都庭園美術館で見た。

「こどもとファッション 小さい人たちへの眼差し」展を東京都庭園美術館で見た。
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この展覧会は巡回展で、わたしの場合、神戸ファッション美術館で見る機会もあったが、旧朝香宮邸、アールデコの館でこれらを見たい、と東京での展示を待った。
優雅なもの・美しく作られたものをこの建物の中で観る喜びは深い。
そこにある、ということ自体がいよいよその美を高めるように思われた。

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バロックからモダンな衣服までが時代ごとに並ぶ。
西洋では幼い子供は男児でも女児同様ドレスをはかされたりしていた。
そのことはルノワールの絵から学んだ。
ズボンをはけるようになるのは走れるようになってからかもしれない。
そんなことを衣裳を見ながら思う。

女児は幼児の頃から大人の小さい版の衣裳を身に着けさせられた。
ロココの頃などはコルセットまで使用させている。
この時代、衣服だけでなく読み物なども「こども用」というものは何一つなかった。
子どもは「小さい大人」扱いをされていたのだ。
その点、東洋とは大きく違う。

大人と同じスタイルなのが長く続く。だからその時代の衣裳は大人の衣裳の模造品のようで、別な面白さがあった。
主人とそっくりの人形のための服、あんな感じで見ている。
やがて19世紀になると子供服というものが生まれ、認識され、主張し始める。
面白くなるのはここからだった。

わたしは常々1920年代のファッション・文化全般の風俗がいちばん素敵だと言っている。
憧れは全て1920年代のスタイルなのだ。そこを主にして1930年代、少し戻って1910年代もカッコイイと思う。
建物一階ホールではその1019-1930年代の子供服がいい配置で展示されていた。
個々を見て回るのも楽しいが、全体がとても魅力的でもある。
なんて魅力的なのだろう。

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第二室では1920年代の子供服がある。おしゃれでとても素敵なものばかり。
ポワレの女児服のうちチュニックでジャポニスムの影響を受けたものが面白い。四季の花が日本画風に描かれたもので、これは欲しいと思った。朝顔がとても素敵。

第三室は少し戻りエンパイアスタイルの衣服があった。シュミーズドレス。
過剰装飾のロココスタイルからゆるいのに変わったのだ。
この辺りの様子を池田理代子「エロイカ」は印象的に描いていた。
ジョゼフィーヌがゆるゆるでギリシャ・ローマ神話の女神みたいなスタイルで出てきた日、男たちは彼女を批判するのだが、女たちの表情は違った。
次のパーティ、申し合わせたわけでもないのに、女たちは一斉にジョゼフィーヌ同様のゆるゆるスタイルで登場するのだ。
これで彼女が一気にファッション・リーダーになるのだ。
やっぱりみんな(ロココに)しんどくなっていたし、飽きてもいたのだ。

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エッチングがある。
チャールズ・ディター・ウェルドン ドリームランド 可愛いようで案外怖いような絵である。幼女が抱き人形を持ってソファにいる。そこへ中国とも日本ともつかない(西洋人から見れば差異などないのだ)芥子坊主の人形がいっぱい寄り来る。
悪夢のような情景でもある。

ファッションプレートもたくさんあった。
ジョルジュ・ルパップ、シャルル・マルタン、アンドレ・E・マルティ・・・
ときめくものばかり。
グラディス・ピートもとても素敵。

ふと見ると男児用サファリスーツがあった。
四谷シモンの少年人形で、そんなファッションの子がいたなと思い出す。

二階では日本の画家の絵もある。星野画廊から来ているのがいくつか。
個性的で、そして今では忘れられた画家たちの絵ばかりだから、却ってとても新鮮。

児島虎次郎の幼女の絵があった。
この絵は好きで、成羽美術館展で見たのが最初。
兵庫県美からは神中糸子描く幼女「はる」の絵も来ていた。
そして植田正治の幼女の写真もある。昭和10年代の子どもたち。
小出楢重の幼い息子、秦テルヲのお遊戯をする幼女ら、みんな着ているものはその時代時代の子供服・子どもの着物なのだ。

北野恒富の幼児も愛らしい。そして童画の大家・武井武雄、村山知義、岡本帰一らのイキイキした子供たち。

信州中野の田中本家博物館から大正、昭和初期の子供服がいくつも来ている。
「タホン」と通称されもする豪商である。
何度か訪ねたが、いつ行っても本当に素晴らしい佇まいの豪邸、所蔵品には圧倒される。
またカフェもとても魅力的なのだ。
その田中本家博物館の子供服は、まるで「コドモノクニ」に描かれた子供たちが着ていたお洋服のようだった。
デザイン性がとても高く、プレタポルテかもしれない。

新館では北大博物館所蔵の疋田豊治のガラス乾板の写真がよかった。
それからケイト・グリーナウェイの童画。
彼女の展覧会が90年代に大丸で開催されたが、今回初めてのファッションが同時代より百年前のものだと知った。
当時既にレトロであることを前面に出していたのだ。
展覧会当時「子供服のファッションのブームを作った」と説明を読んだのだが。

今ふと気づいたが、副題が神戸と微妙に違う。
「小さい人たちへの眼差し」と「小さな人たちへのまなざし」。
どちらもいい言葉。

「赤い鳥」の清水良雄の絵がある。孔雀となにかと。
優雅さを感じる、子供たちのための絵。

明治末の引き札をみる。3コママンガ、お正月、ネズミの計略に負けて鏡餅の下敷きになる猫。にゃーんにゃーんと鳴いている。
むむ、にっくきねずみどもめ・・・!

田代正子「街角の夕」は京都市美術館蔵。以前に見たことがあるが、再会できてうれしい。
紙芝居をみる子供たちの様子。中に一人、猫を抱っこする女の子がいる絵。

子どもの衣服と、子供を描いた絵と、子供たちのための絵とを愉しんだ。

こちらは年表。かぶっているところもある。
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