美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

弥生美術館でみたもの―オサムグッズ、華宵と浅草オペラ、夢二とモダン都市東京

弥生美術館で三つの展覧会を楽しんだ。
・オサムグッズの原田治展 Osamu Goods® The 40th Anniversary
・華宵と浅草オペラ
・竹久夢二とモダン都市東京 展 ―夢二のいた街、描いた街―
(こちらは夢二美術館ではあるが)

オサムグッズは1980―90年代の女子中高生の人気グッズだった。
カバンからタオルからノートから小間物まで、とにかくあのシンプルで明るいオサムグッズと無縁でいた少女というのは、非常にまれだったのではなかろうか。
わたしのような者でもオサムグッズをなんだかんだと使っていたし、中には今も手元において使用中のものもある。
今回の展覧会で初めて知ったのだが、純正品のオサムグッズ(!)とライセンス契約だけのオサムグッズがあるようで、長らくミスドの景品として流通していたのは後者だそうだ。
わたしが持っているのは多分半々。
今も現役で使用中のタオルからして、ミスドでもらったものと友達がくれたものとあるので、可愛さだけでなく、品質も良いのだと思う。

展示室に所狭しと集まるオサムグッズが次々と当時の思い出を呼び起こし、面白かったこと・腹の立ったこと・楽しかったことなどなどが蘇る。
グッズは身近なものなので、折々のそのわたしの感情や出来事の随伴者あるいは目撃者でもあるのだ。

原画を見る。試行錯誤の痕はその線からは窺えない。原画を描く前段階でそれらは解消されているのだ。
作者の原田治さんの言葉がそこかしこにあり、読み通してゆくと、いくつかの新発見と納得がある。

原田さんのおじいさんは映画監督・二川文太郎だという。
バンツマ主演の無声映画「雄呂血」の監督である。びっくりした。1925年のチャンバラ映画で、これは殺陣が素晴らしく、当時の観客を熱狂させた。
タイトルが気になっていたので子供の頃から忘れずにいた映画で、近年になりこのようにつべで見ることが出来るようになったのはありがたい。

そして原田さんは自身のデザインへの意識などをこの祖父から伝えられたように思う、という意味のことを書かれている。
大正末期の素敵なロゴの「雄呂血」。
二川は他の仕事でもいいデザインのロゴなどを拵えていたそうだ。

自分が実際にリアルに使っていた・使っているグッズが目の前にある。
とても楽しかった。

原田さんの他の仕事の紹介があった。
お孫さんの幼稚園のために活躍しているだけでなく、こんなキャラも原田さんの仕事だった。とても納得。
・東急電車の「ドアに注意」のクマ坊や
・カルビーポテトチップスのポテト坊や
・崎陽軒の二代目ひょうちゃん

原田さんは「かわいい」を前面に押し出す仕事をした。
40周年の今も全く古びないのは「かわいい」からだと思う。
既に弥生美術館でのグッズ販売では色んなものが売り切れ、再入荷されたりという盛況である。気持ちはわかる。

ノスタルジーよりもカラッと明るい気持ちになり、楽しく見て回れた。




階段を上がり三階へ。
・華宵と浅草オペラ
打って変わってこちらは妖美で華やかな世界。
華宵が浅草オペラに熱中ししていたことは有名で、スケッチも少なくない。そこから作品も生まれる。それらが集まるのもいい。

紅バラ 田谷力蔵のコスチュームと同じものを身にまとう娘の絵 田谷のブロマイドもいい。

浅草オペラや活動写真から異国情緒あふれる世界に目が開かれた人も多い。
古代埃及をイメージした衣装の少女が睡蓮を眺める様子も素敵。こうした絵が当時の少女たちをときめかせたのもわかる。

「カフェーの夜」の歌は今でもつべで聴けるようだ。
三日月と☆とをつけた薄衣の娘、その周囲を跳ねるウサギたち。可愛い。

相良愛子 白孔雀 ああ、きれい。白塗でアタマにたくさんの孔雀の羽根の飾りをつける。
華宵の絵もエキゾチックでいい。
1682301.jpg

王女のバラ パールを全身に行き渡らせた女。絵だからこその美麗さ。腿がみえているのもいい。

埃及娘の横顔の絵は初見。蛇の冠をつけている。影も描かれていて綺麗。

高田雅夫のエジプトダンスというものを初めて知った。33歳で没したそうだ。
見てみたい動き。彼の活動はwikiにあり、惜しむ。
わたしはこの時代までに生まれている<新しいダンス>はとても好きなのですよ。

山田まがね という抒情画家がいたのを初めて知った。
多くの浅草オペラや歌謡曲の挿絵を描いていたようで、「ローレライの歌」などの絵がとても好ましい。
今回みたのは浅草オペラの「サロメ」で、ヨカナンの首を抱え、じっとみつめるサロメを描いている。
「スネークダンス」の絵もいい。

当時のブロマイドの魅力にも大いに揺れる。やっぱり1910-1930年代は本当にわたしの好きな時代だ。
ノイエタンツが素敵すぎる・・・前述の高田雅夫の奥さんで遺志を継いで踊り続ける高田せい子、かっこいい。

アンナ・パブロワの来日も大いに刺激となった時代。
華宵もスケッチを描いている。この公演は六代目菊五郎も見ているし、「ドグラマグラ」でも舞踏狂の少女の仇名がアンナ・パブロワだった。

当時のレコードが並ぶ。
おお、「茶目子の一日」。これは映画も見た。佐藤さとる「わんぱく天国」で知ったから、もう随分長いつきあいになる。
このことについてはこちらにも書いている。

レコジャケで面白いのがあった。大佛さんが聴きたがる図柄。
「恋は優し」のレコジャケもなかなかエキゾチックでいい。

石田雍の人気、若き藤原義江の美貌、浅草の全盛期がここにある。

大正10年3月、浅草金竜館でロシアからのアダメイト娘らによる西インドダンスの上演、そのかっこよさ。
手品師・天勝の妖艶な美貌、明石須磨子もモダンでいい、無国籍風な衣裳で踊る女たち。
昔の浅草オペラの衣裳は何と魅力がつよいことか。
澤モリノのダンス、孔雀の衣裳、嗚呼嗚呼嗚呼。

わたしの見たいものリストに浅草オペラが入った。バレエ・リュスのすぐあとくらいにクランクイン。

・竹久夢二とモダン都市東京 展 ―夢二のいた街、描いた街―
夢二は上京してから東京をよくハイカイした。

浅草、日本橋、本郷、早稲田、品川、向島、銀座。
都市生活者たちが歩いた東京各地。
女学生、モガ、モボ、ボヘミアン…
サラリーマンもBGも歩いた。
それぞれ面白いことをみつけだし、先端の都市を闊歩した。
描かれた街の魅力にときめいた。

須藤重、山名文夫、武井武雄、東郷青児らの描くモガたちの絵がある。
みんなそれぞれの特性が出ていて面白い。
芝居とキネマとバーとカフェと…
本当にカッコいい。
モダンな時代のモダンな都市の様子をここで見たように思う。

ああ、とてもかっこよかった。
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