美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

ベルギー近代美術の精華展 @姫路市美術館

最近洋画を見た後になかなか感想が書けないという状況に陥っている。
ポンピドゥー展、カサット展、福岡までわざわざ見に行ったヴァルラフ=リヒャルツ美術館の印象派展、それからダリ版画展、姫路のベルギー美術展、とこのようにずらずらと居並ぶ。
デトロイト美術館展は撮影可能で、これは写真を挙げてうだうだ書けそうなのでまだそんなに心配していないが、本当に困ったものだ。
というわけで、25日で終了の姫路市美術館「ベルギー近代美術の精華」展の感想を簡素に挙げたいと思う。

イメージ (24)

姫路市美術館といえばベルギー美術を裕福に所蔵し、国内ではここ以上にベルギー美術を持つ先はないのではなかろうか、と思われる。
理由はあるに違いないが、とりあえずベルギー美術といえば姫路市美術館、近代日本版画といえば和歌山近美か千葉市美、狩野派は板橋区美、などと言った風に認識が広まっている。

その姫路市美術館でこの展覧会である。
いそいそと出向いたが姫路市美術館の所蔵品だけでなく他からも出てきており、豪華な顔ぶれになっていた。

1. いま見えているこの世界 レアリスムから印象派

フェリシアン・ロップスの辛辣な絵がある。
古い物語 きれいにやつした女が手に美人面を持つ。色々言いたいことはわかるが、それにしてもこの女の顔も仮面も綺麗だ。
fc2_2014-08-03_00-20-15-529.jpg

サテュロスを抱く女(パンへの賛美) 夜、裸婦がサテュロス像を抱く。欲望を露わにして。その様子を蔭からクピドが見ている。彼女自身による欲情なのか、この小生意気なチビに仕向けられたのかはわからない。

エミール・クラウスの外光が眩しい絵が数点。いずれも農業地域を舞台にしている。光が眩しいのを感じる。

イメージ (28)

2.幻想の世界 象徴派

個人的にはここが一番好きだ。
フェルナン・クノップフの優美で静謐な絵が並ぶ。

ヴァイオリニスト 赤チョークで描かれた優美な女。この瞬間以外は生きていない女。

女性習作 肩の獅子噛みの無骨さが彼女の横顔を一層うつくしく見せる。

ブリュージュにて 聖ヨハネ施療院  彼の作品の中で最も好きなもの。
「死都ブリュージュ」とこの絵とがわたしの中では区別できないほどになっている。
fc2_2014-08-03_00-25-04-788.jpg

ジェームズ・アンソールが実際に人々から非難されていたり対立しているというのを初めて知った。

キリストのブリュッセル入城 1889年のマルディ・グラの日(肥沃な火曜) ここでのキリストはアンソール自身。そうか、そんなにも周囲から…

オルガンに向かうアンソール 周囲のモブ。チラシは右が少し切れていて、右には赤ん坊がいる。アンソール以外は皆醜い。

ホップフロッグの復讐 これはポーの小説「ぴょんぴょんカエル」のクライマックスシーンを描いたもの。小人が宮廷で王や大臣たちに度を越えた苛められ方をし、ついに復讐を決意する。仮装舞踏会の日に王や大臣にゴリラなどの仮装をさせたところで全員をシャンデリアに吊り下げ、火をかけて焼き殺すのだった。

ジャン・デルヴィルの幻想的でうつくしい絵が現れた。

レテ河の水を飲むダンテ 百合の花をはじめ優美にして儚げな花に囲まれた空間で。物忘れをするレテの河の水を飲む。

デルヴィル夫人の肖像 ああ、相当に綺麗な人だな。

ウィリアム・ドグーヴ・ド・ヌンク 夜の中庭あるいは陰謀 この絵はとても好き。青黒い夜の中で三人がひそひそひそひそ…
イメージ (5)

レオン・フレデリック 動物に説教する聖フランチェスコ ウサギに、牛に、羊に、聖フランチェスコは説教する。

レオン・フレデリック 春の寓意 花綱をもつ女や幼子たちの幸せそうな様子がいい。

3.あふれ出る思い 表現主義

アンソール 薔薇 ただの花の絵ではなく、その右奥には不思議な風景画が添えられている。そちらに視点を絞るとその中に取り込まれてしまいそうだ。ちょっとばかり乱歩「押絵と旅する男」を思い出した。

ジョルジュ・ミンヌ 聖遺物を担ぐ少年 大理石はきれいだな。
イメージ (26)

レオン・スピリアールトもある。
オステンドの灯台 グレーと黒のパッキリ分かれたところがかっこいい。

磔刑のキリストと煉獄 舞台風な拵えに見える。群衆の様子がそう見せるのかもしれない。

4.現実を越えて シュルレアリスム
デルヴォーとマグリットの饗宴だった。

デルヴォーは1937年から1966年の作品が 7点ある。
有名な「海は近い」もあるし「乙女たちの行列」も見られる。
すべての女たちが美しく、神秘的なまなざしと微笑みを口元に浮かべている。
自分とは遠い存在であるにもかかわらず、どこか理解できるところもある。
そうした箇所に共感し、全体の美に感銘を受ける。

マグリットはリトグラフの連作「マグリットの孤児たち」のほかに妻の絵や不条理な情景の中の静謐さを描いたものが出ていた。
いずれもこちらが一歩進めばその中に入り込みはするものの、ふと振り向けばその情景から遠のいている、そんなイメージがある。
イメージ (27)

面白かった。
なお2年前に名古屋のヤマザキマザック美術館にこれらの作品が大挙して出向いている。
その時の感想はこちら

8/25まで。


常設の國富奎三コレクションを見る。以前は別料金だったが、今回は含まれていた。

・レアリスムの夢
コローの湖、クールベの波がある。
そしてアドルフ・モンティセリのマティエールの重い、重すぎるような「モスクの前の集まり」がある。

・印象派の精華
シスレー 望楼 ・・・四角いビルディングに見えるなあ、今も現役で建ってそう。
ピサロ、モネの日の入りがある。

・フォーヴィズムのうねり
ここのコーナーがいちばんよかった。
ヴラマンク 川沿いの村 珍しく(!)温和な風景。色彩は激しいが。

ドンゲン バラ色のシャツを着た若い婦人の肖像 タイトルは長いが、実は横広がりの女の顔のアップで、ちらっとだけシャツが見える。これだけ横広の顔は珍しい気がする。

デュフィ ミシェル・ビヌーの肖像 水色地に赤チョッキ・半袖の少年がいる。関根もこんな水色を背景にした男児の絵を描いている。水色を背景にしたくなる何かが男の子にはあるのかな。

ドラン 裸婦 背中からおしりにかけての重量感がいい。

・個性の開花の時代へ
ブラングィン ヴェニスの朝市 光がとても強そう。
「君よ知るや南の国」か。北方の人々の憧れのイタリー。
それは「光があふれる国」なのだった。

ジャック・ヴィヨン 女性の顔 デュシャンのお兄さん。
ユトリロ、ルオーもこのくくりに入っていた。
そしてアンリ・ルバスクの絵を見るのも久しぶり。
赤い服を着た女 キャンバスの前で何かを見るようで見ないような目つきの女。

ルドン 髪に花を飾る女 黒人少女風な大胆な笑顔。

・マティスの世界
「ジャズ」が出ていた。かっこいい。

ロダンの「私は美しい」を見てから帰る。
二つの肢体を絡めた作品。
関連記事
スポンサーサイト
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア