美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「富士と女性 日本の心」展 @小林美術館

高石市、というより羽衣駅の近く、浜寺公園そばという方がわかりやすいかもしれない。
そこに小林美術館がオープンした。
とてもいい空間の美術館で一階には素敵なカフェもあり、ご近所の方々が寛がれていた。
館長の小林さんは塗料を扱う会社を営まれており、扱い品目の染料と顔料がどのように使われるかを想い、そこから日本画の魅力にひきこまれていったそうだ。
9/4まで「富士と女性」展が開催されている。
過日、出向いた。

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とても分かりやすい場所にある。わたしはその日、忠岡町の正木美術館に行ってからここへ来たのだが、迷うこともなく到着。
土地勘のない人でも大丈夫だ。
まずはエレベーターで3階へ。
新しい建物なのでにおいなどが気になるところだが、それがまるでない。
さすがに染料などの専門家の方のところだけに、すごく気を遣っておられるのだ。

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落ち着いた空間に日本画を中心にした絵画が並んでいる。
「富士と女性 日本の心」展が開催中ということで、富士山の絵と美人画が出ていた。

大観、球子の富士山を見比べる。全く別物。富士山という存在は不二ではなく、他にもあるのだと主張しているようだ。

福王寺法林の富士は赤富士、小林五浪のはトルコブルー。個性様々な富士。
栖鳳の富嶽、遙邨の三保羽衣松、青い山と、山吹色の空と、それぞれの富士。

富士の様々な絵を見ると、必ずわたしは武田泰淳「富士」を思い出す。
終戦間際の富士の裾野の病院で起こる様々なことども。
カタストロフィーが訪れるのは大騒ぎの宴の中で。
武田泰淳は「富士は固定観念をあらわしているんですよ、永遠に変わらないものと言う意味です」ということを語っている。

美人画をみる。
松園さんの珍しいものがあった。
桜桃 背景なしでゆるふわな髷の女が舞う。ざらっとした紙。これは後で訊くと、下絵らしい。
しかし綺麗な絵で、未完成とはいえ、それが逆にそそる何かを見せている。

清方、深水の美人もいる。
濱田台児の舞妓、北野恒富の舞妓、東西の違いが面白くもある。
フジタの和装女性もいる。どこか石版画を思わせる。頬高の美人.
棟方志功の板画の「青韻童女」は可愛い。青黒いが可愛い。

2階では文化勲章の受賞作家たちの絵が集まっていた。
慎ましいサイズの展示空間だが、心地よさがある。

玉堂の春の漁村の和やかさ、龍子の那智の大きさ、土牛の信濃太郎山の広さ。
胸がすくような自然の美がある。

栖鳳 翆竹小禽 オレンジ色の愛らしい小鳥がいい。
蓬春 緑翠 翡翠がいる。濃い緑の中。
翆と翠。言葉のイメージが異なる色を呼ぶ。

松篁さんが中国に行った時に見たものを描いた絵がいい。
中国芝居 京劇である。赤衣と灰青衣の二美人。それぞれの飾りも違う。
何の芝居かはわからない。
珍しいものを見た。

魁夷の馬の親子、高山辰雄のキラキラする胡粉が綺麗な山の中の風景「夏ゆく」、平山郁夫の月光に輝く法輪寺の塔。
昭和後半になってもこうしたいい絵が生まれていたのだ。

洋画も少しある。
梅原の静物はミモザとバラがいけられた花瓶、その下には枇杷らしきものが転がる。これが1984年の作品だから亡くなる少し前か。

小磯良平の清楚な婦人像はピンクのワンピース、フジタのアラブの子どもは目の綺麗な少女。
棟方志功の琵琶弁天もあり、珍しいのは堂本印象のガラス絵。

見終えた後、学芸員さんと小林館長と少しばかりお話をした。
とても明るいお人柄の館長さん。学芸員さんもとても熱心。
場所柄もいいのでまた訪ねよう。

正木美術館から小林美術館、そして浜寺公園駅まで歩いて阪堺電気軌道に乗り、寺地町のかん袋というのもいいコースだ。
羽衣駅は南海の急行停車駅、JRの東羽衣駅ともすぐ近く。
今度はカフェでくつろぎたい。
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