美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

小磯良平作品選「働く人々」 

和田英作の特別展だけでなく、小磯良平記念美術館では特集「働く人々」展も開催されていた。
優雅で清楚な婦人方を描くことが多い小磯だが、他方、懸命に働く人々を描いた作品も少なくない。

イメージ (2) クリックすると拡大
小磯作品の中で最大のもの。
漁業関係の人々を描いている。中央やや右寄りの魚入りの網を肩に掛ける男性、その下絵などもある。
魚が妙に可愛くて美味しそうである。
そしてここには3組の母子がいるが、いずれも幼い子を大事に守りながら慈しむ様子が描かれている。

小磯作品の群像図とは、「良識のある人々」を描いているように思う。
どんな状況であれ、自らの良心と良識に従い、心を正しく持った人々がいる。
悪意と言うものを持たないのではなく、持ってはいけない、と律している人々を観る気がするのだ。

1950年代のこれら「働く人々」は敗戦で国土が荒廃した日本を建て直そうと懸命に力仕事をする人々である。
土木作業員、漁業関係者などなど。彼らの傍らにはその妻と幼い子供がいる。
固定された役割とかそういった意識を批判してはいけない、ここでは昔の「働くお父さん、育てるお母さん」がいて、子どもを愛し、育んでいる。それが1950年代の在り方だったのだ。

小磯は母子の絵が多い。没後すぐの回顧展でも母子像ばかり集めたものもあったし、そうでなくても母子像をチラシの主役にしたものもある。
彼自身、家庭を大事にしたパパだった。
最後まで手放さなかった絵は家族たちを描いたものだった。

二人の少女 1946 いつみても心が和やかになる。小磯の長女と次女の幼い姿。上の子は父に似て、下の子は母に似ている。
この絵が後年この美術館が建てられるとき、その姉妹から寄贈された、というのはとてもいい話だと思っている。

音楽 1954 館内には小磯のアトリエが再現されているが、そこにはリュートがある。
古楽器を愛したようでそんな作品もいくつかある。
イメージ (4)
彫像をモデルにしたような二人の女性。
永遠に時が止まったようである。

小磯はアトリエの画家と呼ばれた。
あまり外で絵を描くということはしなかったが、かわりにいいアトリエを生涯にいくつか持った。
ここにあるアトリエは特にお気に入りだったそうである。

リュートのある静物 1966 アトリエが再現されたかと思った。リュートは実際、アトリエの中に今もある。

チェンバロの上の人形 1975
西洋人形たちがおとなしく居並ぶ。
イメージ (5)
チェンバロの独特の音色が耳に蘇るようだ。

小磯は音楽と美術とをモチーフにした群像を描いてもいる。
それらは対の作品として生まれ、現在も迎賓館に展示されている。
モデルは小磯が勤務した東京藝大の学生たちである。
迎賓館に行くとこれらの絵に会える。

最後に神戸の画家らしい絵を一枚紹介する。
御影の風景 1986 
イメージ (3)
具体的な場所は明示されていないが、なんとなく見当はつく。とはいえ30年前の風景なのでまた違うかもしれない。
そろそろ御影の白鶴美術館も開館だ。
また出向かなくてはならない。
そのとき御影を散策しようと思っている。

10/10まで。
次回はこちら。



追加:兵庫県美術館の小磯記念室では今だと「海岸(みるめ浜)」1934 が展示中。
みるめ浜は兵庫県美のある辺りになる。
11/16まで。
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