美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

KIITSU 鈴木其一 江戸琳派の旗手

サントリー美術館に「鈴木其一 江戸琳派の旗手」展を見に行った。
細見、姫路に巡回するようだが、待てない。サントリーで見る楽しさもある。
というわけで第一期目に出かけた。

琳派の系譜をたどるように、最初は他の絵師の絵がいくつか。

俵屋宗理 朝顔図  縦長の軸物なのが朝顔がまだまだ蔓を伸ばしそうなのを考慮したようでいい。金泥に藍色の花。豪奢な朝顔。

酒井抱一 白蓮図  ほのかに薄緑の色が差された蕾。開いた時の様子を想像する。薄紅でないところに抱一のセンスの良さというか、江戸琳派の洒脱さを感じる。

鈴木蠣潭 大黒天図  このヒトの急死で鈴木家に養子に入り、鈴木家を継いだのだ。武家も商家も家が絶えるのはたいへんまずい。
福々しい大黒様はそんなことに関知せずにこにこ。

鈴木蠣潭 白薔薇図扇面  ああ、どの国に咲こうとも薔薇には棘がある。

鈴木蠣潭 賛 酒井抱一 藤図扇面  洒脱な風がある。重くなく、風より軽い藤。

鈴木其一 青楓に小禽図  雀の子らに餌をあげようとする親。アブを咥えている。新緑の頃。可愛らしさが先に立つ。

鈴木其一 賛 酒井抱一 文読む遊女図  のんびりとしたポーズ。この構図は肉筆浮世絵にも応挙にもあるが、自然な様子なのがいい。お客も帰り、支度するのもまだ早い時間。
この絵については以前細見美術館でみたときに「名うての嫖客」云々と書いている。

鈴木其一 賛 酒井抱一 柳図扇  百年ほど前の其角の句をさらさらと認める抱一。こういうのが粋なのだろうな。

谷文晁・鈴木其一・酒井抱一・渡辺崋山ほか 文政三年諸家寄合描図  メトロポリタン美術館に伝わる総勢72名のお絵かき。楽しそうな共演。亀甲ではなく氷裂文にそれぞれの絵や書があり、中には爺さんを誘う雀娘もいるし趣を凝らしたものが多い。

鈴木其一 群鶴図屛風  2013年のファインバーグ・コレクション展で見たとき「相変わらずモダン。モデルのような鶴たち。」と書いているが、その意見は今回も変わらず、「モダン、モデルのような鶴たち」と思った。この立姿と配置、ホント、モダンでオシャレ。

イメージ (46)

鈴木其一 稲荷山図  おお、伏見のお稲荷さん。金泥による霞がかかり、厳かな様相を呈している。
なるほどこれは「正一位稲荷大明神」の鎮座ましますお山だという感じがある。

鈴木其一 癸巳西遊日記 1833 原本 五冊 (鈴木守一 明治初期写) この年、旅をしている。絵日記。
3/8に宇治川の濁流をみて、4/10には摺針峠から琵琶湖遠望。4/27には箕面の滝見物。
・・・リアルやなあ。(地元民の声)
箕面の滝は「明治の森」に選定されているが、役行者の頃から修験の地として知られ、江戸時代には風光明媚な観光地として愛され、昭和に国定公園にもなり、平成の今も観光地として人気がある。

光琳百図もある。これら印刷物は手に取って眺めてみたいものですな。
北斎漫画もそうだが。

小襖絵もいい。引手が桐文の七宝で光琳風なのも面白い。
松島図だから、より光琳を思うのかもしれないが。

鈴木其一 水辺家鴨図屛風  おお、親しきアヒルサン(と書くと、たちまち村山籌子のファンキーな童話になる)、グワッグワッと声が聴こえてきそう。よくよく見ればギザギザ歯並びがけっこう怖いな。

鈴木其一 芒野図屛風  整然と伸びて、キラキラしていて、ああ秋だ秋だ…

鈴木其一 賛 建部政醇 木蓮小禽図  これは岡田美術館で見たときからずっと惚れ込んでおります。暗く濃艶な紫が素晴らしい。
鶯なのか目白なのかが愛らしい。いい絵…

鈴木其一 牧童図  十牛図の番外編というか、こっちの方がまぁありそうな情景。必死のパッチで牛を引っ張る坊やと言い、知らん顔の牛と言い、妙に楽しい。

鈴木其一 群禽図  ミミズクが可愛い。周囲に大量に鳥たちが集まっていて、口々に「どうしたの?」と声をかけているように見える。
見えるがしかし、これは「ずく引き」という猟法かもしれないそうだ。
えー、ミミズクをオトリ(文字通りおトリ)にして他の鳥を獲るのかー
調べたらこんなことわざがあった。
「木菟引きが木菟に引かれる」=「ミイラ取りがミイラになる」
そしてこんな説明もあった。
「鳥もちを塗った細い棒をあちこちの枝に仕掛け、その中心に紐をつけた木菟を止まらせて小鳥を捕まえようとするもの。昼間の木菟は小鳥を襲わないので小鳥が寄ってくる、という発想から生まれた狩猟法である。」
ああ、そぉなんだ…

鈴木其一白椿に楽茶碗図「諸家寄合書画帖」の内から  黒樂とその前に横たわる白椿。蘂は金色。
こうした構図は抱一を思わせる。

お能をモチーフにした作品をみる。
釣鐘図 リアルな絵で鐘には二人の飛天が刻まれている。明治の国宝の調査したのを集めた版画、そんな雰囲気がある。

道成寺図 柴柄の装束。能をモチーフにした絵というものはある種の抑制が利いている、とよく思う。
歌舞伎を描いたものは盛り込みが多いが。

菊慈童図 可愛い少年が菊の花壇を見ている。そうか、花壇か。

仏画もある。
その中に青獅子がいて、一人だけカメラ目線。妙に可愛い。

表具のいいのが集まっていた。
描表装である。
夏宵月にクイナ図 本体の絵だけで完成しているわけではなくこの表装があることで絵が大きくなる。

歌仙図でも上下に扇面流しがあるのがいい。
イメージ (45)

階段を下りる。
他の絵師の作品も見る。

田中抱二 萩にウサギ図 可愛いなあ。いいなあ、琳派は猫より犬やウサギだな。

多くの絵がいい配置にあるのでますます面白い。

再び其一。
師匠に倣い十二か月を作成している。とても人気のシリーズもの。
元々は定家の歌にそうた絵を光琳が描き、乾山はそれを器で再現したが、抱一の頃にまた変わった。
この月次図は日本人の美意識にそぐい、戦前の野間コレクションにも多くの十二か月図を見ることが出来る。
出ているもの、いずれも楽しい。
当時のヒトも揃えるのを楽しみにしていたことだろう。

親しい作品が並ぶ。
滴翠美術館の金地描絵左義長羽子板、畠山の向日葵図、黒川の暁桜・夜桜図、細見の雪中竹梅小禽図などなど。
いずれも個性的な絵ばかり。

三社図 洛東遺芳館でみたのはもう何年前だったろう。
伊勢、春日、石清水を象徴するものを描く。なにかしら不思議なおごそかさを感じる。

浅草節分図 十年前にパークコレクション展があったとき、この絵は来ていなかったように思うが、しかし見た記憶はある。
柱の上につきだした箇所に立つ人々が下にひしめく群衆にお札らしきものをばらまくのだ。
なんだかすごい。

飴売り図 これはいわゆる「唐人飴」でこの恰好で人目を引いて飴を売る。岡本綺堂「半七捕物帳」にも唐人飴の風俗が描かれていた。

日出五猿図  所蔵先が児島の野﨑家塩業歴史館か。なるほどと納得する。お猿さんが猿腕を伸ばして輪を作る。
「御縁」ということですね。さるのわ!(さるのわくせい、といのもあったな)めでたいめでたい。

神功皇后・武内宿禰図  抱っこされてる後の応神天皇になる赤子が賢そう。珍しい。

最後のコーナーでようやくこの朝顔図屏風に会えた。とても嬉しい。
イメージ (43)
イメージ (44)
抱一の影響下から離れて光琳へ先祖返りしたような金と紺と緑の美。
ああ、縦横無尽自由奔放な朝顔の美に打たれるばかり…

10月も必ずゆく。とても楽しかった。


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