美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

めくらます奇術と写し絵の世界

国立演芸場のロビーの奥に資料室がある。
そこでいろんな展示があるのだが、今回は「めくらます奇術と写し絵の世界」展。
写し絵については何度かこのブログでも紹介しているが、わたしが写し絵に関心を持つようになったのはここで見た種板がよかったからだ。
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97年に「山本慶一コレクション」として奇術と写し絵の種板などの展示を見て、就中「小幡小平次」の写し絵には夢中になった。
あの当時下手ながらもシーンごとの様子を写した。
絵の資料が手に入らなかったので、何年もの間そのメモ描きをよく見直してはしのんだ。
今回はそれ以来の小平次の展示もあるというのでわくわくしながら出向いた。

さてついたのは演芸の開始時間の少し前で、申し訳ない、観客ではないので、資料室のベンチにのんびり座っていたところ、受付の人をやきもきさせてしまった。
観客がワハハと笑っている頃、わたしは熱心に奇術と写し絵の資料を見ていた。

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明治21年の寄席ビラ、39年の松旭斎天一一座のビラ、大正11年の「少年世界」付録の「最新魔術双六」などなど当時の様子がしのばれる。
わたしとしてはやはり双六が楽しくて仕方ない。

この時代、印度の魔術に夢中になった人も多く、乱歩も「少年探偵団」などにその様子を採り入れている。
そうそう谷崎「魔術師」も芥川「アグニの神」もそうだった。
わたしもいまだに「印度の魔術」といえばドキドキするシーンが思い浮かぶ。

写し絵には投影機(風呂)がいる。それと種板。
当時、幻灯機を楽しんだ人は少なくなかった。
以前にここで挙げた主な展覧会またはイベントについて。
・鴻池会所でみたものはこちら。
・よみがえる明治の幻燈 四天王寺幻燈會はこちら
・幻燈展 プロジェクション・メディアの考古学はこちら。

奇術の道具に「お菊の皿」がある。そう、「いちま~い、にま~い…」のお菊さん。あのお皿は高麗青磁とも染付ともいろんな説があるが、割れたのには変わりはない。
奇術でどんなふうに使うのか気になるところ。

玩具絵 怪談写し絵 これは大葛籠の男が川へ落ちて亡霊になるらしいが筋はわからない。「庚申山」の石碑が不気味。
大体「庚申山」というと八犬伝だと化け猫の住処だったりする。庚申待ちといい、この「庚申」さんはなんとなく恐い感じがあるな。
「心中宵庚申」という芝居もあるしな。
「甲子」といえば「甲子園」が思い浮かぶが。

さてほんに久しぶりに「小幡小平次」の写し絵。ああ、自分のメモと変わらないのが嬉しい。
不倫相手のおちかから小平次殺しの相談を受ける太九郎。小平次を安積沼へ釣に誘う太九郎。突き落とし、棹で上からバシャバシャうち叩く。早速亡魂が出る。
帰るとおちかが喜んで酒の支度をしている。が、衝立の向こうに小平次が。
血しぶき、嗤う小平次の亡魂、ラストに再び「安積沼」が。

ああ、面白かった。何でわたしがこれにハマっていたかというと理由は簡単で、中川信夫監督の遺作「生きてゐる小平次」を偏愛しているから。そこから北斎の「百物語」の「小平次」にも入っていった。

一方、面白い写し絵もある。これは艶笑譚というべきもの。
「滑稽だるまの写し絵」というタイトルから既にあれなんですが。
お軸に描かれていただるまさんが突然抜け出し、手足をよく伸ばする。
オイッチニーの薬売りではないが、ちょっと運動してから表に出かける。
その間に軸からだるまさんが消えてるので家人びっくりする。
だるまさん、二八そばを無銭飲食。金払えと言われて手足を仕舞い、元のだるまに。わるいやっちゃ。
花火を見たりナンダカンダ遊ぶうちにヒトの家に入り込み、寝ている女房の蒲団の裾に潜り込む。
アレーッてなもんでバタバタする二人、そこへ亭主が帰ってくると間男がだるまやいうんで亭主も仰天。
あわてて逃げただるまが戻ってきてお軸に飛び込む。追いかけた皆の前でだるまは後ろ向きにお軸に…

なるほどこういうのを見ると噺家が写し絵をしていたのも納得。このおもろい絵にオモロイしゃべりをつけるのは楽しいわ。
先年実際にそういう活動をする噺家がいるのを知ったが、やっぱり見てみたいわ。

写し絵はストーリーのあるものばかりではなく、万華鏡のようなのもある。
これは四天王寺でも見たがぐるぐるばらばら動いて二度と再現しない美を見せてくれた。

見世物の様子を描いた錦絵もある。
鯉の滝登り、紙人形の子供、猫じゃ猫じゃ、雷獣…
これらは明治二年の浅草厩河岸での興行からのよう。

国芳の竹沢藤次の絵もあるし、剣の渡り、一流蝶の曲等々。
玉乗り浦島という不思議なのもある。
それから東芝の元となったからくり儀右衛門の大カラクリの絵。

ちいさい資料室だが好きなものが集まっているのでとても嬉しく深い部屋となっていた。
11/27まで。
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