美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **自宅でログイン出来ないので、現在「遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う」で感想を挙げています。

伊藤晴雨幽霊画

伊藤晴雨と言えば責め絵・縛り絵の大家だが、風俗研究家としても功績がある。
また美人幽霊の絵は谷中の全生庵に収められてもいる。
風俗画の仕事は2009年に「蔵出し!文京ゆかりの絵画」展でいくつかみたが、構図も面白く、人間の内臓を見透かしてその神経の働きを凝視するかのような晴雨らしい良さがあった。
その感想はこちら

今回はジブリの鈴木プロデューサーが選んだ全生庵の幽霊画や風俗画の印刷物などを集めている。
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チラシはお菊さん。哀れさが背中に漂う。


幽霊画以外は撮影可能だったので、これ幸いとパチパチ撮った。
それを紹介したい。
先行してツイッターでも好きなものを挙げている。



「演藝畫報」などでも仕事をしていたようで、舞台を描いたものもいい。
 
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ページ左端のは先般、市川染五郎がラスベガスで公演した「鯉つかみ」。
外連味のある芝居は戦前特に愛されていた。
三世猿之助が復活させるまでの長い歳月、お蔵入りだったが、彼以降はこうして現代の名プロデューサーでもある染五郎も取り上げている。

「日本刑罰風俗史」上巻
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これはあれかな、不義の女の引き回しかな。
黄八丈なら白木屋おくま、振袖なら八百屋お七。

不義の女の引き回しは手塚治虫「シュマリ」で知った。シュマリは蝦夷地に入植以前は武士だったが、女房が男と逃げたのを追って維新後に蝦夷地へ来たのだった。

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さてこちらが白木屋おこま(おくま)
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なかなかコワいぞIMGP0106_20160927013105f9f.jpg
雰囲気的に六世梅幸のお岩さんの拵えのようにも見える。浴衣も斧琴菊だし。
吉川観方もこんな絵を描いているが、妙に楽しい。

何を拝むのだ、この女は。IMGP0107_2016092701310643b.jpg

「いろは引 江戸と東京風俗野史」から。
まず見世物
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先般みんぱくで大いに「見世物」を楽しんだが、やっぱり好きだなあ。

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作り物のゾウさんIMGP0114_20160927013140afb.jpg

玉菊燈籠かIMGP0115_20160927013141421.jpg

信仰と迷信
江戸時代は特に科学がなかったからなあ…
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縛られた娘を描く筆の潤うこと…
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あーコワイコワイコワイ
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こちらものぞきからくりや幻燈。庶民の楽しみ。
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わんこが可愛いなKIMG1027.jpg
自身番。

影絵する人々KIMG1028.jpg

維新前四季往来之図屏風
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こういうのを見ると矢田挿雲「江戸から東京へ」を思い出す。あの挿絵は橘小夢だった。

幽霊画は19点。
牡丹燈籠 2人の女がカランコロンと来るところ。
謡曲山姥 顔が怖いよ。上に蝙蝠が飛んでいる。

猫の怪談 座棺の上に座る黒猫。出て来ようとする死人を抑える力がある。
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姑獲鳥 羽がついている女、もう空を飛ぶ。
川で蘇る亡霊 ぶよぶよになり杭を摑まえている…
深川三角屋敷の場 例の水桶から細い手が櫛を掴んで伸びている。お岩さんの執念。
海坊主 徳蔵が対峙する。わかりにくい海坊主。
位牌を持つ幽霊 上から下へ来る。
累の盆燈籠 やっぱり怖いね…
毒婦小松 こわいな、狼に食い殺され首を・・・髪を噛む狼。
瀧夜叉姫 しゅっとした女がそこにいる。それだけでかっこいい。
盂蘭盆会の亡者 楽しいお里帰りの日。地獄の釜の蓋が開いて、キュウリやナスに乗ってる亡者たち。
猪熊入道 鎧の袖部分を咥える。

ここまでは同じ表装だった。五代目小さん師匠からの寄贈品。

他にも可愛らしい豆腐小僧、カッパのいる置いてけ堀、鬼婆の姿で空を飛ぶ茨木童子、鎌に髪が絡む累ヶ淵、そして髑髏と蛇の絵があった。

とても面白い展示だった。
しかしこれで「晴雨に対する世間の評価をひっくり返したい」という気持ちにはわたしはならない。
責め絵縛り絵よりこちらが上だとは決して思わないからだ。
ただ、不当に貶めることだけはやめばいいなとは思っている。

既に終了。見に行けてよかった。
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