美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

KIITSU 鈴木其一 江戸琳派の旗手 ふたたび

サントリー美術館の鈴木其一展の展示が替わったので出向いた。
いいものばかりが並ぶので気持ちいいことこの上ない。
大幅に変わったとはいえ、メトロポリタン美の朝顔はやはりイキイキと咲き乱れている。
それは最後の最後に待ってくれているので、まずは展示替えでお目見えの作品に会おう。

槇に秋草図屛風 抱一 「洗練されてるなあ」というのが感想。元禄の華やかさはないが、化政期のあくどさを越えた、ある種の寂れが非常に洗練された感性を思わせる。

大黒天図 鈴木蠣潭 1816 二百年前のにこにこ大黒天。それがどうも見覚えがある顔つきで、よくよく見ればホリエモンそっくりだった。

蓮に蛙図 鈴木其一 、賛・蜀山人 いい時代やな。とても可愛い。しかもナマイキなカエル、その心意気がいい。

源三位頼政図 其一、賛・抱一 鵺退治の様子やなしに和歌で褒められた時の情景を描く。
ふっと見返る姿がいい。

桜花返咲図扇面 其一 紅葉に桜。雲母引きの綺麗さがいい。

抱一上人像 其一 抱一は其角のファンだったそうだ、それで弟子としては師匠のキモチを慮って其角風なキャラに仕立て上げたそうな。
今で言うと『磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜』に出てきそうな…

癸巳西遊日記  やっぱりこれが面白い。1833年の関西ツアー絵日記、息子の守一が筆写しているが、とにかく内容がわたしには個人的に面白くてならない。
結構マジメに書き写したが、後から見ると意味不明なのが多くてそれらは勝手に(意味不明)としてここに挙げる。また、わかりにくいであろう名詞にも( )で記す。
・3/10 吉野でうぐいす草をみる
・3/21 宇治で茶の製造を見る
・4/21 伏見町、舟津橋(船津橋)、天神橋、堂島小橋、米市、真田山稲荷、日本橋、道頓堀、戎橋、坐摩社、御霊(神社)
・4/22 三休橋から鰻谷。吉野五雲のところで光琳の扇面(以下不明)
・4/23 淀屋橋、順慶町、新町、長堀、心斎橋、廣田(神社)、今宮戎、合邦が辻、一心寺、安居天神、月江寺、天王寺、太子堂、庚申、生玉…
・5/8 伊丹の小西(酒造)で宗達(以下不明)
・6/1(神戸)布引へ

どういうところに出かけたのかがよくわかる。
特に今の大阪市内はリアル。ところどころなんでやねんなルートもあるが、記憶違い・写し違いもあるかもしれない。
前回は箕面ツアーしてたが、わたしの近所・よく行く所・知る所に来てはったのが嬉しくてならない。

夏秋渓流図屏風 これはとてもよい風景で、絵を見るというより、景勝を楽しむ、という雰囲気のお客さんが多かった。
わたしも一通り細かいところを見てからは少し離れて「ああ、ええ景色」とひとりごちた。
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百合も檜も紅葉もいい。イキイキ。

ファインバーグ・コレクションの松島図小襖などを見ると、抱一ではなくむしろ光琳を思い出す。メトロポリタン美のあれと近い感じ。

風神雷神図屏風 これも可愛い二人組。宗達、光琳、抱一、そして其一と続く風神雷神。
だがみんな別々の風神雷神たち。
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好ましいのが続く。というか何故かチラシにあるのも続く。
藤花図 元は仏間にあったそうな。チカチカ。藤の垂れさがるのと仏間の関係か…
実はよく私にはわからない。
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好ましいのはこの蔬菜群虫図 出光美術館にあるのか。
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先般、健康診断の待機時間中にサライを読んだらこの絵が紹介されていて、嬉しかった。

毘沙門天図 真向描き。これはあれだ、何年か前の府中市美術館の「春の江戸絵画祭」で見たあれだわ。
なつかしい。

月に秋草図 父が月、息子が秋草というコラボ。遠近感が生まれている。

今回いちばん心惹かれたのか個人蔵のこの絵
秋草に月図 月の半分を大きく描き、そこに白萩と小さく桔梗、そして上下には赤地に薄い金泥でずらりとウサギたちが並ぶ。
描き表装はススキに小さい撫子。
この取り合わせがなんとなくディック・トレーシーと少年のコンビを思い起こさせる。
いい絵を見た。

新撰花柳百人一首募集摺物 妓楼の主人がこういう遊び心で遊女たちに和歌の募集をするのもいいな。
応募するときには愛玩品もとか、巧い人には其一に描いてもらえるよ、とか。

弟子の世代のもいい。
菊に流水図扇 守村抱儀 白菊と藍、観世水。これは太田美の所蔵というから元は鴻池家のかな。

12か月花鳥図扇面もいい。これなんかは師匠の抱一に散々「あ、描いといて」と代筆させられただろうしなあ。←チャウかな。
可愛いわ。蝶にスミレ。

広重の風景を元ネタにして描いたシリーズもいい。これは孤邨。

香包みが綺麗。ほしいね。

だるまさんの絵の大凧もある。真向で口が∧。なかなかかっこいい。

細見美術館の所蔵品で一番好きな其一作品と言えばやっぱりこれ。
朴に尾長鳥図 白い大きな花と小鳥と。

りんご、可愛いわんこ、雪がどさーっと落ちてびっくりする雀たち。
みんなとてもいい。もう師匠の影からも琳派からも離れている。

雪の中で遊ぶわんこは可愛い。奴さんのような柄のわんこと白わんことが楽しそうに遊ぶ。そばには赤い万年青の実がちらりとのぞくのもいい。

大原雑魚寝図 節分の夜の大原・江文神社で雑魚寝する風習があった。人喰い大蛇から避難して、村人たちがこの神社に集まって来たことからの風習だとか。「好色一代男」にもこの風習が取り上げられていることから、既に奇祭として名高かったのだろうか。
そして本殿には大勢の人々が集まっている。
口説いているらしきのが見えるな。

大江山酒呑童子図 滝見する童子と連れの女たち。童子の顔が浮世絵風なのがけっこう面白く思った。
虎の毛皮を敷物にし、桜を楽しむ。その下では洗濯をする姫もいる。
風流な側面を描く。

弄鼠翁図 梯子を使いネズミの芸を見せて身すぎ世すぎをするじいさん。
幕末にはいろんな芸をしてみせる人がいたのだ。

ショウキの絵がいい。カーテンから出てきたところ。よくわからんシチュエーションだが。

最後に十牛図扇面を見た。正木美術館で以前に見たはずだが、記憶が曖昧だ。
其一はその扇面の貼られた方に稲穂の下絵を描いている。ススキではなく稲穂。
素朴な筆致の可愛い牛と少年と。
逃げるのを捕まえようとしたり、焦ったり、やがて家路へ。そしてついに牛ものんびり、人ものんびり。

そして朝顔に気持ちよくなり、サントリーを出た。
朝顔はもう今月でアメリカに帰るが、展覧会はこの後も姫路市美術館、細見美術館に続く。
いい展覧会だった。

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