美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

2016年秋 大阪市立美術館コレクション展 ・菅楯彦と赤松麟作

たった12日間の公開だが、大阪市立美術館でコレクション展が開催されていた。
10/14-26.
その後には「開館80周年記念展 壺中之展(こちゅうのてん)-美術館的小宇宙」が11/8-12/4まで開催されるそうだが、その前触れという位置づけなのかどうか、いいものが揃った展覧会だった。
四種の展示で、それぞれ楽しませてもらった。
少しずつ感想を挙げたい。なおタイトルなどは全て大阪市立美術館のHPからの引用である。たいへんありがたいことだと思う。

・菅楯彦と赤松麟作
大阪の名誉市民第一号である菅楯彦と大阪の洋画界になくてはならない赤松と、二人の作品が向い合せに展示されている。

舟笛驚龍 菅楯彦(1878~1963) 1幅 昭和12年(1937) 本館蔵(寄贈)
薄墨に金泥を使っているように思う。それがこの絵に近づくとき、縦長の画面に薄い金色の星か雪かが降り続くようにみえた。
そして絵の前に立った時、その降り続くものが実は経年劣化によるものだと悟った。
しかし、不思議なくらいにこの絵とマッチしていた。
小さな小舟を浮かべている。その舟で高士が一人笛を吹いていると、水面から二頭の竜が出て来た。驚かせたと言うより、「なにやら良い音色がするな」と出てきたように見える。
静かに二頭は小舟の周りに頭をもたげている。
そこへ笛の音は響き、元の絵にはない金泥の何かが降り続く…

千槍将発 菅楯彦(1878~1963) 4曲1隻 昭和19年(1944) 本館蔵(住友コレクション)
九州の菊池家の将兵たちが一斉に鬨の声を挙げる様子である。絵の左端にはそのことについての漢文がある。

春秋浪速人 堀江阿弥陀池 菅楯彦(1878~1963) 1面 昭和29年(1954) 本館蔵(寄贈)
イメージ (83)

「浪速御民」と自ら名乗る菅楯彦らしい、和やかで良い風俗画である。
堀江の阿弥陀池には有名なお寺もあり、芝居小屋もあり、賑やかな繁華街を形成していた。
ある明るい午後、一軒の店屋を中心にした一場が描かれている。
芝居の幟が風になびき、店屋の左手の藤棚も今を盛り、その下では将棋か碁を楽しむ人々もいる。そして店の軒先では西宮から来たか傀儡師が箱から人形を取り出して、小さい子供ら相手に人形芝居を見せている。
賑わう道には坊さんらも機嫌よく歩く。
優しく明るい色調の絵。心が浮き立つ様子が伝わる。

桜の宮 菅楯彦(1878~1963) 1面 昭和30年(1955) 本館蔵(寄贈)
昔も今もこの辺りは桜の名所で、わたしなども川のほとりを歩いてソメイヨシノを楽しみ、それが終わると今度は造幣局の通り抜けを楽しむ。夏には天神祭の花火をみる。
昼酒を喰らってわいのわいのと楽しく花見をする人々。花より団子で、宴会も華やか。
大川では花見舟が行き交う。俄でもしようかというようなヒトもいて、小さい目かつらをつけている。

大峯行者 菅楯彦(1878~1963) 1幅 昭和33年(1958) 個人蔵
山開きの日に門の前で集合する山伏たちとそれを見守る人々。お山は女人禁制が固く守られているが、手前までなら可能だ。
茅葺の屋根、不動尊の幟、ほら貝を吹く山伏もいる。向こうの方から来る人もいるし、山伏の中には子供に愛想するのもいる。
線が太い線。晩年になると強い線が増える。
知人の山伏さんは、この日必ずここにいる。

春昼 生田花朝(1889~1978) 1幅 昭和38年(1963) 本館蔵
恒富、楯彦の指導を受けた花朝女の絵は楯彦風なもので、生國玉さんの絵馬堂で遊ぶ子供らを描いている。旧幕時代だろうか、男の子らはコマ回しをし、女の子は人形を手にしている。いい絵馬がいくつもある。歌仙絵、太子らしき少年が梅下に佇む。
茶の支度もしてあり、くつろぐ女もいる。

翁 赤松麟作(1878~1953) 1面 大正2年(1913) 本館蔵(寄贈)
これは一目見て「あ、竹取の翁」とわかるもの。横長のかなり大きな画面に竹林が描かれていて、そこにおじいさんと言うよりおじさんが寛いでいる。まだかぐや姫の竹は未発見。左端の方の竹が金色なのはその種類のものか、または木漏れ日かで、かぐや姫の竹ではなさそう。
赤松唯一の物語性のある作品らしい。

琵琶湖 赤松麟作(1878~1953) 1面 昭和4年(1929) 本館蔵
薄青い湖面、向こうに三上山がみえる。田畑も水産も。そう、人の日常の暮らしもここにある。

雨後(芦ノ湖) 赤松麟作(1878~1953) 1面 昭和9年(1934) 本館蔵(寄贈)
三つの山が身を寄せ合って並び立つ。左から藍、紫、灰青。山の上には灰色の雲がかかる。水面のグラデーションの美しさ。
そしてその山と湖水の間に小さく煙を吐く小船があることで引き締まる。

大王崎 赤松麟作(1878~1953) 1面 昭和25年(1950) 本館蔵(寄贈)
肉の切り目のような崖、そして汀を行く漁婦。どきっとした。

蝉とり 赤松麟作(1878~1953) 1面 本館蔵(寄贈)
大木の下でシャツの前をはだけた麦藁帽子の少年が手に網を持ってたたずむ。
今はもうこんな姿も少なくなった。

婦人像と裸婦もあったが、それらより風景の方に惹かれた。

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