美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **自宅でログイン出来ないので、現在「遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う」で感想を挙げています。

2016年秋 大阪市立美術館コレクション展 ・小さな妖怪たち

・小さな妖怪たち 
絵画と工芸品を集めているが、同種のものは同種でかためて展示しているのはいいことだ。
こうしたコンセプトのもとで<観る>と、また違った感興がわくものだ。
まずは絵画から。

化物草紙 1巻 江戸時代 17世紀 本館蔵(田万コレクション)
早大図書館にこの模本があるそうだ。5シーンのオムニバスもの。
・室内にいる三人の貴女の前に鬼が出現。ただし詞書が失われているので状況がわからない。鬼は炎をまといつかせているが、貴女たちはさして驚いているようにも見えない。
・三善清行の引っ越した化け物屋敷の怪異。障子と明り取りの所と全てのコマに笑う顔が浮かんでいる。あとはもういろんな種類の化け物たち。
・女怪vs惟茂、御簾から現れた女怪にビビッている。凶鬼。侍女らも赤ら顔のひょっとこの者と一つ目と。美人の鬼女には勝てたのにね。
・地獄が大炎上。閻魔さんも困る。美女もオタオタ。
・下帯一つの獄卒の鬼が労働環境が悪いのに怒ったのか、閻魔さんを蹴りあげている。冠も飛んでしもた。

百鬼夜行絵巻 原在中(1750-1837) 1巻 江戸時代 18~19世紀 本館蔵(寄贈)
真珠庵のあれの写し。これはわりとよくあちこちに貸し出される優秀な絵巻。
やはりキャラがそれぞれ立っているので、自分の贔屓のオバケなどもいたりする。

鬼の片腕図 上田公長(1788-1850) 1幅 江戸時代 19世紀 本館蔵(寄贈)
三本指の爪が鋭く尖る。思わず目を覆う小鬼がいる。
公長は猫の絵が好きだが、この鬼の腕の絵のユーモラスさと力強さ、いいなと思った。腕は無論、茨木童子のもの。

『観音霊場記図会』五 桃嶺 1冊(5冊のうち) 享和3年(1803)刊 個人蔵
若狭小浜、と書くとそれだけで!と来る人もあるだろう、そう八百比丘尼の話。
挿絵は見開きで、海を人魚がやってくるのを丘で見る武士たち一行。
日本の人魚は肩から下が鱗つきだが手先は人。長い髪のなかなか綺麗な女。

『紀伊国名所図会』二編 六下 西村中和 1冊(5冊のうち) 文化9年(1812)刊 個人蔵
岩出の住持池の伝説で、嫁入り行列でその池の傍を通った桂姫が、突然出現した大蛇の化身の美男に引きさらわれて池に連れ込まれる。
絵はなかなか迫力のあるもので、水飛沫も激しい。美男の胴から下は完全に蛇体。気の毒な姫はそのまま池に。
後から調べると池の中で二人は意外と幸せに暮らしているそうだ。

『金毘羅参詣名所図会』四 浦川公佐 1冊(6冊のうち) 弘化4年(1847)刊 個人蔵
ヤマトタケルが自分を飲み込んだ悪魚の腹を切り裂いて飛び出して退治する、スペクタクルシーン。悪魚の叫ぶ顔が怖い。

『役行者御伝記図会』五 浦川公佐 1冊(6冊のうち) 嘉永2年(1849)刊 個人蔵
韓国廣足が金剛山へ入ると、彼の讒言により罪を問われた役行者の仕掛けか、強風と共に数千の鬼神が出現した。驚きひっくり返る人々。四頭身サイズで妙に可愛い。
この公佐は公長の弟子。

次はほぼ同じ話。どちらも路上死して骸骨になってなお仏教に活きる者。
『西国三十三所名所図会』一 松川半山(1818-1882) 1冊(10冊のうち) 嘉永6年(1853)刊 個人蔵
熊野で首つりになった骸骨が読経するのを見る禅師。
『西国三十三所名所図会』三 1冊(10冊のうち) 嘉永6年(1853)刊 個人蔵
叡山の僧が坐禅する骸骨をみる。法華経を読経している。陰火が燃えている。

『利根川図志』一 1冊(6冊のうち) 安政5年(1858)刊 個人蔵
読みやすい字の本。カッパの絵がある。利根川辺りでは「ネネコ」というそうだ。ああ、あれかと納得がゆく。文中で「八丈島ではブツチと言ふ」とある。

『親鸞聖人御一代記図会』三 1冊(5冊のうち) 万延元年(1860)刊 個人蔵 筑波山で憐れな亡者たちと出会う親鸞。傍らの鬼の獄卒の憎々しさ。

幕末の出版物は面白いものが多くて好きだ。

次は妖怪関連のものを集めた工芸品。全てカザールコレクションから。
渡辺綱蒔絵印籠 蒔絵重次・彫物政随銘 1合 江戸時代 18~19世紀  表は螺鈿も使われている。腕を取り返して飛び去る所。

象牙彫根付 羅生門 1個 明治時代 19世紀  腕そのものを拵えている。前掲の絵と同様、腕に寄り添うように小鬼がいて、こちらは手首に数珠を巻いて泣いている。なかなか健気な奴だ。

百鬼夜行蒔絵印籠 九国山人銘 1合 江戸時代 19世紀 けっこう不気味な作り。

源三位頼政の鵺退治蒔絵印籠 梶川作銘 1合 明治時代 19世紀  表は松明を掲げるところ。裏では鵺退治。

木彫根付 鵺 1個 江戸~明治時代 19世紀 けっこう可愛い。きょとんとしている。

舌切り雀
木彫彩色根付 舌切雀 1個 明治時代 19世紀  もう実家に帰って娘らしい装いをした雀。アタマに赤いリボンがついている。手には扇。

象牙彫根付 舌切雀 1個 江戸~明治時代 19世紀  さてこちらは婆さんの背負う思い葛籠からにゅううっとロクロ首の入道の顔が…

象牙彫根付 舌切雀 定與銘 1個 江戸~明治時代 19世紀 これはなかなかよく出来ていて、葛籠の蓋が軽く開いていて、その隙間からロクロ首がのぞき、中には髑髏もみえる。裏には不気味なお多福も。

舌切雀蒔絵葛籠形印籠 1合 明治時代 19世紀  ゆらーっと化物が姿をチラ見せ。この葛籠の紋は真向雀、裏には竹。竹に雀は伊達さんですな。

次は道成寺。表現様々。
木彫根付 道成寺 1個 江戸~明治時代 19世紀  鐘に巻きつく般若顔に蛇体の女。
象牙彫根付 道成寺 1個 江戸~明治時代 19世紀  鐘のそばに立つ女。能仕立て。
象牙彫根付 道成寺 宝実銘 1個 江戸~明治時代 19世紀 鬼の顔になった女の立姿。
道成寺蒔絵釣鐘形印籠 1合 明治時代 19世紀  巧い構造。本体に絡みつく大蛇。

木彫根付 人魚 亮之銘 1個 江戸~明治時代 19世紀  肩から肘まで鱗。胸は女で腰から下はやはり魚。

象牙彫根付 達磨運び 正年銘 1個 江戸~明治時代 19世紀 婆さんがんばる。
象牙彫根付 達磨 1個 明治時代 19世紀 本館蔵  腕を伸ばし「んーー」と…
象牙彫根付 達磨 宗明銘 1個 明治時代 19世紀  立ち上がってるし…

象牙彫根付 髑髏 忠親銘 1個 江戸~明治時代 19世紀  大髑髏を木魚にする骸骨。
象牙彫根付 髑髏 1個 江戸~明治時代 19世紀  そのまま。リアル。

節分蒔絵印籠 梶川作銘 1合 江戸~明治時代 19世紀 腹に○に金の字をつけた武士が豆まき。
木彫根付 鬼やらい 1個 江戸~明治時代 19世紀  ぐるじぃぃっ の鬼。
木彫根付 鬼やらい 正一銘 1個 江戸~明治時代 19世紀 籠に隠れる鬼。

象牙彫根付 蛤に河童 光年刻 1個 明治時代 19世紀  乗ってます。

カザールさん、明治の日本でこういう可愛いものをたくさん蒐集し、それを後世の大阪人に贈ってくれたのだ。ありがとう。
オバケはやっぱり楽しいね。

またいつかこんなコンセプトの企画展が見たい。

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